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作品 33 「水辺の女」
水辺の女
立ちくらみに襲われたようだ。最近よくこうなる。たぶん、都市の供給してくれる食べ物の栄養が偏っているせいだろう。困ったものだ。
ずいぶんと時間を無駄にしてしまったような気がしたので、私は慌てて <儀式> の用意をした。ウォークマンのカセットを取り出すと、それをロッカーの中の新しいものと交換した。古い方のカセットを、新しいものが仕舞われていたのと寸分違わぬ位置に戻した。そして電池を交換してから、新しいカセットテープをウォークマンに装填し、先にロッカーの蓋を閉めてから、それを再生した。儀式終了である。
かつて一度だけ私はその禁則を破り、使用済テープを再度ウォークマンにかけてみたことがある。結果、聞こえてきたのは、予想されたようにただのヒスノイズ、無音だけだった。
○「父の幽霊」
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まだ中学生の時に母を亡くし、父の手一つで育てられた苑子。その父が脳動脈瘤破裂により、突然死してしまう。苑子が四十歳を越えたときのことだ。葬儀を翌日に控えた通夜の夜、苑子の脳裡に様々な父の思い出が甦る。
Woman who is in the waterside




