DAY 50 2025/4下旬 自由の証
この章は表現の大規模修正を行いました
シナリオは変更されないので、後続の物語に影響しません
「善人救助の実行」が始まって約一週間、Azure(p.admin)と妻W子による「命の選別と説得」のプロセスは、二人の精神に大きな重圧をかけていました。人命救助という崇高な目的の裏で、彼らは倫理的な妥協と精神的な疲弊に直面していました
p.adminは、要救助リストから緊急度の高い100人を毎日選び、ホログラムと会話を通じて説得を試みました。家族への配慮から、ワープ前には必ず「神の国に行って治療を受ける」という告知をさせました
要救助者が同意した場合は病室や自宅から屋外に出て貰い、ドローンのワープによって月面基地に転送される
ただ個人のスケジュールや家族との言いつけや時間があるので、要救助者が同意してもある程度の猶予を与えるという、最低限の配慮はしている
勿論家族に「神の国に行って治療を受ける」を告知すると、p.adminの身バレの可能性は高まるが、
何も言わずに消えて行くのは家族が悲しむのでどうしても避けたい
この説得のプロセスには、妻のW子もある程度参加していました。彼女は自ら話す代わりに、異星AIが生成した「当事者にとって一番心に響く」選択式のテンプレート回答を使用していました。特に、他人が知り得ない要救助者の個人情報を利用した説得は、同意を得る上で効果的でした
しかし、説得が失敗し、治療を断る要救助者が出るたびに
p.adminもW子も「もし説得が下手のせいで断られたら、私たちが殺したと同義ではないか」という自責の念が襲いました
もちろん「殺した」のは暴論だが、結果的に説得失敗で結果的命が助けられない事ことは重々承知している
二人で50人ずつ説得をシェアしても、精神的なプレッシャーは大きく、一週間も経たない内に心身ともに疲弊しきってしまいました
疲弊をにじませながら、AzureがW子に向けた言い始めた
Azure(p.admin):
「W子ごめんね、人命救助とは言え…我々の手にはもう負えない気がする、私の浅慮でした」
W子:
「あなたが決めた事から私は全力で支えます、もうこんなに要救助の優しい人が目の前に居て、自分が助ける力があったら無視することはできなくなる…」と涙ぐみながら返事した
Azureは、この非人道的な重圧と倫理的な曖昧さに、ある種の解決策を見出しました
Azure(p.admin):
「説得は、ある程度異星AIに任せた方が良いかもしれない、一人一人の願いに真摯に答えたいがイレギュラー対応だけ私がする方が効率です」
W子:
「嘘つく事は良くないけど、命の重さと比べるとね…」
Azure(p.admin):
「正直宗教的な演出はちょっと騙した気もするが、騙せた事によって命を救えたならその批判は甘んじて受けましょう」
彼は、「騙し」を続けることへの倫理的な線引きを試みました
Azure(p.admin):
「せめてホログラムは『宗教キャラクター』にしても、自分が「神」と名乗らない、「神ですか?」に聞かれても直接に答えないように調整する方が良いと思う…それでももし同意率が下がると残念ながら『騙し』を続行するしかない」
「善人救助の実行」が始まって一週間後、要救助者の説得、会話、宗教的な演出の度合いは異星AIに任されるようになりました
同意率は概ね最初の一週間と同等であったため、Azureは倫理的な妥協と効率化を図ることで、この重い責務からわずかながら解放されたのかもしれません
#### FBI/CIA/NSAの舞台裏 — 儒教思想と管理者(p.admin)の特定
アメリカの情報機関(FBI/CIA/NSA)は、「神隠し」事件の尋問結果から、「p.admin」と「月面基地」の存在を確定させた。彼らは、その行動原理を分析することで、主体のプロファイルを驚くほど正確に絞り込み、アメリカの覇権維持のための情報統制を開始した
アメリカ覇権を維持するためGoogle等の検索サイトを閉鎖しAI利用も国内に限定した
日本政府および台湾政府に捜査協力を強く要請した
中国にも要請したが、中国側に断れた(中国政府も独自でp.adminを調査している為)
アメリカは「p.admin」は偽りの救世主、いつ人類全体に害するかはわからないと宣伝した
CIA副長官:
「『神隠し』事件の尋問結果が出た。1000人の再出現者は、末期疾患が奇跡的に治癒。証言は『月で治療を受けた』『光の使者』で一致し、宗教的演出が確認された。月面基地は実在し、我がアメリカの衛星が月の裏側で異常なエネルギー信号を検知した」
FBI主任:
「問題は主体だ。失踪者のプロファイルは教師、慈善家、消防士など、利他性が高い人物に集中。CIAのプロファイリングモデルは、主体を儒教思想に影響されたアジア人、20-40代男性、理系高学歴と推定。善人選別の基準が『家族への配慮』『社会的評価』を重視するのは、儒教的な価値観だ。我々の仮説は『p.admin』は管理者と自称する個人または小集団だ」
ペンタゴン顧問:
「p.adminの行動—ウクライナの重傷者救命、善人救助—は非暴力的だが、全体主義への嫌悪も感じる。ウクライナ介入はロシアを無力化し、次に『イスラム圏の女性保護』を狙う。これは中国のMSS(国家安全部)とは異なる」
* アメリカの対抗策と国際協力の要請
NSA部長:
「技術的痕跡はほぼゼロ。ウクライナ介入時と同じ量子通信の兆候がある。既にGoogleを閉鎖し、AI利用を国内限定したが、p.adminはアメリカの監視網を熟知している」
CIA副長官:
「世論操作も始めている。p.adminを『偽りの救世主』と宣伝し、末期疾患の治癒を『悪魔の取引』と結びつけるキャンペーンを展開。国民の不安を煽る」
ペンタゴン顧問:
「月面基地のエネルギー信号は中国も検知済み。彼らは表向き協力を拒否しているが、裏ではp.adminが中国の独裁体制を脅かすと警戒し独自調査を進めている。日本と台湾には捜査協力を要請した」
* 追跡戦略と最終候補者の絞り込み
NSA部長:
「次の手は監視強化だ。日本と台湾の大学、研究機関、IT企業に絞り、候補者を10万人から1万人以内に絞り込む。我々の解析力は落ちているが、中国がp.adminを敵視すれば、意図せず我々に協力するかもしれない」
FBI主任:
「仮に異星技術なら、なぜアジア人に渡った? 日本在住の台湾人、理系高学歴、個人主義者が最有力候補だ」
ペンタゴン顧問:
「戦略は二つ。
1)日本・台湾の協力で候補者を絞り、監視網を敷く。
2)月面基地への直接調査—衛星のエネルギー解析を進め、必要なら無人探査機を飛ばす。次の失踪事件が起これば、突破口になる」
CIA副長官:
「(目を細める)p.adminは我々を試している。善人救助は彼の理想だが、監視網を掻い潜るのは挑戦だ。次の1ヶ月が勝負だ。候補者リストを絞り、月面基地の証拠を掴む。だが、もし異星文明が関与なら、我々のルールは通用しない。総力戦で臨め」
#### 自由の証(一部AI生成)
Azure(p.admin)は、ポルポ・カラマリの総製造能力を駆使し、イスラム圏の女性保護を目的としたリストバンド型デバイス「自由の証」2億個を急ピッチで製造させた
* 大規模介入の決意と長期戦略
Azure (p.admin):
「(決意を固めてタブレットに入力)女性自身が『守られる』実感を持たないと、自立には繋がらない。ボタンは奪われない設計にし、殺傷リスク感知で自動発動を保証する。100万機のAI搭載ドローンとワープ技術で、1週間以内に中東アジア全域の約2億人に配布を完了させる」
p.adminは、この介入が単なる救命ではなく、10年単位で女性軽視の文化を薄れさせることを目標としていた
Azure (p.admin):
「抑圧文化は一気に壊せない。宗教や家庭の構造が根深いから、女性に『安全と選択肢』を与えるのが先だ。力を得た女性たちが、次の世代を変えていくのを期待するしかない」
* ボタンの設計:
避難ボタンは小さなリストバンド型デバイス。月面から採取されたシリコン資源を用いて作られ強度があり簡単には破壊できない。発動権限はドローン側にあり、ボタン自体は「信号発信器」に過ぎない。リストバンドには生体認証(血管の形)が組み込まれ、他人に奪われても動作しない。殺傷リスク(銃やナイフの接近)を感知すると自動発動。
* 配布方法:
反重力ドローンが中東アジア(ガサ、シリア、イラン、アフガニスタン、サウジアラビアなど)の女性(約2億人)にワープ技術で一斉配布。ドローンがステルス化し、夜間に各家庭や市場、学校にボタンを配置。リストバンドはアラビア語、パシュトー語などで「自由の証」と刻まれる。
ボタンが配布された瞬間、ドローンが短い音声で「危機時に押せ」を伝える。女性がボタンを装着すると、ドローンが「保護対象」として登録。
また、リストバンドの配布もシールドの発動も異星文明が『やりすぎ』と判断しないよう、殺傷は一切なしで進める
* 配布の実行と現地の反応
製造されたリストバンドには、月面シリコン資源が使われ、強度が高く、生体認証(血管の形)が組み込まれていた。デバイスにはアラビア語などで「自由の証」と刻まれた
とある夜…反重力ドローンがステルスで中東アジア全域(ガザ、シリア、イラン、アフガニスタンなど)にワープし、リストバンドを一斉に配置していった
イランのテヘラン、夜。少女が市場で買い物中、突然リストバンドが手元に現れる
テヘランの少女:「(驚きながら装着し、刻印に触れて)これ…何?」
リストバンドが装着されると、ドローンからかすかな音声が発せられた。
異星AI(ドローン音声):「危機時に押せ」
アフガニスタンの村でも、女性たちはこの不可解なデバイスを見つけ、戸惑いながらも装着していった。
* 保護システムの倫理的委任と限界
ボタン押下、または殺傷リスク感知で、ドローンが状況データを収集し、量子通信で異星AIに送信する。AIは以下の基準で「保護すべきか」を判定する
危険度(殺傷リスク、暴行の兆候)
抑圧度(宗教警察や家庭内暴力の関与)
女性の意思(親族の保護希望との照合)
Azure (p.admin):
「(通報システムを監視しながら)通報が1日10万件も来たら、私一人じゃ到底無理だ。協力者がいない今、AIに任せるしかない。保護の基準は、女性の安全と意思を最優先に」
異星AI(システム応答):
「保護推奨と判定。ドローンが半径2mの重力歪曲シールドを展開。隔離が必要な場合は、月面基地へ一時移送します」
しかし、Azureは懸念を抱いていた。
Azure (p.admin):
「(月面基地の在庫リストを見て)ポルポ・カラマリからの食料はスムージーみたいな栄養ドリンクだけだ。生活の質は明らかに低下する。だから隔離は最終手段。ほとんどの女性はシールドの力を借りて、自力で立ち直る必要がある」
当面の心配はやはり月面基地の生活インフラや食糧の供給、ポルポ・カラマリ文明から供給を受ける食料はスムージーの様な栄養ドリンクで人体に必要な養分には足りるが味気ない、それをずっと摂取すると生活の質は明らかに低下するとp.adminが危惧した
だからこそ、月面基地への隔離は最終手段で、殆どの要保護イスラム女性はシールドの力を借りて自力で立ち直るしかない
* 短期的な社会変化
リストバンド配布から一週間後、イスラム圏ではその機能が知れ渡り、その効果が表れ始めた。
女性らは「いつでも保護される」という安心感を得たことで、抑圧への抵抗を増加させた。イランではヒジャブ強制を拒否する女性が急増し、アフガニスタンでは少女たちが密かに学校へ通い始めていた
この介入は、社会の奥深くに静かな、しかし確実な「解放の種」を蒔いたのだった
p.adminの見込みは10年単位で、女性軽視や所有物化の文化を薄れさせる事である
抑圧文化は一気に壊せない。宗教や家庭の構造が根深いから、女性に『安全と選択肢』を与えるのが先
力を得た女性たちが、次の世代を変えていくを期待するしかない




