出逢いは偶然?必然?友紀と千尋の出逢いは…。ふたりの時間が、ゆっくりと動き出す。運命の歯車が…。
窓の外を
ぼんやりと眺めている。
千尋の家は、
街から車で、
40分程のところに あった。
土地勘のない友紀に、 ナビをしてくれる。
顔には、
微笑みが戻っている。
「初めて逢ったのに、 不思議、いろんなこと 話しちゃった。」 「僕も…、楽しかった。 ありがとう。遅くまで
ごめんね。」 「いつも、そう…。」 急にうつむき、 千尋が小さくつぶやく。
千尋の住む街に入った。
「次の信号を左。」
もうすぐ着く様だ。
そわそわ。
友紀は思った。
“また、逢いたい。” 「よかったら、 メルアドと携帯番号、 教えてよ。」
「いいよ。また、 逢いたいし…。」
赤外線を使わず、
紙にアドレスと携帯番号を書いてもらった。
「あれ~、 間違えた~。」
楽しげに書いている。 酔っているので自分の 番号が出てこない。
書き上げると
あの屈託のない笑顔で、
手渡してくれた。
「ありがとう。
メールするから。」
嬉しかった。
「もうここで…。 ありがと。」
静かに車を止め、
助手席のドアを開けた。
しなやかな動きで、
車から降りる。 「じゃあ、
気をつけて、 またね。」
笑顔で手をふる。
千尋が歩き出す。
友紀は、
その小さな背中を、
見えなくなるまで
見送った。
角を曲がる時、 千尋が振り返った。
友紀は、
跳びはねながら手をふるった。 千尋が笑っている様だった。 あたりは
すっかり
明るくなっていた。
友紀は
夢の時間から
現実世界へと
車を走らせた。 家路へと…。
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親愛なるあなたへ
元気ですか?
変わりない?
今日も
笑ってましたか?
逢いたいよ。