第6話『俺の特殊能力は…主人公!?』
看護師さんが案内してくれたお陰で、無事に竜玄の居る病室に着くことが出来た。やっぱり人には頼ってみるものだな。
「ありがとうございます。看護師さん」
そう言って俺は看護師さんに一礼する。
「いえいえ、これも仕事ですから。はやく会ってあげて」
「いえ、本当に助か……」
頭を上げ、前を見てみると、居ない。さっきまでここに居た看護師さんが居ない。
えっ、もしかして幽霊? ゴースト型の魔物は存在しているけど、あれは人間だったし……。半透明でも、なかった…。
よし!もう考えても怖くなるだけだし、考えるのやめよう。
気を取り直して、俺は病室の入り口に体を向ける。
どうせアイツのことだ、心配させるだけさせて、能天気にゲームでもしてそうだな。
ドアを横にスライドし、開ける。
「よぅ、げんせぃ……おそかったな……」
ベットに弱々しく寝ている。言葉一つ一つに元気がない。その姿に俺は言葉を失う。
いつものアイツなら、もっとウザイはずだ。
言葉一つ一つに元気がありすぎてうるさいはずだ。
もっと笑っていて、テンションが高いはずだ。
冗談だもと思ったが、竜玄は、こういう嘘だけは、吐かないと約束しているのだ。だからこれは冗談ではなく。本当にヤバいのか。
「そぅ、湿気た顔をするな。こっちに来い」
「本当にヤバいのか?」
「あぁ、もって、今日一日だそうだ」
「………」
何も言えない。言葉が見つからない。こいつが死ぬなんて、考えてもいなかった。
すると竜玄は、少し笑って話しかけてきた。無理をしているのだろう。その笑みは、かなり痛々しい。
「時間がない、しっかり聞けよ。まず最初に、幻生、お前、ここを受験してこい」
そう言うと、竜玄は、ベット隣の引き出しから受験票を出してきた。特殊能力科と魔法科の2つの科がある、アルカ学園の受験票だ。しかもその受験票は、普通のものではない。
赤い色をした受験票、特別推薦の受験票であった。
「いや、俺はもう普通高校に入学が決まって…」
「それなら…キャンセル……しといた…ぞ」
「ん!キャンセルしてきた!? お前勝手に何してるんだよ。それに俺、特殊能力持ってないだろうが!」
無能力者だから普通高校も受験することが出来たってのに何を言っているんだ。
「特殊能力なら…、もってるぞ…、お前…」
「は?」
普通に否定された。それにしては俺、能力使った感覚無いんだが……。
「お前の特殊能力、の…名は『主人公』だ……。効果は主人公っぽいことが……なんか…起きるっていう、能力だからな…。この特殊能力は勝手に発動してしまう能力でな……、お前の…意思関係なく…発動する……」
さらっと言われたが、何言ってるのコイツ?
じゃあ何で俺の意思に関係なく発動するのに、これまで発動しなかったんだ?しかし、質問は出来なかった。
竜玄が吐血したのだ。それをみた俺が医者を呼びに行こうとしたら止められた。
まだ話すことがあるらしい…。早くしてくれ。じゃないとお前の命が…。
「俺は…いいんだ…お前はとりあえず…この学園に入学する…こと。次にもっと…重要なことを、話して…おく。よく…聞けよ…」
「なんだ?」
俺は少し怒りながら聞いた。当然だ。コイツは今、俺の入学をチャラにして、しかも自分の命はいいだと。ふざけるな。
「そう…怒るな。俺は…俺はな…『魔王』なんだ…」
200年前、魔王は倒された。
そして魔王は誰も知らない所で復活していた。
その魔王は、俺の父親、夏目竜玄だった。