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作品 15 「ほう、そうかい」
ほう、そうかい
勝手にしやがれ、と私は思った。だが彼女は私のその思考の流れを無視した。
「その改札口を抜けて、ホームにつながっている階段を降りてちょうだい。で、左側ね」
私の動きに呼応して、緑の帯を巻いた地下鉄の車両がホームに滑り込んできた。七~八輛はありそうだった。停止する。扉が一斉に開いた。とそのとき、私は乗降に関する構内アナウンスが流れていることに気がついた。懐かしい声だった。没個性的ではあるが、郷愁を誘う声であることには変わりない。それは久しく聞いたことのなかった、私と彼女以外の <他者> の声だった。
○「もう死んでしまった姉に(組替版)」
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姉は既に死んでいる。ずいぶん前に死んでいる。幼い頃に母が逝き、だから彼女が母代わり。とにかく優しい姉心。ぼくのことだけ気にかける。けれども姉の別面を、どうやらぼくは見てしまう。嘘か誠かわからぬが、姉が遺した詩の群れに、見知らぬ姉が現れて、苦しい恋が語られる……。
Oh, indeed




