デート②
車の中は、FMラジオ。
今時の曲が流れている。
『ラジオうるさくないですか?CDもありますよ』
『あ、大丈夫』
まだ緊張してる私。
道の両側の並木は、少し紅葉が始まっている。
今頃のドライブって久しぶり。
『少しずつ紅葉が始まってますね』
『もう少しで見頃かな?
私の姪がさ~、小さな頃に“紅葉する木は根性が無い”って言ったんだよ(笑)』
『根性が無い?面白いですね』
『面白いってか、おバカなだけ(笑)』
そんな話をしながら、車は2時間程離れた街に入った。
この街は、米軍の基地や自衛隊の駐屯地がある、大きな街。
大きなショッピングモールもある。
『この映画にしたんですけど、興味あるかな~?』
高橋くんが見せてくれたチケットは、私が見たいのとは違ったけれど、同僚が『面白かったよ』と話していた映画のチケットだった。
『あ、なんか、面白いらしいですよね』
興味があるように話すと、高橋くんは
『良かった~。見たくないって言われるかと心配してました』と。
う~ん。
可愛いな~。
自分の年齢だと、子供は望めない。
高橋くんは、それでもよくて、私と付き合ってくれてるのだろうか?
イケメンだから、狙っていた若い子も、たくさんいただろうに。
そんな事を考えながら、映画館に入る。
映画は、サスペンスとコメディーを混ぜたような物で、でも最後は感動的な終わりかただった。
あちこちで、泣いてる人がいる。
私もウルウルしてしまった。
高橋くんをみると…マジ泣きしていた。
ちょっと引いたけど、良く言えば素直?
目を真っ赤にした高橋くんは、恥ずかしいのか、私の方を見ないようにしていた。
以前の私なら
『涙もろいんだね~』なんて言ったが、今は違う。
言ってはいけない時というのがあると学習した。
私…大人になったな~(笑)
映画館を出て、近くの洋食屋さんに入った。
ここは、友達イチオシのお店。
パスタと、ハンバーグステーキが人気らしい。
私は、和風ハンバーグステーキ。
高橋くんは、ハンバーグ定食を、注文した。
『さっきは、恥ずかしい姿を見せてしまって…』
高橋くんが言った。
『気にしないで。私もウルウルしてたから』
『昔からこんな風なんです。だから、女性に引かれちゃって』
イケメンでも彼女がいない理由は、そこだったか。
ハンバーグステーキと、ハンバーグ定食が運ばれてきた。
『美味しい』
『噂通りだね』
私たちは、食べる事に専念した。
だって、本当に美味しかったから。
食事の後、紅茶を飲んでいると、高橋くんが
『もし良かったら、ちゃんとお付き合いしてもらえませんか?』
と話した。
えっ?マジで?
年上だよ。40過ぎてるよ!
驚きを隠せない私。
『お互いの親にも会わなくちゃいけないので、今すぐとは言えませんが…あの…一緒に暮らしませんか?』
……私……死んだ。
一瞬、呼吸が出来なくなった。
心臓も止まっていた気がする。
もう、うなずくしかなかった。
だって、嫌と言う理由が見つからない。
今度は、私の方が、マジで泣いてしまっていた。




