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第6話 記憶の終章
――終わりを書くことは、始まりを赦すことに似ていた。
静かな午後、マチルダは書斎の窓辺に座っていた。
机の上には、一冊の原稿。表紙には「THE REQUIEM LOGIC」と刻まれている。
それは、彼女が最後に書いた物語――いや、“書かされた”物語であった。
ページを開くと、そこには彼女自身の人生が描かれている。
幼い記憶、失われた名、そして無数の結末。
リアムは沈黙したまま原稿を読み進める。だが、次第に彼の指が震え始めた。
物語の語り手が、彼自身の声で語っていたのだ。
「この推理は、あなたが完結させなければならない」
マチルダは微笑み、タイプライターに最後の一行を打ち込んだ。
――“推理とは、自己を見つけること”。
その瞬間、すべての記憶が白紙に還った。
彼女は静かに目を閉じ、物語の外側へと歩き出した。
次回予告:
――第7話「Rebirth Review」
再び開かれる白紙の頁。そこに書かれるのは、新しい作家の名か、それとも“かつての記憶”か。
物語は終わらず、ただ形を変えて続いていく。




