表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
98/162

D-DAY+146 2027年5月下旬 ウクライナ国交締結 その3 マリア宮殿での国家晩餐会

#### 「故郷」の牛肉麺の香り


ウクライナ大統領府の待合室。異星司令官服に身を包んだp.adminと、黒いスーツのN君が入室すると、室内は濃厚な八角と牛肉の芳醇な香りに満たされていた


p.admin:

「これは…牛肉麺の匂いだ!昼ご飯は牛肉麺なのか?」


ドアを開けて中に入ると、W子、S子、R子の三人が、目の前の大きな鉢から立ち上る湯気に顔を寄せ、まさに牛肉麺を啜っている姿が見えた。特にW子の顔には、昨晩の不満が嘘のように満面の笑みが浮かんでいた


挿絵(By みてみん)


p.admin:

「まじで牛肉麺だ?まさかその『最上級のシェフ』がこれを?」


S子:

「そうよ、ウクライナ側がW子の為に、台湾からウクライナに嫁いた主婦さん3人を大統領府に招待し、彼女達が手持ちの台湾調味料で牛肉麺を作ってくれたのよ、あなたとN君、そして先生達の分もありますよ」


p.adminは椅子に座り込むと、すぐに出来立ての紅焼牛肉麺が運ばれてきた。彼はひと口スープを啜る。


p.admin:

「……これは、確かに台湾の味だ。系統的に家庭的な紅焼ホンシャオ牛肉麺の味を感じる。麺も、既製品ではなく、やや不規則な形で、この場で手打ちしたコシある太麺だ」


彼は満足げに麺を噛みしめ、横のW子を見た。W子はスープの最後の一滴をレンゲで掬いながら、至福の表情を浮かべていた


p.admin:

「W子、朝食と昨日夕食の不満が完全に解消されたようだな。流石、Ze大統領の『極上の食事の埋め合わせ』は完璧だ」


W子かおり(口元を拭いながら、心底嬉しそうに):

「はい……!この麺とスープの味は、本当に懐かしい。まさかキーウの大統領府で食べられるなんて。最高に美味しいです」


* 台湾出身の主婦たちとの挨拶


p.adminは、傍に控えていたウクライナ側秘書官を通し、奥の厨房から台湾出身の主婦3人を呼んでもらった

3人は恐縮しながらも、誇らしげに立っていた


p.admin丁寧に、中国語で謝意を述べた


p.admin:

「この度は、最高の牛肉麺をありがとうございました。本当に美味しかったです。妻の好みを完璧に再現してくださったことに、心から感謝します」


3人の中でやや年長の主婦Aは、少し緊張しながら


主婦A:

「いいえ、楽園島の執行官様に喜んでいただけて、光栄です。私たちもまさか、大統領府で料理を作ることになるとは思いませんでした。ただ、故郷の味をそのまま出しただけです」


主婦B:

「W子王妃様が、とても美味しそうに召し上がってくださったので、私たちも嬉しくなりました。王妃様は、きっと汁物が恋しかったのだろうと」


p.adminはW子を見て、話した


p.admin:

「ご明察です。この家庭的な紅焼牛肉麺の味こそ、彼女が求めていたものです。ウクライナの戦後復興の中で、こうして故郷の味を守り、提供してくださったことに、改めて敬意を表します」


主婦C:

「王妃様、私たちはあなたの故郷と同じ場所の出身です。故郷を離れた者として、少しでも力になれたなら、それ以上の喜びはありません」


W子も中国語で感謝の気持ちを伝えた


W子かおり

「ありがとうございます。皆様の優しさに心から感謝いたします。この味は、一生忘れません」


p.adminと妻たちは、単なる食事ではなく、国境と戦争を超えた「共感」と「故郷への思い」という、

ウクライナ側の周到かつ温かい配慮を、牛肉麺の湯気の中で受け止めたのでした

日本人ルーツのN君も、T先生、Oka先生と同じ台湾出身のH先生も牛肉麺の味を絶賛した


#### 「晩餐会」までのひと時


p.adminと牛肉麺を食べ終わた頃は、午後の1時過ぎでした

夕方5時から始まる晩餐会まではまた余裕があり、ドレスの着用は4時からという事なので

p.adminと妻たちは「折角だからキーウの市中の様子を見たい」とN君とウクライナ側の秘書官に伝えた


シールドによる強固な防御があるとは言え、やはり護衛なしで外に出歩くのは不味いらしく

凡そ20分後、ウクライナ側SP約10人に囲まれながら、p.admin一行はウクライナ大統領府周辺を散策する事になった


p.admin一行は、大統領府の厳重な警備を抜け、キーウの中心街へ歩き出した

p.admin、S子、W子、R子の四人の周りには、ウクライナの精鋭SPセキュリティポリス約10名が、警戒を怠らずに壁を形成している


* 散策:戦時下の日常


大統領府周辺の、破壊を免れたエリアの街並みは美しかったが、やはり戦時下の空気が流れていた。カフェの前に砂袋が積まれ、公共の場所には「最寄りのシェルター」の標識が目につく


R子周囲を見回しながら、感想を述べた


R子リコ

「本当に警備が厳重ですね……。さっきのデモのこともありますし、仕方ないですけど。でも、皆、普通に生活しているのがすごい」


S子さや

「これが『不屈の日常』よ、R子。戦争によって一瞬にして命を奪われるリスクを抱えながら、経済と生活を止めない。ウクライナの強さの根源はここにあるわ」


S子冷静に、だが感嘆を込めてR子に返事した

なお、W子は静かに、破壊された建物の跡を見ながら口を開いた


W子かおり

「朝、デモをした人たちの気持ちも、少しはわかる気がします。でも、この破壊の跡を見たら、彼らの息子たちが犯した罪の重さも、はっきりわかります……」


p.adminは、妻たちの言葉に耳を傾けながら、SPたちに道を譲らせ、歩みを進めた。N君が横でウクライナ側の秘書官と連携を取り、周辺の情報を確認している。


* Ze大統領の不屈の場所


一行は、大統領府近くの、よく報道された場所へと案内された

そこは、Ze大統領が2022年の開戦直後、ロシア軍の攻撃が最も激しい時に、自身の不屈の意思を世界に示した象徴的な場所であった


その場所で、Ze大統領が車から降りて合流した

Ze大統領はp.adminの隣に立ち、スマートフォンを取り出すジェスチャーをする


Ze大統領: 「兄弟。ここだ。2022年の2月25日、ロシア軍が首都を包囲し、私が国外へ逃亡したというデマが流れた時、私はこの場所で、『私はキーウにいる。そして私たちは勝利する』と、国民と世界に宣言した」


Ze大統領: 「あの時、私の周りには、たった二人のSPしかいなかった。私は、逃げなかった。なぜなら、私が逃げれば、国が崩壊するからだ。だが、今日、君たちの周りには十人のSPと、上空にはネイビーゲーザーのシールドがある」


Ze大統領は、p.adminの異星司令官服を見上げ、真剣な眼差しを向けた


Ze大統領: 「私があの時、命を懸けて守りたかった『正義』と、君が今、異星の技術で守ってくれている『絶対的な公平性』は、本質的に同じだと信じている。私たちは、命を懸けた者だけが、真の平和を築けることを知っている」


p.adminもZe大統領と向き合い、静かに答えた


p.admin(朱雀 椿):

「Ze大統領。あなたの不屈の意志と、我々の絶対的な防御力は、確かに今、この場所で結びつきました。我々は、『理想』と『力』が結びつくことでしか、真の秩序は生まれないことを、世界に示しましょう」


p.admin:

「あなたと『二人のSP』は、ウクライナの勇気の象徴です。そして、私の『多数の異星ドローン』は、その勇気を絶対に無駄にしないという、楽園島の約束の象徴です」


二人の指導者は、一国の元首としてではなく、新しい世界の理想を担う「同志」のような固い握手を交わした。その後、p.admin一行は、この歴史的な場所を後にし、大統領府に戻るため車列へと向かった。彼らの散策は、キーウの市民に「楽園島の保護下にあるウクライナ」の現実を、強く印象づけたことだろう


#### 夜:マリア宮殿での国家晩餐会


* 貴賓室:王妃たちの装いと「見えない工夫」


大統領府に隣接するマリア宮殿の貴賓室。p.adminは既にポルポカラマリの異星司令官服に着替えており、その異質な権威が部屋を満たしている

デザイナーによる最後の仕上げが終わった妻たちが、華やかな姿を見せた


W子かおりは、柔らかなベージュ基調のドレスを纏い、まるでキーウの雪解けを象徴するようだった


挿絵(By みてみん)

R子リコは結婚式でも着用した淡い紫色のドレスを基調とし、装飾やドレープをアレンジすることで全く新しい印象に

挿絵(By みてみん)

そしてS子さやは、彼女の情熱と実務能力を象徴するような深紅のドレスをアレンジし、堂々たる存在感を放っていた

挿絵(By みてみん)

そして三人とも、日本側が制作してくれたティアラを頭に載せていた


p.admin(朱雀 椿):

「素晴らしい。S君が選んだデザイナーは流石だ。特にS子とR子は、元のドレスとは全く別物に見える。これなら誰にも気づかれない」


S子さや:

「ええ。元のデザインを『再利用』しつつ、『最高級の品質』を保つ。それがデザイナーさんの理念ですよ。W子も、今日は落ち着いているようね」


W子かおり:

「昨日の夜、S子に言われたから……。それに、牛肉麺と台湾人主婦の3人、周りが支えてきているから、もう大丈夫。頑張る」


W子は決意を固めたように見えた。彼女のテーブルには、周囲の喧騒から彼女を守る「見えない壁」がすでに築かれていることを知っているからだ


* 晩餐会:国際外交の嵐とW子の安堵


マリア宮殿の晩餐会場は、シャンデリアの光に照らされ、格式高い雰囲気に包まれていた。晩餐はビュッフェではなく、一品ずつ提供されるフルコース形式


W子が座るメインテーブルは、Ze大統領夫妻とp.adminや妻のW子、R子、S子の他に、数名の厳選された高官のみが着席しており、不用意な声かけを防ぐため、警備上の理由でテーブルへの接近は厳しく制限されていた


コースの途中で、待望の「特別な料理」が運ばれてきた。それは、台湾風海鮮焼きそばと、濃厚な台湾風スープであった。


Ze大統領夫人(W子に優しく):

「王妃様、こちらは台湾のご婦人方が、王妃様のために心を込めて作ってくださいました。どうぞ、お楽しみください」


W子は優雅に笑みを返し、スープを一口啜った。その表情が心底リラックスしていることをp.adminは確認し、安堵した


* 歓談の時間:EU諸国の駆け引き


メインコースが終わると、約一時間の歓談タイムが設けられた。各国の代表団は、まるで磁石に引き寄せられるようにp.adminの元へと集まり始めた


まず現れたのは、ポーランド大使だった


ポーランド大使(身を乗り出し、熱意を込めて):

「朱雀陛下!この度のご国交締結、心よりお祝い申し上げます!わがポーランドは、ロシアの脅威に常に晒されてきた国として、楽園島の絶対的な抑止力と正義の原則を最も理解しております。ぜひ、わが国との国交についても、前向きにご検討いただきたい!」


p.adminは、ポーランドの切実な状況を理解しつつ、冷静に返答した


p.admin:

「ポーランド大使。貴国の要請は重く受け止めます。しかし、ご存知の通り、楽園島は外交人材が極端に不足しており、大使館の整備も追いついていません。大使が決まり、適切な外交基盤が整い次第、国交締結の話を進めましょう。それまで、ウクライナ大使館のワープ便を通じて、まずは医療と技術交流を加速させましょう」


この返答は、「国交は希望する国から順番に結ぶが、楽園島側のペースで進める」という、明確なメッセージとなった

イギリスやフランスの特使も同様に挨拶に来たが、既に締結予定のため、より実務的な話題(ワープ便のルートや技術提供の詳細)に終始した


* アメリカ大使の遠回しな接近


最後に、アメリカ駐ウクライナ特命全権大使が、p.adminに近づいてきた

彼は、国内世論に配慮しつつも、楽園島の力を無視できないアメリカ政府の苦境を体現していた


アメリカ大使(形式的な挨拶の後、声を低くして):

「陛下。ご承知の通り、ワシントンには多くの声があり、外交のシステムは複雑です。しかし、私個人として、そして、未来の安定を願う者として申し上げます。アメリカは、外交システム主導で、楽園島との関係を修復し、強固なものにしたいと望んでいます」


大使は、「朱雀王家を法的に承認できない」という建前を崩さないながらも、「システムの修復」という言葉を通じて、楽園島の権威が不可欠であることを認めた


p.admin(冷徹な目を向けながら、静かに):

「大使。あなたが言いたいことは理解しました。『システム』を変えるには、多大なコストがかかります。しかし、そのコストを支払う価値があるかどうかは、ワシントン次第です。我々は、待っていますよ」


* 晩餐会とW子の成長


襲撃や騒乱もなく、晩餐会は成功裏に終了し、賓客はカフェタイムへと移行した

p.adminは、傍らで微笑みを絶やさず、静かに食事と歓談に参加していたW子を見て、安堵した


p.admin(W子の手を優しく握り):

「W子、よく頑張った。無理はなかったか?」


W子かおり:

「ううん、大丈夫。S子の言う事も理解できたし、それに……みんなが隣にいれば、怖いものはないわ」


W子は、単なるAzureの「妻」から、国際的な重圧に耐えうる王妃へと、着実に成長しつつあった

p.adminの隣で、彼女の笑顔は、この冷徹な政治空間における、暖かな真実であった


#### 晩餐会後:カフェタイムとキーウ⇔日本間のワープ便


マリア宮殿の控えの間は、食後のコーヒーと軽食が用意されたカフェタイムとなっていた。賓客たちはよりリラックスした雰囲気で歓談を続けている

S子は、R子とW子と共に談笑していたが、その視線は常に周囲の動きを捉えていた


そこへ、日本の駐ウクライナ大使が近づいてきた。大使は、p.adminではなく、実務の責任者であるS子を最初のアプローチ先に選んだ


日本大使はS子に深々と頭を下げ、そして口を開いた


日本大使:

「さや妃殿下、今夜は誠にお疲れ様でございます。素晴らしい晩餐会でした。実は、この歓談の時間を利用して、一つご相談したい事項がございまして」


S子さや

「大使殿、ご苦労様です。もちろんです。日本の大使館ルートに関する件ですね」


日本大使: 「はい。楽園島とウクライナの国交樹立、そしてキーウとつくば間のワープゲート開設は、当地に在住する日本人の間で計り知れない希望となっています。つきましては、キーウ在住の邦人向けに、キーウ⇔日本間のワープ便の定期運行を強く要請したいのです」


大使は、具体的な要望を提示した


日本大使: 「特に、『リーズナブルな運賃』でのサービスを求められています。例えば、往復1万円程度で、月一回程度でも日本へ戻れる便があれば、邦人の精神的な安定と生活の維持に大きく貢献できます」


日本大使の提案を聞いたS子は冷静に、だが即断の姿勢を見せた


S子さや: 「承知いたしました。ワープゲートの運用コスト、特に中継ワープのエネルギーコストを考慮しても、往復1万円程度での定期便提供は可能です。大使館を通じた邦人の安全確保は、我々楽園島にとっても重要な責務です」


実情では、ワープ便のコストは現状の楽園島財務にとってはノーコストの「0」です、もちろんワープによるエネルギー消費はありますが、それは異星ドローンの反水素リアクターによって容易に補充されます


S子さや: 「ただし、大使殿。この提案については、最終的な裁可は、旦那様の朱雀椿(p.admin)が行います。実務的な準備は私が行いますが、運行開始の承認は、彼の決定を仰いでください」


日本大使は安堵と感謝の表情でS子に感謝の意を述べた


日本大使:

「ありがとうございます、さや妃殿下!貴国の迅速なご決断に感謝いたします。これで在留邦人の不安は大きく解消されます。早速、朱雀陛下にご挨拶に上がります」


大使はS子に再び礼を述べると、p.adminが歓談している輪へと向かっていった


* p.adminへの最終確認


p.adminは、イギリスの特使との短い会話を終えたところだった。日本大使は、p.adminに近づき、丁寧な敬意を払った


日本大使: 「陛下。夜分遅くに失礼いたします。さや妃殿下と、在留邦人向けのワープ便開設について合意いたしました。往復1万円程度での月一回運行の件、さや妃殿下からの承諾は得られましたが、最終的なご裁可をお願いしたく」


p.admin(朱雀 椿):

「(S子を一瞥し、S子が小さく頷くのを確認してから)ああ、S子から話は聞いています。キーウの日本人が精神的な支えを求めるのは当然のことです」


p.adminは、一瞬の思考の後、決断を伝えた


p.admin:

「大使。その案を承認します。ただし、一つ条件があります」


日本大使(真剣に):

「どのような条件でしょうか?」


p.admin:

「ワープ便は、楽園島の正式な外交・輸送ルートとして、最高レベルの警備プロトコルを適用します。この運賃は、日本人への『特例措置』であり、そして利用者の身元確認を徹底してください。

この便が外交上の『恩恵』であることを忘れないでください。日本政府は、関係ない人の利用を排除するように全面的に協力してください」


日本大使:

「承知いたしました!身元確認と安全確保は、我々が全力で対応いたします。誠にありがとうございます、陛下!」


大使は心からの感謝を伝え、その場で日本政府への報告を急いだ。こうして、ワープ便は、ウクライナの在留邦人にとっての「生命線」となることが決定された


後ほどで決められた実施細則では、キーウボルィースピリ国際空港⇔筑波宇宙港の周2回のワープ便開設が決められた

行きはウクライナの金曜日の夜18時、戻りは日本時間の月曜日の午後2時

何故この時間帯に設定すると、日本人利用者は金曜の夕方から日本に戻り、そして日本の月曜の午後から日本からキーウに戻ると丁度朝8時の出勤前という、絶妙な周帰りスケジュールなのだ

運賃の1万円はウクライナ側、日本側の空港の利用料を支払った後、楽園島の手元に残ったのは8000円強でした

利用者数は大使の話によるとキーウ在住日本人と家族を含めて数百人程度、全員が毎週ペースで利用するには考えにくく、大して収入にならなかったようです

それでもp.adminワープ便は将来、楽園島同盟国間の「架け橋」になる未来を期待して、赤字覚悟で開設する事と決めた


なお、夜18時のワープ便は時差関係で筑波宇宙港に到着時刻は深夜12時の事から、地元のバス会社はワープ便の時刻に合わせてに筑波宇宙港→東京駅の夜間特別運転バスを運航してくれた

p.adminはいずれ、TX(つくばエクスプレス)延伸もしくはLRTの新設で、つくば駅から筑波宇宙港までの鉄道開設を日本政府側に持ち掛けたいようでした


ワープ便開設のニュースは、駐ウクライナ日本大使館のメールと、現地の日本人コミュニティのチャットで瞬く間に広まった


登場人物:

佐藤 健太(40代):キーウでIT関連企業に勤務する駐在員

佐藤 裕子(40代):健太の妻。キーウでの生活に不安を感じていた

佐藤 葵(10代:二人の娘。地元のインターナショナルスクールに通う


キーウの自宅リビング。ニュースを見た健太が、興奮気味に妻と娘に話しかける


健太(父):

「おい、聞いたか? 信じられないニュースだ! 楽園島がワープ便を正式に開設するぞ! キーウのボルィースピリ国際空港 ⇔ 筑波宇宙港だ!」


裕子(母):

「ワープ便って、あの朱雀王家の瞬間移動の? まさか私たちも使えるの? でも、あんなすごい技術、高いんでしょう?」


健太(父):

「それが驚きだ。なんと、往復1万円だって! ほぼ赤字覚悟の、援助のようなものだ。しかも運行スケジュールが絶妙なんだ。大使館の担当者がかなり頑張ったらしい」


健太はスマホの画面を指差した


健太(父):

「見てみろ。行きはウクライナ時間の金曜夜18時発。つまり、仕事が終わってすぐ、ワープ便に乗って日本に着く。そして戻りは日本時間の月曜午後2時発。これに乗れば、時差を逆算すると、キーウには月曜の朝8時、出勤前に着く計算だ。」


裕子(母):

「えっ…?じゃあ、私たちは金曜の夜から月曜の朝まで、日本の自宅に帰って過ごせるってこと?!」


裕子の声が震える。かつての戦争の緊迫感、遠い故郷への思い、そしていつ終わるか分からないキーウでの生活への不安が、一気に押し流されるようだった


健太(父):

「そうだ! 週末の2泊3日を、日本で過ごせるんだ!週末だけ単身赴任状態が解消されるんだぞ!これまで飛行機で片道十数時間かかってたのが、一瞬だ!」


葵(娘):

「うそ! それって、週末に日本の友達と会えるの!? 学校のテストの前に、おばあちゃんの家でゆっくり勉強できるってこと?!」


裕子(母):

「(涙ぐみながら)葵、お母さんの実家にも帰れるわね……。あんなに遠くて、もう数年帰れないかと思っていたのに。このワープ便は、私たちの命綱になるわ」


健太は妻と娘を抱き寄せた。彼らの胸に去来したのは、単なる便利さではなく、「故郷への物理的な繋がり」が復活したことによる、深い安堵感だった


健太(父):

「本当に朱雀椿には感謝しかない。彼の『正義』は時に冷徹だが、その技術は、私たちのような遠い異国で暮らす人間にとっては、希望そのものだ。これで、ウクライナでの仕事を続ける精神的な余裕ができたぞ。」


裕子(母):

「ええ。週末に日本で美味しいご飯を食べて、月曜の朝、元気にキーウに戻って来ましょう。このワープ便は、私たち家族にとっての『楽園』だわ」


彼らの生活は、この「周2回、1万円のワープ便」によって、劇的に変わろうとしていた。それは、p.adminが目指す「同盟国間の架け橋」という未来の、最初の小さな現実であった


#### EU在住日本人:ワープ便がもたらす「不公平な希望」


キーウ⇔筑波間のワープ便は、ウクライナ在住日本人にとっては「命綱」であり「希望」でしたが、平和なEU諸国、特に楽園島の裁定に反対したドイツなどに住む日本人にとっては、「楽園島外交の冷徹な優先順位」を突きつけられる出来事となります。ワープ便の恩恵を受けられないEU在住の日本人たちは、このニュースを「羨望」と「孤立」という複雑な感情で受け止めます


ここはドイツ・ベルリン在住の駐在員の夫、専業主婦の妻、現地の学校に通う子供の家庭の話

ドイツは楽園島との国交締結を棚上げしており、ワープ便開設の可能性は現時点で極めて低いです


登場人物:

山本 浩二(40代):ベルリンの自動車関連企業駐在員

山本 真由美(40代):浩二の妻

山本 陽太(10代):息子


リビングで日本のニュースサイトを見ながら、浩二が大きなため息をつく


浩二(夫):

「おい、見たか、このニュース。『キーウ ⇔ 筑波ワープ便、往復1万円で週2回運行開始』だとよ。しかも、金曜の夜に出て、月曜の朝に出勤前に戻れるスケジュールだ。」


真由美(妻):

「ええ、知ってるわ。日本人コミュニティのチャットで持ちきりよ。ウクライナの人は大変だけど、まさかあんな最優先されるなんてね……」


浩二(夫):

「『まさか』じゃないだろ。これが朱雀王家の外交だ。ウクライナは対ロシアの最前線で、朱雀王家の正義を支持した。だから、最高レベルの恩恵を真っ先に受けられる」


浩二は苛立ちを隠せない様子で、コーヒーカップを置いた


浩二(夫):

「一方、わがドイツはどうか?『人権問題』だの『死刑制度反対』だの言って、国交締結を棚上げした。その結果がこれだ。キーウから飛行機で2時間半のベルリンに住んでいるのに、ワープ便に乗る権利すら得られない」


真由美(妻):

「ロンドンやパリに住んでいる日本人はまだいいわよね。イギリスやフランスは国交締結予定だから、時間の問題だもの。でも、私たちはどうなるの? 私はもう、お母さんの顔も何年も見てないのよ。ベルリンから日本に帰るには、飛行機で何十万もかけて、優に半日以上かかるのに……」


陽太(息子):

「パパ、キーウに引っ越せばいいじゃん! 週末だけ日本に帰れるなら、僕、あそこの学校でも頑張るよ!」


浩二(夫):

「バカ言え、陽太。ここは戦争してないんだから、簡単に引っ越せるわけじゃないだろ。だが、陽太の言うことも一理ある。ワープ便の価値は、飛行機の数十倍だ。往復1万円なんて、もはや『国籍と住居で選別された特権』だよ」


真由美は窓の外、ベルリンの街並みを見つめる


真由美(妻):

「私は、悔しいというより、不公平感を感じるわ。私たちは別に、楽園島の裁定に反対したわけじゃない。ドイツ政府が政治的な決断を下せなかったせいで、私たち日本人まで、『国交なし』の罰を受けているみたいだわ」


浩二(夫):

「そうだ。楽園島は『外交』を使って、私たち在留邦人までも人質に取っているんだ。私たちからすれば、ウクライナ人が羨ましくて仕方ない。安全な週末帰国という、最も切実な希望を、ウクライナに住む日本人だけが手に入れたんだからな」


このニュースは、EU諸国の日本人コミュニティに、「所属する国がどの政治的立場を取るか」という現実が、自分たちの生活レベルに直接的な影響を与えるという、新しい世界秩序の厳しさを突きつけることとなりました

後書き:


著者の生まれ育ちの関係上、EU諸国に住んでいる知り合いや親戚は割と多い

やはり現地在住者の切実な願いとして、どの頻度、どれくらいの予算で帰省できる事はみんながとても気にしています

前後合わせて片道だけでもほぼ丸一日かかる帰省は、家族や仕事の関係でそう容易く帰れるではない

もし、どこでもドアのように、気軽に帰省できれば現地在住者にとってはまるで夢のような話ですね

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ