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第4話 推理という祈り

――真実を解くことは、祈りに似ている。


マチルダは一晩中、白いタイプライターに向かっていた。

文字を打つたび、机の上に光の粒が散る。まるで彼女の記憶が紙へと還元されていくようだった。

「推理とは、赦しの方法なのかもしれない」

その言葉を誰に向けて呟いたのか、彼女自身にも分からない。

リアムは隣で原稿を見つめていた。文章の流れの中に、不可解な自動記述が紛れ込んでいる。

彼女の無意識が、物語を導いているのだ。

推理とは、犯人を暴く儀式ではなく、世界の矛盾を赦す祈り。

そう気づいた瞬間、マチルダの胸に、かすかな痛みが走った。

その痛みは、かつて“彼女ではない誰か”が感じたものに似ていた。

そして今、彼女の小説の登場人物たちが、祈りのように生き始めていた。


――第5話「永遠の再稿」

すべてを書き終えたはずの彼女の原稿が、翌朝には別の物語に変わっていた。書く者は誰か、語る者はどこにいるのか。

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