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  作者: 星凪 怜
10/16

診断書

次の日、病院に付き添っていた、裁断のリーダーが出勤してきた。


『おはようございます。村田さん大丈夫ですか?』

『おはよう。病院に行ったら、意識はだいぶ戻ったのよ。すぐに旦那さんが来てくれてね。

娘さんは今日来るんだって』

『良かった~』


私は、身体の力が抜けたみたいに感じた。


『昨日の検査では、特に何も無くて、たぶん、ストレスかも。って』

『ストレス?』

『最近、残業続きだったでしょ。

それに、ミシンのリーダーに、かなり気を使ってたみたいだし』

『そうなんですか?大変だな~。

早く回復してくれるといいですよね』

『そうだね』



この日は1日中、村田さんの話題が途切れなかった。



1週間後の昼過ぎ、村田さんが退院して、事務所に顔を出した。

『大丈夫ですか?』


村田さんは、私の事を見もせずに、バッグから封筒を取り出し『工場長は?』と聞いた。


『呼んできます!』


工場長は、面倒くさそうに事務所にやって来た。

そんな工場長に、村田さんは、封筒を差し出した。

『診断書です』

『診断書なんていいのに。いつから来れるの?』

工場長は、村田さんを心配してないんだろうか?


『診断書を見て下さい』


工場長は、ビリビリと封筒を破り、診断書を見る。

その顔が、だんだんと青く…いや、怒っているのか、赤紫になってきた。


『ストレスだって?労災認定はしないぞ』

工場長がキレた。


『労災認定より、仕事を休むよう、指示が書かれているのが分かりますか?

1ヶ月の休業の話をしに来たんです』


『うちは、精神疾患は雇わない。明日から来なくていい』


『工場長!』

私と内川目さんが、同時に叫ぶ。

『休んだら、病状が落ち着くかもしれないじゃないですか!』

『そうよ!人手不足なんでしょ』


工場長は、私達と村田さんを無視して、事務所を出ていった。


『村田さん…』

『気にしないで。検査結果が出た時に、家族で話し合ったの。辞めるか悩んでいたけど、良かったわ』


『じゃあ、クビって事で、失業保険をすぐにもらえるようにしますね』

私が言うと、内川目さんがうなずいた。


『バイバイ。元気でね』

村田さんは、ロッカーの荷物を持って、会社を辞めた。



精神疾患はクビって…

真面目にサービス残業した結果が、ストレスを溜め込む事になったんだな。


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