表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
挟魔 ≪HAZAMA≫青金  作者: karon
青金
3/73


私はママの隣に座って傍らの兄と、共にこれから主役のやってくる空っぽの席を見詰めていた。

 ピンクのリボンに飾られた席がこの催しの意味を語っている。

 同じテーブルに青金(あおか)が座っている。

 私は母の話を聞くともなしに聞いていた。

 傍の兄はいつご馳走を食べていいのかそれだけを気にしているようだ。

 呼ばれた理由を尋ねれば、食べるためと真顔で答えるだろう。

 まあ、いい、いつものことだ。

 基本的にはママは親戚にかかわろうとしない。それも無理はない。私達の父親の名前も知らせずも写真も見せることができなかったのだ。

 それでも比較的親しくしているのが歳の離れた従妹、青金だ。

 なんでも父親が鉱物マニアで、青金石から名前を取ったらしい。

 金という字が入っているためしょっちゅう名前を名字に間違えられると、愚痴っていた。

 どうせなら瑠璃とつければよかったのに。

 まあ、漢字が難しいので、中学生まで自分の字が書けないという弊害があるかもと、かつて訪ねてきた彼女の父が言っていた。

 母と付き合いがあるのは親戚ではあの一家だけだ。実の祖父母はめったに顔を出さない。そう言えば、あちらでこっちをちらちらとみているのがその祖父母だった。

 軽快な音楽とともに、扉が開き、純白の晴れ着姿の新郎新婦が入場してきた。

 適当に拍手して迎える。

 ここにいる人間で、家族以外わかるのは青金とその両親だけ、後は特に知り合ったわけでもない。

 それにしても不思議だ、こんな催しに呼ばれたのは今回が初めてだ。普段は呼ばれないかママだけが行くことになっている。

 ママは私達をかばうように、あまり親戚にかかわらせようとしない。

 理由は分かっているだけに今夏の行動は不思議だ。

「夜。さっきの話、聞いていたわね」

「ほら、あれ、」

 そう言って隅っこの席を指差す。

「あちらにいるのが、優花の父親」

 ママの叔父、私には大叔父に当る人だという。

 確かに、母が幼いころの話とは言え、あれだけのことをしでかした人間がのうのうと出席しているのだ。母がいても肩身は狭くないだろう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ