救急車
倒れていたのは、村田さんだった。
彼女は40代後半?
娘さんが医大に行っていると聞いた事がある。
『内川目さん、救急車!』
工場長が叫んだ。
村田さんは、意識が無いように見える。
みんな、動揺している。
『こうゆう時って、動かしたらダメなんでしょ』
『服を緩めた方がいいんじゃない?』
『娘さんか、旦那さんに連絡した方がいいんじゃない?』
みんなは、心配して色々と話している。
私は、ロッカーから、村田さんのバッグを持ってきて、工場長に渡した。
工場長は、バッグからスマホを取り出し、娘さんと思われる人に連絡を入れた。
『救急車…まだ?』
裁断のリーダーがつぶやいた。
『救急車って、もっと早く来るんじゃないの?』
『うちの叔父の時も遅かったわ』
『こんなんじゃ、死ぬ人は、死んじゃうよね』
そう話していると、遠くから救急車のサイレンが聞こえてきた。
『来た‼』
救急隊員が運びやすいように、ミシンを壁際に移動し、倒れている村田さんのまわりを広くした。
救急隊員は、村田さんの意識を確認する。
救急隊員の声は聞こえているようで、少しだけ、手が動いた。
担架に乗せられ、裁断のリーダーが付き添って、村田さんは救急車で病院に行った。




