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8.港町 シールズ と キース

モンスティーユ街へ捕らわれた女の子たちと一緒に帰ってきたトーマ。

街では、歓迎の宴が開催され・・・。

そのあと、港町シールズへと旅立つのですが・・・。

 



 モンスティーユ街に戻り、アルマや他の女性陣を街へ帰した。

 狩人の兄とアルマが感動の再会を果たす。


 街は、女の子たちが戻ってきて、お祭り騒ぎになっていた。

 俺たち勇者一行をもてなす宴が開催された。


 みんなでどんちゃん騒ぎをしている中、狩人が俺に近づいてきた。


「トーマさん、本当にありがとうございました。

 助けていただいたお礼に、わが家に伝わるある力を差し上げます」


 そういって、胸のポケットから大事そうにピンポン玉サイズの透明な玉を取り出した。


「この玉をトーマ様の手で割ってください。力が封印されています。

 割った瞬間に、トーマ様に宿ります」


「なんの力なんですか?」


「土や岩を操ることとできる土魔法の集合体です。

 非常に強力な魔法なので、あらゆる場面で使えると思います。

 私には、荷が重くて。

 使いこなすことができませんでした」


 脳みそ筋肉系の俺に果たして使いこなせるのだろうか・・・。

 俺は、ちょっと不安になりながらも、まあもらえるもんはもらっとけってことで、思い切り地面に投げつけた。


 パリーンと割れた瞬間、黒い煙が俺を包み込む。

 すぅーと俺の体に吸い込まれていく。


 試しに、土を引っ張り上げる動作をしてみる。

 すると驚いたことに、土がぐぐっと持ち上がるではないか!


 すげぇ・・・。なんだこの力。


「あ、ちょっと言うの忘れてたんですが、この力を得る代わりに代償がありまして、ちょっとだけ目つきが悪くなります」


「えええええ?!!!!」


 先にいえよ!!! 俺は、もともとあんまり目つきよくねぇんだぞ! 

 いっつもガンつけてるだのなんだのこの顔のせいで、子供のころから因縁つけられて喧嘩ふっかけられてるっつうのに!


「おい、ナンシー!!! 鏡貸せ! 俺の顔どっか変じゃね?」


「ええ?! 特になにも変わってないわよ~~。んーちょっと三白眼の白目の部分が増えたかしらね」


「なんだってーーー?!」


「いいじゃないですか! かっこいいですよ! 三白眼って。なんかクールな感じします」


 シーアが可愛い顔して、にっこり笑う。そう言われれば、そんな悪い気もしないな。

 アルマも駆け寄ってきて、一緒に俺のことをカッコいいと言ってくれている。


 ちょ・・・そ・・・そんな急にかわいい子二人から言われるとマジ照れるっつぅか・・・。


 照れまくる俺を見て、ナンシーがすねる。


「アタシがどれだけカッコいいって賞賛しても、デレないくせに!

 女の子から言われるとす~~ぐデレデレなんだから!

 でも、じ~つ~は~そんな素直なとこも好き!」


 アルマがきょとんとした顔をしている。


「おい! アルマの前で変なこといってんじゃねーよ!

 アルマ、何も聞かなかったことにしてくれ」


「道ならぬ恋をしてるのですね・・・。勇者様も・・・」


 は? 勇者様も? 「も」って何?


「アルマもしかして、君・・・」


「お兄様と一緒なら私なんだってできます!」


 狩人の兄に抱きつくアルマ。

 困った表情のお兄さん。


 くそ・・・ブラコンだったか・・・。


 もうなぜにこんなのばっかなんだーーーーー!!!


 この世のまともな女子は、本当に魔王に占拠されたのかもしれない。

 マジで、本当に魔王ぶっころさないと気がすまねぇ。


 トーマの怒りをよそに、宴は夜遅くまで続くのであった。



 ◇◇



 次の日、俺たちは、さっそく南の島へのルートを確認していた。

 まず、港町のシールズへ移動して、船にのって、南の島ランカへ渡る。

 ランカの宿場町で情報収集することとなった。


 ひとまずモンスティーユを出て、南に進む。

 敵もちょっと南国ちっくなのが多くなってきた。


 相変わらず、俺が先陣を切りバッサバッサと倒していく。

 もう、ナンシーもシーアの手出しは一切不要の状態だった。

 俺強いカモ。


 難なく港街シールズについた。

 世界の各地から船が集まることもあって、かなり活気があった。


 見たこともない色や形の作物が取引されていたり、信じられないくらい大きな深海魚や巨大魚が売られていたり。

 市場は見てるだけで楽しい。


 シーアもナンシーもテンションがあがり、楽しそうに街を眺めている。

 俺もちょっとだけこの街を少し散策してみたくなった。


「なあ、サラマンダーには悪いけどよ、俺たちもずっと戦いづめの毎日だし。

 少しくらいのんびりする日があってもいいと思うんだ。

 ランカ行の船は、急げば乗れないこともないけど、明日でもいいんじゃないか?」


「「賛成~~~~!!」」


 二人とも大喜びで、「どこに行こうか」と相談し始めた。

 なんか女子の世界に入り込んでしまって、ちょっと俺だけ疎外感・・・。


 まあ、いいや。

 たまには、息抜きだ。


「お前ら、ひとまず今日は自由行動。ちゃんと宿屋に戻って来いよ!」


「「は~~~い!」」


 二人とも街のマップ片手に、キャッキャッしながら二人で街の中へ消えていく。


 さて、俺は何しよっかな?

 港町シールズの観光マップを広げて、目的地を決める。


 腹もすいたことだし、ここはひとつこの世界食堂 シールズキッチン とやらに行ってみるか。

 シールズキッチンは、4大陸料理のすべてを食べることのできる大きなレストランだった。


 入ってみて驚くのは、その広さ。

 客席は、250席。

 3階建てのバカでかいレストランだった。


 入ったとたんに、いろんな料理の匂いが混ざったような良い香りがしてきて、食欲をそそる。

 席につき、分厚いメニューを見る。

 く~~~~、料理が多すぎて、選べないがな!!


 俺は、途中まではしっかり見てたものの10ページ目くらいであきらめた。

 だって、料理の数が600種類もあったら、さすがに選べない・・・。

 面倒になった俺は、港街人気No.1の『海の男のランチスペシャル』にすることにした。


 ものの5分もせずに、どーーーっんと勢いよく料理が運ばれてきた。

 これでもかってほどの海の幸がしこたま盛られた定食だった。

 贅沢なロマン海老のフライが5本! レアなタマラ貝のカルパッチョに、珍味クワイの卵が

 たんまりのったチャーハン!全くもって、海の宝石箱状態だった。


 俺は、感動しながら舌鼓をうつ。

 やべー、この港街を拠点にして、活動したい。

 金めっちゃ稼いで、毎日ここの食事朝昼晩食べたい。


 俺がホックホク顔で、料理を食べているのを、じっと見つめるものがいた。

 左斜め前に座っているしょぼくれたじーさまだった。


 皿の上には、握り飯一個だけがちょこんとおかれている。

 なんだか俺の食べてる料理と比べて、あきらかに貧相だった。


 じいさんと俺の目があう。

 じいさんが目をふせて、またチラチラとこっちみてきた。

 なんだ、これ。


 じいさんが、のっそりと立ち上がるとよたよたと俺の元へやってきた。


「すまんが、若いの。

 財布を誰かに盗まれたみたいでの・・・。

 飯代が払えなくて、食べれないのじゃ・・・。

 代わりに払ってはもらえんかの。

 その代わりといっちゃなんだが・・・

 わしの大事な・・・エロコレクションの一部を差し上げたい」


 え?!

 なんだって? このじいさんは何を言ってるのだ?


「おぬし、どんなおなごがタイプじゃ?

 どんなものでもたいていは揃っとるからなんでもいいぞ」


 俺は、ひとまずこのじいさんを試す意味も込めて、ちょっとマニアックな嗜好を伝えてみる。


「全身タイツの触手もので、ローションまみれのやつでお願いします」


「お前さん・・・その年で・・・何があった・・・」


 爺さんはあきれながらも、すっとエロ本を鞄から取り出した。

 その表紙には、確かに俺が言ったとおりの内容の写真が掲載されていた。


 なんなんだよ・・・この爺さん!


 くそ、ちゃんと希望のやつ言えばよかった!!!!

 俺は後悔したが、ひとまずそのエロ本を受け取り、爺さんの食事代を払うことにした。


「ありがとうなぁ~、若いの」


 爺さんは、美味しそうに握り飯を食べていた。


 変なジジィもいたもんだ。


「お若いのは、これからどうするつもりかの?」


「明日、南の島のランカへ行く。サラマンダーの精霊が危機らしくてな。

 魔物を倒してくる」


「ほう!!! そりゃぁ頼もしいな・・・。南の島か・・・いいのぉ・・・儂も行ってみたい・・・。

 南に行くほどに・・・おなごは、開放的になり、1枚も2枚も防御が薄くなる・・・」


 この爺さんは、頭の中エロだけか?!

 あきれ果てながら俺が見ているとじいさまが突然「一緒についていきたい」と言い出した。


「ランカの島までだったら、別に同行するのは構わないけど、サラマンダーの救出にはな・・・」


「サラマンダーは、火の精霊の美女と聞いておる。どうしても見てみたいのじゃ・・・」


 俺は、困った。またもパーティにどえらいのを入れてしまうのか・・・。

 守りながら戦うなんてできるんだろうか。


「お若いの。儂は100歳のじいさまで、実際何もできないが、この鞄に秘密があってな。

 誰にも言わないでほしいんじゃが、この鞄は、世界不思議アイテムの一つ4次元鞄なんじゃ。

 かね以外の大抵のものを取り出すことができる。

 わしは、戦うときはだいたい飛び道具系まあ銃だな。

 それで戦うことができるんじゃ。丸腰で臨むわけではないから安心せぇ」


 聞いたことがある。伝説の4次元鞄。

 未来から来たというネコ型ロボットが、ネズミから助けてくれたお礼に作ってくれたという鞄。

 オーバーテクノロジーの遺産として、伝説とされていたのだが・・・まさかこんな爺さんが持ってるとは。


 俺は、ちょっと興味が湧き、ひとまずサラマンダーの救出については一緒にくることを許可した。


 じいさまは、子供のように無邪気に喜んだ。

 どんだけ美女に会いたいんだよ・・・。


「儂の名前は、キース。銃使い兼遊び人じゃ」


「俺の名は、トーマ。勇者って自分で名乗るのも恥ずかしいんだけど。あと、二人の仲間もいるからあとで紹介すっから」




 かくして、キースが仲間に加わったのであった。



 


 




 


100歳の遊び人のエロジジィがパーティに加わりました。

さすがのトーマもエロには勝てなかったようです。

はてさて、サラマンダー救出作戦どうなることやら・・・。


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