お化け屋敷
今回は浮かばれない幽霊を主題に
やって行きたいと思います。
評価付けてくれたら嬉しいです
「んー…」
お化け屋敷の前で私は唸っていた。
お化けなどは信じもしないけれど
それでも怖いものは怖い。
「よし」
それでも私は意を決して入ることにした。
「あ、パスポートお持ちですね」
従業員は可愛い人だった。
その従業員に促されて、
私はお化け屋敷の中に入った。
「…? 怖くない」
想像以下の怖さだった。
なんだろう? こう……。
きっぱり言おう。全く怖くない。
「なんだろうね。私はこんなものを怖がったんだろう?」
不思議でたまらなかったが
まあ、怖かったんだろう。
「ねえ」
不意に背後から声が聞こえた。
驚いて後ろを振り向くが誰もいなかった。
「どうせアトラクションの一部でしょ?」
そう思い私は前を向いて
歩きだした。
「ええっ!? ちょっと! 置いてかないでよ! 僕の姿、見えないの!?」
「ん?」
アトラクションにしては少し五月蝿い。
そしてしつこい。
「ねえってば! 僕の声聞こえるよね!? 聞こえるんだったら、はい! 聞こえなかったら、いいえ!」
「いや、聞こえなかったら返事できないからね!」
「あ、聞こえてるんだね。良かったあ…」
しまった。つい声に反応してしまった。
生まれながらのツッコミ精神が仇となったらしい。
「僕は幽霊のトーマ・アルグレンス。初めてだよ! 僕の存在に気づけた人!」
「まさかの…本物?」
いやいやいや! お化け屋敷に入って本物を見つけるってどんだけベタな展開なんだよ!!
またツッコミを入れてしまった。
「トーマ・アルグレンス。トーマって呼んでね。それとね、君は僕が見えないんだろう? 声だけだったよね?」
「うん。姿は見えないよ」
声からしてみると、十代の男の子の声だ。
「今日から君についていくよ。君、名前はなんなの?」
半信半疑。いや、零信全疑でしかない。
「私の名前は咲夜。因幡咲夜」
「イナバサクヤ……咲夜だね! よろしく!」
この場の雰囲気に無理矢理にでも合わせたく無いくらいの
声の明るさだった。
「とりあえず、ここを出ようか」
「そ、そうだね」
私は少し急ぎ足で先へと進んだ。
「あ、出口だ…」
「おお…。明るいよ! 嬉しいなあ! 誰か生者がいないと僕ら地縛霊は動けないからね」
聞いても無いのにいろいろなことを言う。
元々、口が達者なんだろうな。
私はそう考えて自分を納得させた。
「出れた…」
正直怖かった。
ここから出れないのではないかと頭の中では警報が鳴り響いていた。
「あのさ、咲夜」
「なに? トーマ」
その幽霊は私にでも分かるくらい
大きく息を吸って
「僕をどうにか成仏させてくれないかな?」
と言った。
「って、はあっ!?」
こんな感じで私のトーマ成仏ライフは幕を開けた。