第4話『朝食との戦い』
「…また、同じ夢か…」
そんな一言と共に、俺は目を覚ました。
最近、変な夢を見るようになった。
まるで、他人の人生を経験させられてる様な………。
ま、そんなに考えても仕方ない。のんびりしよう。
昨日卒業式だったため、俺は3週間はのんびり出来る。"特殊能力科の学校"は、この3週間で試験があるらしいが、俺は"普通高校"に入学が決まっているから、のんびり出来る。
これまでと変わらないのでは?という声が聞こえてきそうだが…、実はそうでもない。
俺は普段の生活でも、学校で授業が始まる時間に家庭教師が家に来るのだ。つまり、大きな違いが学校に行くか行かないかの違いしかない……。
それにのんびり二度寝をしようとしても、「朝だぞ!、起きろ幻生~」と、アイツが邪魔してくるから寝たくても寝れない。
そろそろ来る頃だと思うが、今日は珍しく来ないな。
あっ、アイツ、入院中だったわ。
全然のんびり出来ないじゃん。でも二度寝もしたいし、悩むな~。
「まぁ、一応父親だしな」
悩んだ結果、仕方なく起き上がり、リビングに向かう。
・・
・
「……これもあったな…」
リビングのテーブルには、昨日アイツが食べなかった料理が並んでいる。かなりの量あるが……、食べるしかない。
小さな戦いが今、ここに始まった。
まず始めに食べるのは、皿に山のように乗った特大の唐揚げだ。軽く見ても30個はありそうだ。
その次に、何故か冷蔵庫に沢山あったコロッケだ。正直、いつの物だか分からないから食べたくはない。
そして最後に、サラダと言うには、多すぎるほどの野菜の山。
どう考えても食べられる気がしないが、これらは時間が経っていて、今食べないと厳しそうだ。他のものは、昨日作った物で、火も通ってるから冷蔵庫で保存しておこう。
「よし! いただきます」
覚悟を決めて食べ始めた。
意外に早く食べられたのは、サラダだった。種類がいろいろあって、食べていて飽きることが無かった。
コロッケも朝に食べるには厳しそうだと思ったが、そうでもなかった。むしろもっと食べたいと思うほど美味しかった。
逆に辛かったのは、唐揚げだ。味は美味しかったのだか、大丈夫だったのは最初のみ。中盤からは、ただゴムを沢山食べているような気分になる。最後らへんは拷問でしかなかった。もう当分は、唐揚げを見るのも嫌になった。
しかし、食べきった。食べきったぞ。よくやった俺。しかし何故だろう、胸の奥から何かが込み上げてくる。
「ごち……うっぷ、、、」
ごちそうさまと言おうとした瞬間、本能的に口が固く閉じた。ヤバい、奴が来る。
急いでトイレへ向かった………。
その後、トイレで吐いたのかどうかは、伏せておく。
こうして、小さな戦いが終わりを告げた。