3.お金を稼ごう! オリハルコンクエスト!
装備をなんとしても充実させたいトーマ。
難題クエストに挑みます。
ケツアゴカマ剣士と腐った召喚士を抱え、俺はこの先の旅に不安を感じながら、酒場のクエストボードを見ていた。
なんか一攫千金的なやつないかな~~。
あのケツアゴは、キモイとはいえ、LV999。
超強いのは間違いない。
あいつをうまく使いこなして、俺は楽して稼がせてもらうのだ!
東の洞窟で手に入れた青龍の鎧(LV680装備)を売っぱらってもいいのだが、銀行もからっぽの状態の今、圧迫アイテムってほどでもないし、なんだか急にもったいなく感じて保管することにしたのだ。
ぎっしりと張り付けられているクエスト票を丁寧にみていく。
するとかなり張り付けられたのが昔と思われる古いクエスト票を発見した。
報酬は、なんと500万G
通常のクエストが、だいたい30万Gくらいなので、これは破格だ!
なんで、こんなに高いのかとなると、やはり超難題なんだろう。
そして、誰もクリアできないから延々とこのクエストボードに張られる結果となっているのだ。
クエスト内容は・・・と・・・。
『 カンザスの依頼
俺は、モンスティーユの武器屋のカンザス。
初心者から玄人向けまであらゆる武器を取り揃えているぜ!
武器は、職人から取り寄せたりもするが、俺自身も作っていたりする。
今、どうしても完成させたい武器があるんだが、材料がなっかなか手に入らないんだ。
そこで、頼みだ!
リカルド鉱山の頂上にいる白銀の眠れる竜からオリハルコンを取ってきてほしい。
倒したからといって、確実にオリハルコンが手に入るわけではない。
運がかなりよくないとドロップしないと言われている。
運に自信のあるそこの君! 健闘を祈る! 』
俺の運のなさは、パーティの面子を見ればわかるだろう・・・。
ちょっと依頼内容に絶望的心境になりながら、ため息をついているとヌッとナンシーが俺の顔に顔を近づけて、クエスト票を見始めた。
近い!! 近い!! 顔が!!
それを見て、またシーアがなんかメモってる。
もうやだ・・・。
「ん~~、なるほどね~~。オリハルコンかぁ~。
こりゃ~難題だわね。
私、LV999なんだけど、運はそこまで高くないの。105くらいなのよね~。
シーアちゃんは、いくつくらいなの?」
「私も運はそこまでないんです。28とかです」
「んー、トーマの運は・・・0。 ひどいわね」
運があがれば、もうちょっとマシなパーティメンバーが集まるなら、この際運に全振りしますが。
俺は強くなりたい思いが強く、力に結構振っているのだ。
運なんて、後回し!
「悔しいクエストよね・・・。LV999のアタシがまさかの役立たずになっちゃうなんて・・・。
まあ、なんとかならないこともないんだけど・・・かなりな連携が必要になるのよね・・・。
息があわないと全滅の危機が・・・。」
「なんだよ、それ。教えろよ! この際、なんでもありだ! 検討してみようぜ」
俺は、どうしてもこの500万Gが欲しかった。
なんせ今の持ち合わせは、3万G。
500万あれば、武器だけじゃなく防御もそれなりのものが手に入る。
ナンシーは、「う~~~ん」と困った顔をしながら、人差し指をケツ顎にあてて、首をかしげる。
「アタシ、魔法剣士じゃない? 変わった魔法も使うことができるの。
でもそれは禁断の魔法で、なかなか使いどころが難しくて。
全員の運を999まで、一気にブーストできる魔法なの。」
「すげーーーーじゃん!!!!! それ!! それならオリハルコンもドロップすんじゃね?!」
俺は、興奮して立ち上がった。
「でも、そのかわり、全員がLV1になって、しかも運以外の能力とHPもMPも全部1になっちゃうのよ。
さらには回復不能ってオマケつき」
「はぁぁぁぁぁ????!!」
俺は、奈落の底へ突き落されるような感覚を味わいながら、だめだこりゃと天を仰いだ。
「私の召喚獣で、なんとかなるかもしれません!」
シーアが、机をバンッと叩き、立ち上がった。
俺は、シーアの真剣な眼差しにちょっと圧倒される。
「まず、白銀の眠れる竜を全員で攻撃しつつ、敵のHPを削れるだけ削りましょう!
そして、あと一撃で倒せるとこで、私が召喚獣を召還します。
召喚獣には、防御を得意とするのがいますので、それが発動して皆さんを守ります。
そこで、ナンシーさんが、禁断魔法を使うのです!
たとえ、LV1になってもなんとか1ターンくらいはもつと思います!
さすがに、その禁断魔法は召喚獣にまでは、効果ないですよね?」
「ないない。パーティメンバーだけに有効よ!
そうそう、シーアちゃんの言う通り、召喚士がいるともしかしたら成功するかもしれないっていう作戦ね。
ただ、1ターンくらいしかもたないから、LV1の超絶弱いアタシたちが、ラストアタックで、会心の一撃を繰り出せないとゲームオーバーよ。3人ともやられて、召喚獣もパーになっちゃうわ」
「くぁ~~~~~、なんちゅー運まかせな作戦。
でも、これしか活路はないんだよな~~。全滅したら、教会で生き返らせてもらうのにまた金がかかっちまう。
てか、3万Gじゃ、俺一人しか生き返られねぇや」
「だからぁ~~、強がらないで、アタシからお金借りなさいよぉ~~!
出世払いでいいって言ってるでしょ~~?」
「嫌だ!!! 俺は金は借りない! 絶対借りない! 自分の手でなんとかするんだ!」
「もし、全滅したときは・・・、ちゃんと生き返らせていただけるのでしょうか・・・」
シーアが、涙目で聞いてきた。
「・・・・・・う・・うん」
「なんですかーーー?! 今の間はぁぁぁ~~、私たちを死なせて厄介払いするつもりでしょ~~~!」
「いやーーー、外道! まさに外道! 信じられない! アンタもしかして勇者じゃなくて魔王の化身?!」
「わかったから!!! ちゃんと生き返らせる!!!! 約束するから! 協力してくれ」
これは、3人で連携しないと本当にまじで、危ないクエストだ。
とりあえず、クエスト受諾した。
くそ、楽してお金稼ごうと思ったのに、しょっぱなからギリギリの戦いかよ!!!!
俺たち3人は、リカルド鉱山へと向かった。
まだ一回も3人で戦ったこともないのに、めちゃめちゃ困難なクエストを引き受けてしまいました。
この世に一攫千金なんて、そうそう転がってはいないのですが・・・。
はてさて、どうなることやら。