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作品 23 「亙り」
亙り
彼女の声の命じるまま駅構内を駆け抜け出ると、それから小一時間ほど、私はお馴染みの人工アメーバの体内を駆けずりまわされた。最後に彼女に案内されたところは、車輛管理用計算機室の外観に良く似たコインロッカー置場だ。
「鍵は持っているわよね」彼女がいった。「 <今度のあたし> はあの手前左のロッカーの上から二、右から七番目よ。生活必需品の方はその右隣のロッカーの上から六、右から四番目。じゃ、しっかりね!」
○『亙り』
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外資系製薬会社に勤務する早水紀律音(はやすき・りつね、三十四歳)は、ある日何もかもが厭になり、車を借り、T都を後にする。路面の闇に惑いながらハンドルにしがみつくように走行し、やがてあるトンネル内で耳に「ツン」という音を感じ、その後、唐突に町と遭遇。その【町】を経由し、『町』に呼ばれる。『町』では前世|(『町』に呼ばれる前)と現世(同、後)の記憶が消去されずに混在し、また生物・無生物を問わず『町』からすっかり消去されてしまう「亙り」という現象が存在していた。
わたしのペンネームの由来となったお話。
Crossing




