2. 召喚士 シーア
短編として以前、書いていたものです。
短編から読んでいただければ、よりわかるかもしれません。
以前の短編 → http://ncode.syosetu.com/n1756dg/
読まなくても一応はわかりますw
書いていてとても楽しいので、続きを書くことにしました。
どうぞ気軽に頭からっぽで読んでいただければと思います~
俺は、トーマ。17歳。
勇者認定されて、とりあえず一つ目の試練の東の洞窟はクリア。
途中で、どえらいのとパーティ組む羽目になったのだけど。
LV999のケツアゴオカマ魔法剣士。
全然、面白くない!
全くもって、面白くない!!
こういうのって、ふつう俺TUEEEEEEEEE!! のハーレム展開で、わっさわっさ可愛い女の子現れて、みんなから好かれて、えげつないこといっぱいするってのが通常の流れだろ!!!
なにが、悲しくてオカマ剣士となんざ・・・。
しかも俺YOEEEEEEEEEE! で、完全なるオカマ無双。
パーティ別れようとしてもがんとして別れてくれないし。
しかたなく、一緒に村まで帰って来ようかとも思ったけど、ちょっと地元は恥ずかしいので、隣町に行くことにした。
木の精霊のドリュアスがとらえられてるっていう西の森も近くだしね。
東の洞窟のウンディーネを救ったとき、こっちも助けてくれと言われ、とりあえず行くことにしたのだ。
隣街のモンスティーユの酒場でちょっとくつろぐ。
オカマ剣士が、お尻をふりふりさせながら、何やら二本のストローがささった、飲み物を持ってきた。
「いや~~、こうやって二人で一つの飲み物を飲むのが夢だったの~~~!!
でも、ピロピロはなしよ! 興奮しちゃうから~~!!」
「やめろ!!! アホか! 誰が一緒に飲むか! しかもピロピロとか!」
俺は、周りの目がめっちゃ気になっていた。
本当は、同じテーブルに座るのも嫌だが、こいつが離れないのでしょうがない。
俺の目の前に腰かけて、頬杖を両手でつき、あひる口かまして、こっちをみてやがる。
お前がやっても可愛くねーーーんだよ!!! ケツアゴしか目がいかねーーよ!!!
ぞわっと鳥肌がとまらねぇ。
「西の森に行く前に、ちょっと装備をまともにしてぇ。
せめて、武器! なんかこのままこの銅の剣でぶったたいたら、折れそうな気がする・・・。」
俺は、長年つれそったといってもまだ1日だけど、愛刀を眺める。
「そうね~~~、LVも47とかだし、ほんとは鋼鉄の剣あたり装備できそうだけど、あれ結構高いのよね。」
「そうなんだよ。だからよ、ちょっとクエストでもこなして、金稼ごうかなと。」
「あら、いいじゃない! アタシももちろん手伝うわよ。
あ、でもアタシいっぱい銀行にお金あるから、トーマ君になら貢いじゃうけどぉ~~~!」
また、一人でキャッキャし始めた。
うぜー。まじウゼー。
「いいよ、自分の装備くらい自分でなんとかするわ。にしても、おめー名前なんていうの?
いまさらだけど」
「やだ~~~、ほんといまさら~~~!
アタシの名前は、ナンシーよ!」
「うそつけ。」
「いやーん、ナンシーって呼んで! 男性名はごついから嫌いなの!
生まれたときに捨てました!キャハ!」
「いいから言え!!!! 本当の名前を!!」
「もう・・・しょうがないわね~、ギュスターブ・グロタンディークよ・・・」
すげー名前。
「おk。お前今日から、グロたんな。」
「いやーーーー!!! トラウマなのよ~~~~! みんなからいじめられて。
グロたんはいや~~~! お願いだからナンシーって呼んで~~~~~!!」
また、おいおい泣き始めた。
もうやだ。
195cm近いおっさんが、内股でモジモジめそめそしてる姿を見せられるのって。
最悪の気分です。
そんな俺らをずっと見つめてる輩がさっきからいる。視線が気になって仕方ない。
なんだ?
ちらりとそいつのほうを見る。
女の子だ。
あ、可愛い。メガネっ子だ。
でもあれは、眼鏡あっても、すげーポテンシャル高いぞ。
俺が、その女の子をガン見しているのに、ナンシーが気づいた。
「やだ、アタシがいるのに、他の女をガン見とかマジやめて! 許さないんだから!」
てめぇ、ぶっころす! 俺と彼女の出会い邪魔すんな!
俺は、ナンシーを足蹴にして、その子の元へ向かう。
「あの~、何か御用ですか? なんかずっとこちらを見てらしたんで。」
俺は、にこやかに精一杯の愛想をふりまき、話しかけてみた。
「あの・・・、えっと、お二人は、やっぱり・・・その・・・そういうご関係なんでしょうか・・・。
やばい・・・体格差・・・萌える・・・。」
「はぁ????? 」
最後のやつでわかった。
こいつは、腐ってやがる。
チラチラ俺たちを見ながら、なんか必死に書いてる。
そのノートには、あられもない俺とナンシーのくんずほぐれつが書いてあった。
「やめんか~~~い!!!!! 変な妄想書き込んでんじゃねーよ!! 腐女子が!!!!」
「だって・・・、その・・・もう腐センサービンビンに反応しちゃって・・・。
ナンシーさん体大きいし、アナタはその・・・ツンデレ誘い受けっていうか・・・。」
ああああああああああああああああああああああああああああああ
これが、いわゆる腐女子脳か?!!!!
俺たちのこの今の会話で、なにをどうしたらそういう風になるのか。
こいつの頭をかち割って調べたい。
「す・・・すいません!!!! 私のことは気にしないで下さい。
でも・・・ずっと見てたいです。お二人のこと・・・。」
さようなら、俺の恋。
はじまりもしなかった俺の恋。
どうみても腐女子です。ありがとうございました。
「あら、やだこの子~。なんか超すんごい妄想炸裂なんですけど~~!
ちょっとその薄い本見せて! いや~~~、トーマかわい~↑い~↓」
「ですよね!!! トーマさん、可愛いですよね!
すっごいツンツンなとことか、デレたらどうなっちゃうんだろうとか!
考えただけで、うは、昇天しそ!」
「あはははは、あんたやる~~~!
相当、腐ってるわね~~~! やだ、気が合いそう!
ねね、うちのパーティ入らない? アタシとトーマのラブラブすぐ隣で見せてあげられるわよ!」
ふっ! ふざけんなぁ~~~~~! 勝手に話進めんな!!!!!
「え?! いいんですか?!
めっちゃうれしいです。今までいくつかのパーティ入ってたんですが、
なーんか、さえなくて。うまくカップリング妄想できなかったんですよね~~~。
でも、今回はバッチリです!! もう完璧です!!!!」
「何が、完璧なんだよ!!!! リーダーは俺だ! 俺の許可なくしては入れない!!」
俺が立ちはだかった。
「この子、召喚士よ。しかもかなーーーりな腕前。
アタシ見たら結構すぐわかんのよ。パーティいてくれたら、すんごい助かるわよ~~。
まあ、アタシがいれば、なんてことないんだけどね。LV999だし」
「えええええ?! ナンシーさんって、LV999なんですか?!
す・・・すごい・・・ちょっとメモ。最強の魔法剣士と・・・強がりな勇者と・・・」
だーーれが、強がりじゃ!!! 今は弱いけど、見てろよ。俺は勇者じゃ!!!
一番強くなって当たり前なんじゃーーーー!!!
もうやだ。変なのばっかし。
どうか神様、まともな女子を。
普通の女子を我にお与えください。
もうこの際、ほんのちょっとブサイクでもいいです。
若干なら許します。
腐女子っ子は、付いてくる気満々だった。
「はぁ・・・、お前名前なんつーの?」
「シーアです。LVは、136です。20才です。実はこう見えて成人しております。
召喚士をしておりまして、召喚獣は12体所持しております。
場面に合わせて出せますので。なんなりと!!」
「はいはい」
俺は、そっけなく答えた。
ああああ、また変なのが仲間になってもうたぁぁぁ~~~!!前途多難!!!
どうなる?! 俺?!
こうして、召喚士 シーアが 仲間に加わったのであった。
また、勇者は取り扱い困難者をパーティに入れてしまいました。
この先、どんな苦難が待ち構えていることやら。
読んでいただき、ありがとうございました~