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森に住まうものは?

 どこかに向かう馬車の中──


「あー今のうちに改めて今回の依頼について話そうと思う」

「ねえ海心、ウォルドはいいの? 馬車を引いてちゃ参加出来ないと思うのだけど」

「問題ないすでに話しているからな、今朝お前達がどこの石鹸はあーだこーだ言ってる間にな」

「ふふ、そうなの? リィナ目が怖いことになってるわよ」

「気のせいよ!」


 ……気のせいならそんなに強く抱きしめないでくださーい

 でないとさっきとった軽食が出ちゃ……ます


「なあリィナ」

「なによ」

「早く離放してあげないと黒音の顔色が悪くなってるんだが」

「え、あっ」


 すぐさま私は後ろに向かって走って馬車から顔を出すのでした。


「ぅ〰〰〰オロオロオロ──」

「えっと大丈夫黒音、あ〜ごめん気づかなくて!」

 ぐすん、どうせ私なんて……ふん


「ああ〜もう泣かないで、ほらこっち向いて口拭いてあげるから はい、これ水で口の中綺麗にしちゃいなさい」





 ──なんだかんだあって再び!


「あーちょっとした問題もあったがもう少しで古城につくから依頼についてさくっと話す。

 まず、事の発端は数日前……新春祭のために、古城の点検に向かった数名の騎士とメイドが戻らなかったため使いの騎士を一人出したが戻らず、その後10人程の騎士が向かったが定時連絡が途切れた為最悪の事態を想定して俺たちに話が来たってわけだ。 以上になるが何か質問は」

「でわ、一つよろしいですか? 原因は不明ですが私たちに声がかかったということは禍の可能性があると考えてると」

「いや、今回はそこまではないだろうという話だ。

  が、上位の魔物であろうと言う話だ」

名付き(ネームド)もしくは、変異種(ユニーク)最悪異常個体(モンスター)級の可能性は有りますか?」

「「な…………」」

「あー安心しろ! そこまでヤバイのはいねえはずだ。「名付き(ネームド)はこの近くにはいねえ〜し 他のも居たら、とっくに大騒ぎになってるはずだ」

「はずって……」

「戦闘特化型の勇者なんだから仕方ねえだろ……予知とか遠見使えねえし」

「ねえ海心くんいい加減諦めた方がいいと思うよ? 近距離の戦闘型なんだから」

「でもよ〜やっぱり使いたいじゃん」

「あらあら、透視でも使えるようになる為にかしら? そうよね海心」

「リミスさんんん決めつけないで頂けますか!?」

 そんな海心の言葉に対して前から御者をやってるウォルドからフォローがはいった

「リミスよ、海心(カイ)を責めるでない男はそういうものなのだよ」


「「……………」」


「なんだよその目はーーーーウォルドも変なフォロー入れてんじゃねーよ」


 うん大丈夫だよ海心くん男だからって女の人に興味あるとは限らないこと私知ってるもん!


「おい黒音……お前はぜってーなにか間違ってることを考えてるぞ」

「えーそんなことないよ〜」


 そんなこんなで古城近くの森に着いた私達は馬車を降りて入っていくのでした。



 ウォルドを先頭に森の中を入っていく私たち

「気をつけろよ、もう何かいるかもしれねえんだから」

「わかってるわよ」

「ええ、さっきから上から下までジロジロ見てくる目が無数に……」


 かなりの数……私が囮になって突っ込んでみる?

「突っ走んなよ黒音」

「……はーい」

 ほんと尊敬するよ……海心くんのそうゆう所、なんでわかるかな


「そろそろ中腹──」

 ウォルドの言葉を遮るように子供1人ぐらいの大きさのものが突っ込んできた。

 衝突音はダンプどうしが突っ込んだかでも言うようなとっても大きな音が森に響く

「軽いわーーー」

 一喝とともに半歩分後ろに押されつつも盾で相手を弾き飛ばす

「はぁはぁ……軽い……」


 弾き飛ばされた黒いローブに身を包む相手は軽々と空中で体制を整え静かに太めの木の枝に足をつける


 ──前に、リィナの右横に体をねじ込んでリィナを狙い撃たんと、右から来る物にスプーンを勢いよく振り下ろす。

 スプーンのお腹に鏃が火花を散らしながら衝突し叩きつけられた地が弾け飛んだ

「うそ……どんなけの威力」


 ──音が聞こえる……空気の泣く声が……前を見るとものすごい勢いで矢が迫っている──間に合わない


『……穢……知ら……とが誇りなり現れよ白き城』


 目の前に突如として現れた白き壁──否、みんなを包み込む様にして現れた白き城

「まにあったーーーー……え」

 リィナの顔が思わず引き攣るがそれも仕方が無いだって、傷つかない事を破られない事を目的としたその最高峰【 絶対防御重奏魔術 白き城】それなのに……いとも容易く矢が深く突き刺さった。

「海心くん……」

「やばいな……ちょっとばかし想定外だぞこの数」

 え……なにこれ10や20じゃない……どんどん増えてる……あはは、もしかして100はいるの?


海心(カイ)この数こりゃゴブリンじゃねか」

「だろうな」

「ゴブリン……ねぇ早く逃げた方がいいんじゃないの、これってさ」

「そうだな〜ウォルド2人の守りは任した。城に伝えろ。黒音は俺と一緒に、こいつらを引き止めてもらう! 武器食人の力頼りにしてるぞ!!」

「ん、でも私としては貴方にも一緒に城に行ってほしいな〜って思うんだけどぉどうかな?」

「却下だ却下だ。んじゃ3人とも後でな」

「すぐに援軍連れて来るから待ってなさいよ……」

「あー首を長くして待ってるよ」

「じゃあね」

「ああ、じゃーな」


 3人の足音がどんどん離れていく

 ゴブリンも各個撃破されるような危険は犯さないか結界もあるし……


「行ったね……よかったの? 海心くんは行かなくて……」

「いいんだよ……もともと俺はこの世界の住人じゃねえし──お前もだろ」

「知ってたんだ」

「い〜や知らねーよ。 ただそーだろーなーって思ってただけだ。 あと後で聞きたいことがあるんだが、いいか」

「うん、転移した事とか?」

 海心は一瞬ニッて笑った

「よしやるか〜ゴブリンって普通弱いんじゃないのかねー」

「そんなの物語だけの話だよ〜勇者様〜現実じゃゴブリンだって武器や防具に魔法すら使ってくるんだから。

 どっかの勇者様みたいに、これぞ勇者って感じの格好してる勇者の方が珍しいくらいに」

「わかりやすくていいだろ? 見ただけでわかる」

「ふふ、確かに」

 大きく息を吸い込んだ私の声が森に響く

「──いくよ」


 そこからの戦いは苛烈を極めていく。

 一歩踏み出すごとに常人なら必死の矢が雨のように降りそそぐ

 自分にあたる分だけをがむしゃらにスプーンで弾いていく

「このーーーー」

 どれくらいたっただろうか? スプーンを勢いにまかしてゴブリンを50匹ぐらい千切り倒したあたりからゴブリンの反応が良くない

「……どうしたの? なにかに警戒してる?」

 ゴブリンの挙動に警戒してると背中に勇者がもたれ掛かってくる。

 その息はとても苦しそうな──

「海心くんどうしたの息上がってるけど……」

「すまん……20匹は殺ったが正直もうキツい……黒音はすごいな……」


 へ……海心くんが何を言ってるのか正直よくわからない。

 私がすごい? 防御力は自信あるけど……火力なんて死神の中で最低クラスなんだけど……いっつも討伐訓練終わるの最下位だったし……一撃の火力なら絶対海心くんの方が上なのに私がすごい?

「息上がってないし汗だって……体があったまってきたってぐらいじゃん……だからさ、俺を置いて行け……お前だけならここを突破するなんて余裕だろ?」

「ん………………」

 なんだろ海心くんて、バカなの置いて行く訳が──その時もたれ掛かってた海心くんが崩れるように地面に倒れた──って、ちょっと海心くん!? 思わずゴブリンから目を離して確認してしまったけど、どうやら気力を使い果たしただけらしい。

「寝てるし……こんな所で寝れるなんて大物──あいたー?!……いったーたんこぶ出来たかも〜」

 後ろに何かが落ちる音がしたので見てみると……折れ曲がった鉄の矢がありました。

「ねぇ〜だ〜れっかっな〜海心くんの心配してる間に攻撃しちゃう空気読めない子は!!」


 1匹の赤いローブを来たゴブリンが前に出て叫び出す。

ゴブ(戦いとは常に)ゴブゴ(死力を尽くすが)ブゴー(礼儀である!)ブゴ!( 違うか!)


 ……どうしよう何言ってるかわかんない


 でも、できる限りの事はしよう。

 まずローブの3つある能力のひとつ球状に展開される『死神製:遮断結界』を海心くんにはってローブを上に掛ける。

 これで残り2つも込めた魔力のある限り発動される──防御系の加護と存在隠蔽がね──そのまま私は一気に結界を飛び出した。


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