『何かそれっぽいプロローグ』
ーー夢を見ていた。いや、夢だと思いたい。
その場所は、血と肉の腐敗した臭いが立ち込めている荒野であった。自分が沢山の人を、亜人を、動物を殺しその死体の上に立っている。
これで何度目だろうか…
その光景を何度も、何度も、繰り返し見せられる。立ち込めている臭いも、見ている光景も、夢とは思えないほどはっきりとしている。
見せられるだけではなかった。
視点に変化が訪れた。それまで見ているだけの三人称視点だった視点が、自分らしき人物の視点、つまり、一人称視点に変わったのだ。
同時にそれまで無かった感覚が生まれている。生き物の命を消す感覚、殺す感覚だ。見せられている時と同様に、何度も、何度も、繰り返し体験させられる。体が自分の意思に関係なく動き、人や亜人、動物を殺している。
それは、自分の手に生き物を殺す感覚が残るほど続いた。
ーーーもう止めてくれ、やめてくれ、やめてくれ、やめてくれ、やめ…て……く…れ………
精神が疲労し、自我すら消えそうになったその時、世界が割れるようにして崩壊した。
先程まで、血と肉の腐敗した臭いしかしなかった荒野が突如として崩壊し、微かな風が吹く白く世界に再構築された。
それだけではない。血で汚れていた手や体は、血が消え、とても綺麗になっている。思考が追い付かず混乱しそうなる。だから…考えるのをやめた。
ーーーねむい…
実際に眠かったわけではないが、心中そんなことを呟いた。世界が変化した途端、精神を安心が包んでいる。その安心がとても心地良い。何故かそんな気がする。
「それはおかしいね。この世界では特に」
何となく呟いた言葉にそれも、心の中で呟いた言葉への返答に驚く。
ーーー誰、だ?
声は、どちらかと言えば女性に近い。思考を巡らせる、しかしやっぱり自分では、答えに辿り着けない。気づけば、体も自由に動いている。ある程度の覚悟し、声のした方に体を向けた。
そこには、少し不気味な笑みを浮かべるヒト?が居た。見た目は男とも女とも取れる見た目で、男なら美少年、女なら美少女ってところだろう。
まぁ、その見た目も、何か含んだような不気味な笑みのせいで台無したがな。
不気味に感じるのは他にも理由がある。確かに今、そのヒト?を見ているのだが、そこに存在しているという気配が全くしない。幽霊みたいに透けているわけではない。はっきりと見えているのに、存在を実感出来ない。そこに居るのにそこに居ない感覚だ。それが不気味さをさらに引き立てている。
俺が戸惑っているのにきづいたのか、不気味なヒト?が口を開いた。
「驚かせてすまない。自己紹介をすべきだった。ボクの名は------」
あと少しで名を聴けそうだったが、頭の中に機械のようなノイズ音が響き、しっかりと聴こえない。
そして、世界がまた白い光に包まれる。いや、包まれているのは、世界ではなく自分だった。
自分だけがこの世界から切り離されいく。何故なのか思考を巡らせる。今回は珍しく答えが出た。
ーーあぁ俺、夢から覚めるのか……
そんな呟きも世界には響かない。白い光は、ますます強くなる。もう何も見えないし、何も聞こえない。
そうしてこの物語の主人公かもしれない男、夏目 幻生が目を覚ます。
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「ふふふっ、やはり最後まで言えないか」
夏目幻生が居なくなり、ヒトリになったヒト?は、少し寂しそうに呟く。そして、不気味に笑いながら…
「大丈夫、ボクは待つよ。君が約束を思い出すことを、その為ならボクは、何度でも君を此処へ招待しよう」
そんな意味深なセリフを吐き、白い世界にたった一柱で、白い椅子に座り、今度は不気味ではなく、とても温かく安心する笑みを浮かべたまま、本人すら忘れた約束が果たされるのを信じて待ち続ける。
この事を夏目幻生が知ることになるのは、かなり先のことになるだろう。もしかすると知らないまま、かもしれない。
ここまでありがとうございます。
初めて書いた小説で、めちゃくちゃだと思いますが、この小説は気まぐれに書いていこうと思うので、よろしくです。m(_ _)m