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9.港町 シールズ モナーク海賊団

 遊び人のエロジジィのキースが仲間に加わり、昼食後のエロを堪能しにいく二人でしたが・・・



  シールズキッチンを後にして、町をふらふらしながらキースの身の上について教えてもらった。

 

 キースは本当は、まだ20代の青年なんだそうだが、4次元鞄の代償として100歳のじいさまにさせられたそうで。

 それでもいいからということで、カバンの持ち主となったそうな。

 てか、エロと引き換えに100歳とか・・・俺には無理だわ。


 キースは、生まれも育ちもこのシールズで、10代で船乗りとなり、世界各国を船で旅していたらしい。

 でも20代のとき、この鞄で100歳となってしまって以来、エロ本を人に配り歩いて、なんとか食い扶持を見つけていたらしい・・・。

 エロのために、毎日生きてるそうだ。

 ある意味100歳のじいさまになってよかったんじゃないだろうかと思う。

 もし、若いままだったら犯罪に走りそうだ。


 シールズに長年住んでいるだけあって、いろいろと詳しく、食事の後はやっぱりエロだろうということで、シールズ裏街道のストリップバーに行こうということになった。

 いや・・・俺一応まだ17歳なんですけどね・・・。まあここは、成人したてということにしておこう。


 薄暗い部屋のカーテンをめくったら、やらしい音楽と男たちの熱気で充満した部屋が現れた。

 ピンク色の照明の中で、ほぼ裸同然の綺麗なお姉さんたちが4~5人ポールに体をこすりつけてた。

 一枚ずつ服を脱いでいくたびに、男たちの興奮が高まる。

 俺は、初めての世界で固まってしまった。


 やべー、キースをパーティに入れたのよかったかも。

 俺は、大人の先輩に感謝した。

 

 ところが、そんな幸せなエロの時間はそう長く続かなかった。

 俺たちが鼻の下のばして、ストリップ鑑賞をしていたら、突然荒々しい声が聞こえてきた。

 何事かと振り返ると、入口近くに、荒っぽい男たちがワラワラと集まってきていた。


 「モナーク海賊団だ! 逃げよう!」キースの顔が険しくなる。

 

 俺は、高い金払ってまだ10分も経ってないのに、出ていくのが惜しかった。


 「なんでだよ。いいじゃんか! まだ後30分は鑑賞できるぜ」


 「あいつらは、いつもシールズに戻ってきたら、ここを拠点して動く。あいつらの独壇場なんだ。めんどくさいやつらだから、関わり合いにならないほうがいい」


 「まじかよ・・・くそっ」


 俺は、盛り上がっていた気持ちを叩き折られて、頭に来ていたけど、ここはキースの忠告に従うことにした。

 モナーク海賊団か・・・今に見てろよ。お前らぶっつぶしてやる!!!


 俺たちは、店の裏口から出て、繁華街へと戻っていった。


 「海賊かぁ・・・魔物以外で人間の中にも悪いやつらがいるんだな・・・」


 「魔物はある意味単純だが、人間が一番厄介かもしれんのぉ・・・」


 キースが遠い目をしている。


 「あとからばれて面倒なことになるのは避けたいからさきに言っておこう。

  儂は、元海賊じゃよ。

  世界中の海を旅したといったが、荒らしまわっていたというのが正しいかもしれん・・・」


 「ええ?!!!」


 俺は驚いて、キースを見つめる。


 「いろいろあって、海賊を辞めて今は、ここで遊び人生活じゃ。もう昔のことは思い出したくない。

 モナーク海賊団も昔はまだマシじゃったんじゃがのう・・・儂がいるころは・・・」


 「あいつらの仲間だったのかよ!!!」


 「あの海賊団は、儂が作った。儂はモナーク海賊団の船長じゃったんじゃ」


 「・・・・・・」


 「まあ、昔話はこれくらいにしよう。モナーク海賊団はもう儂には関係がない。

  思い出もつらいものばかりじゃ。思い出すと泣けてくるからエロ本でも見ようかの」


  おい。ちょっと待て、なんでそこでエロ本なんだよ!

  俺は、もうちょっとキースの身の上話を聞きたかったが本人が嫌そうだったので、あえて深くは聞かないことにした。

  きっと、いつか話してくれるだろう。

 

  港のほうを見るとおっきな帆船が停泊している。

  一番高いマストの上には、黒地に白い髑髏のマークが書かれた旗がなびいている。


 「あ・・・あれって・・・もしかして・・・モナークの?」


 「ああ、そうじゃ。モナーク海賊団は、大海賊団なんじゃ。悪いことばかりしてのし上がった最強最悪の大海賊団じゃ・・・」


 キースが、関わり合いにならないほうがいいといって、すぐにアイツらの目を避けるようにして、逃げ出したのがなんとなくわかった。

 俺もさっきは、ぶっつぶすなんて言ってたけど、ちょっとぶっつぶすの規模じゃないかもしれないと思った。


 俺たちは、ちょっと小高い丘の上から港町を見下ろしていた。

 デカいモナーク海賊団の帆船の前に、人が集まってきている。

 小さいけれども、なんか見慣れた大剣をかついだ巨体が見える。

 俺が、目を細めて見ていると、キースが鞄から望遠鏡をくれた。


 望遠鏡をのぞきこんでみる。

 くそっ!!! ナンシーとシーアが、海賊団に囲まれてる。

 何やってんだよ!!!!

 変な騒ぎ起こすなよ!!!


 「やばい、俺の仲間が海賊団に絡まれてる」


 「なんじゃと?!!!!!」


 キースも望遠鏡を覗き込む。


 「・・・・・ふむ・・・・、あれは、第3団長のカルスか・・・。

  女好きで知られておる。あのデカい剣士の連れの子にちょっかいだそうとしとるのかもしれん」


 「くそっ、面倒事はごめんだぜ。こちとら魔王倒すので精いっぱいだっつーの」


 俺は、そういうやいなや、港へ走り出していた。

 坂道を一気に下る。


 暴れるなよ! ナンシー!! お前が本気出したらやべーことになる。


 走って5分ほどで人だかりの山にたどりついた。

 俺は、ひとまず何がどうなっているのか様子を見るために、人をかきわけて、前のほうまで移動する。


 ナンシーとシーアの真後ろのポジションを取った。


 ナンシー達の目の前に船を背に、カルス達一行約15人がナンシー達を取り囲んでる。


 「その眼鏡の女を俺たちによこしな。黙ってよこせば怪我はさせね~よ」


 カルスも筋骨隆々とした大男である。

 サーベルを腰に差し、バンダナを頭に巻いている。

 いかにも海賊らしい海賊だった。


 ナンシーとシーアが、二人でなにやらごにょごにょいっている。

 聞き耳を立てると・・・


 「やだ、海賊って男くさくて、アタシ超大好物なのよね・・・。

 海の上って、隔離されてるじゃない。もうシチュエーション的にたまらないわね」


 「く~~~、絶対なにもないはずないですよね!!!! 

  男しか基本いない船の上・・・、やばいです!なにもないはずがありません!」



 お・・・・おまえら・・・・こんな非常事態でもそれですか・・・。


 「なに、ぶつくさ言ってんだよ! ちょっと図体でかいからって、調子のんなよ。

 俺は、モナーク大海賊団 第3団長のカルスだ。

 眼鏡の女気に入った。このカルス様の女にしてやるっていってんだよ!

 さっさと来い!」


 おい・・・カルスとやら、お前の身が危ない! いろんな意味で危ないから!

 ナンシーを兆発するな!!!


 カルスの怒号にざわざわとしだす港の野次馬達。

 そこに、ふらりと現れたのは、キースだった。


 「のぉ、カルスよ。儂に免じてその子は見逃してやってくれんかのぉ~?」


 「ああ? キッ キース・・・・」


 カルスの顔色が変わる。

 それ以上何も言わずに、ナンシーとシーアのほうにちらりと目をやり、ふてくされたように人込みの山を分けて、繁華街へと消えていった。


 「キース、すまねぇ、俺の仲間が迷惑かけちまって」


 「いやいや、同じパーティのメンバーが危機にさらされておったら、助けるのがメンバーの役目じゃろうて」


 「え?! このお爺様が、うちのメンバー?!」


 ナンシーとシーアが、びっくりして目を白黒させている。

 

 「えっと・・・そうそう。ひょんなことからそうなった。

  名前は、キース。銃使いの遊び人。南の島のランカへ行きたいそうで。あとサラマンダーに会ってみたいとかで」


 「ちょ・・・大丈夫なんですか?! 戦えるのですか?」


 シーアが心配そうにキースを見ながら言う。


 「キースは、ちゃんと戦えるらしいから、そこは心配しなくても大丈夫だ。

  海賊団相手にもひるんでなかっただろ?」


 ナンシーがちょっと考えたあと、にっこり笑って答える。


 「いいわ! パーティの仲間が増えるのは大歓迎! 仲間がいっぱいいるほうが楽しいもの!

  さすがにここまでのお爺様は私の手には負えないけど、パーティの一番の年長者として見守っていただきましょ!」


 「うんうん! さすがに私も萌えの対象からは外れますが・・・でも楽しければそれでいいです!」


 「おぬしら・・・相当強そうじゃの・・・カルス相手に、何やら楽しそうにひそひそ話をしていたようじゃが」


 「あら、やだ。わかっちゃった?」


 「このケツアゴオカマ魔法剣士のナンシーは、LV999だ。となりのシーアは召喚獣12体も召還できる召喚士だ。

  二人とも恐ろしく強い。俺が勇者のくせに、正直一番弱いっていう悲しい状態なんだ・・・」


 「そうじゃったか。苦労するのぉ、トーマも。にしても・・・シーアといったかの。

  良い乳をしておるのぉ~。揉ませなさい」


 「おい!!! キース!!!」


 俺はキースのつるつるの禿げ頭をペシッとはたいた。

 このエロジジィは・・・油断もすきもないぞ!


 シーアは、胸を隠しながら、あきれている。


 「やだ・・・このお爺様、現役でいらっしゃるのね?」


 ナンシーが冷静にツッコむ。


 はぁ・・・この爺さんをこのパーティに入れたのは、正解だったのだろうか・・・・。

 俺は、また悩みの種を抱え込んだ気がしないでもなかった。




 

 問題児3人を抱えたトーマ。

 この先一体どんな困難が待ち構えていることやら・・・。

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