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地球の管理者:異星文明に選ばれた元研究者  作者: azureimf
恒星間航行級フリゲート艦「ネイビーゲーザー」 準司令 篇
76/120

D-DAY+131 茶番劇:S子の悪夢、悪役令嬢に婚約破棄を

前書き:

茶番劇ですので、興味ない人は読まなく大丈夫です

実際のシナリオでは、この出来事をなかった事として扱います

帝国ホテル・VIPフロアのリビング


夕食後のリラックスタイムにp.adminがタブレットをS子に差し出す


p.admin:

「S子、これ見てみろよ。今流行りの『婚約破棄』の漫画だ。悪役令嬢が婚約者から追放されて…ざまぁって感じ」


S子は眉をひそめ、タブレットを受け取る

読み進めるにつれて、その表情は険しくなっていく


S子:

「…はぁ? なにこれ、馬鹿なの?」


p.admin:

「いや、ツンデレのS子にも、こういう展開は刺さるかと思ってな」


S子:

「刺さるわけないでしょ! こんなの、権威と常識の欠片もない茶番劇よ!」


S子はタブレットをソファに投げ出し、p.adminを真正面から睨みつける


S子:

「いい? そもそも論として、私を『悪役令嬢』として婚約破棄しようとするなら、その馬鹿な王子のあんたには三つの致命的な欠陥があることになるわ」


S子: 「まず、私は楽園島の経済産業総括官よ!私が担当する外交で得られる国益と、私が確立した経済システムが動いている。私を追放すれば、楽園島のGDPの半分以上が凍結され、水産物や対外の経済交渉はすべて白紙になるわ!この王子は、国の経済を破綻させる無能な売国奴ってこと!?」


S子: 「そして、私は『ネイビーゲーザー』の医療カリキュラムを習得した数少ない人間よ。上皇様と上皇后様の若返り治療の継続も私にかかっている。私を追放すれば、日本への外交カードと、皇室の健康という最も重要な極秘情報をすべて敵に渡すことになるわ!この王子の頭の中はお花畑かしら?」


S子: 「さらに言えば、私を追放しようとすれば、W子も黙っているはずがないでしょ!W子はもう私の事を認めてくれているわ!彼女は家庭内の争いが嫌いで、あんたは合理的に理由なく私を排除しようとしているら、W子が悲しくなる上に、R子の目から見てもあんたの行いは家庭内の秩序を乱す最大の愚行よ!」


S子:

「結論。この漫画の王子は『悪役』でもなんでもない。ただの『無能』よ」

「Azure、あんたは私がいないと国も家庭も回らないってことを、改めて認識しなさい!この漫画を私に見せたのは、私がどれだけアンタにとって重要かを再確認させるためのきっかけになるわ!」

「ただし次はないから覚えなさいね!」


p.admin: 「(…しまった、ただのいたずらのつもりが、真剣な政治討論になっちまった。)…はい、わかりました。軽率な行動についてはあやまるよ、本当にオタクとしての興味本位ですので誓って他意はない」


p.adminは、S子のあまりにも合理的で隙のない論理に圧倒され、いたずらのつもりが、逆にS子の地位を再確認させられる結果に終わるでしょう


S子:

「わかればいいのよ。さあ、私への感謝の言葉を述べなさい。そして、次はティアラの制作の進捗も常に私に報告してね」


* 当日の夜: S子視点 *


p.adminがいたずらでS子に見せた「婚約破棄の悪役令嬢漫画」。昼間のS子は、自らの経済力と政治的地位という鉄壁の論理でp.adminを論破したが、その夜、その強靭な理性は眠りの中で打ち破られた


冷房が効いた帝国ホテルのVIPフロア、広大なリビングのソファで仮眠を取っていたS子は、途轍もなく生々しい悪夢を見ていた


夢の中のp.adminは、現実のラフな格好ではなく、なぜか漫画に登場するような、滑稽なほど白い中世の礼服を着て立っていた。その隣には、R子が中世の豪華なドレスに身を包み、清楚で可憐な表情でp.adminの腕に寄り添っている


ステージのような場所で、p.admin(夢のキャラ)が冷たい声で宣言した


Azure(夢のキャラ):

「これより、S子との婚約破棄をここで宣言する!あなたはもう楽園島から追放する!」


S子の頭は混乱した


S子:

「え?なんて…?」


Azure(夢のキャラ):

「あなたは裏でR子を虐めた証拠を掴んでいる!これだけ証拠が揃っても認めないのか!?」


その言葉に、隣のR子(夢のキャラ)が涙ぐみながらS子を非難した


R子(夢のキャラ):

「私は…Azureを愛しているのに、彼を私の傍から奪い取ろうとしている…泥棒猫よ!」


「泥棒猫」現実のR子では決して口にしない、あまりにも酷い言葉

S子の潜在意識が抱えるR子への罪悪感が形になった瞬間だった


S子:

「ちょ…R子!泥棒猫は流石に言いすぎでしょう?W子も私の事を認めているよ!そうだ、W子は?」


S子は、自分を認めたW子の名を叫んだ。すると、ステージの背後からW子が静かに、しかし冷徹な視線でS子を見下ろしていた


W子: 「貴女は楽園島に来たばかりの時から、私の代役、ファーストレディの代わりを夫に言いつけたでしょう?本当は私を入れ替わりに正妻になろうとしたんじゃないですか?」


S子は、心の奥底の「野心」を見透かされていたことに、激しい動揺を覚えた


S子:

「違う!私は当時、Azureを助けたいだけで、決してこのような意図はない!」


夢の中の「断罪シーン」は最悪の展開を迎えた。そこに、なんと天皇様と皇后様まで現した


天皇様(夢のキャラ):

「わたくしは貴女に失望した。あなたはAzureの妻に相応しくない!代わりにわが娘のK子が彼の婚約者になる!貴女は即刻この国から去れ!」


S子:

「え?天皇様…ここは…日本?え、でも私達は楽園島のはず…ええ!?」


***


その瞬間、S子は悲鳴のような声を上げて跳ね起きた。


身体中から冷や汗が噴き出していた。心臓は激しく鼓動し、息が荒い。周囲を見渡せば、広大なリビングルーム。時間はまだ夕方7時で、彼女は昼食後の休憩でソファで寝ていただけだった


安堵よりも先に、底知れない怒りが込み上げた。矛先は当然、この悪夢の原因を作った男だ

S子は、近くで事務作業をしていたp.adminを見つけ、怒鳴りつけた


S子:

「Azure!!!あんたが見せた変な漫画のせいよ!!!謝りなさい!!!」


S子は怒りに任せて、p.adminに飛びかかっっての首を絞める真似をした

p.adminは突然の攻撃にのけぞり、悲鳴を上げた


R子:

「S子やめて、何するの?」


R子が慌てて駆け寄り、S子を制止しようとする


Azure(苦しい表情で):

「え?どうした?俺はなにもしてないよ…」


S子:

「すべてあんたのせいよ!夢の中のあんたの態度に絶望したわ!」


Azure:

「え…君の夢の中に登場するキャラまで流石に責任は負えませんよ…」


p.adminは痛みに顔を歪めつつ、現状を分析した


Azure:

「婚約者が悪夢から目を覚めたら発狂した件…あはは…」


S子:

「面白くないわ!あんたは反省しなさいよ!」


W子は立ち上がり、二人の間に割って入った


W子:

「S子はほとほとにして、あなたも意味のないいたずらはやめて!婚約はS子にとってデリケートな話だから…」


S子は力が抜け、p.adminから離れた


Azure:

「はい、わかりました…単純にオタク的な趣味ですみません」


S子:

「W子、ありがとう…」


***


S子は、落ち着いた後、悪夢の出来事を震える声で話し始めた。R子は驚きと戸惑いをもってその話を聞き、p.adminは「妙にリアルさもありますね、あはは…」とまだどこか現実味のない反応を示した


Azure:

「S子は人を虐めるような人間じゃない事だけは分かるよ、たとえば階段から突き落とすとか伝統な悪役令嬢のやる事とか」


p.adminが不用意に悪役令嬢の「悪事の例え話」を持ち出すと、S子はすごい目でp.adminを睨んだが、何も言い返さなかった


Azure:

「いいえ、とにかくそれは夢の話の事を言いたいだけです。R子も『泥棒猫』なんて言わないですよね、うん、言わないよね?」


R子:

「言わないよ…」


p.adminがS子の不安を打ち消そうとした瞬間、S子は却って怒りを覚えた様子だった


S子の夢の話を最後まで聞いたW子は、大きく息を吐き、静かに言い始めた


W子:

「色々あって、みんな疲れているから、私がちゃんとしない責任もあって、ごめんなさい」


S子:

「え、別にW子を責める訳ではないよ…」


W子:

「だけど、人のデリケートな所にあえて挑発するような真似は、本当に良くないよ、いい大人だから…」


その後、Azureは小1時間W子の説教を受ける羽目になった

Azureのかつての一大欠点「他者の感情への無神経さ」を突くものだった

p.adminは、国交締結の晩餐会では王族に囲まれても冷静でいられたが、妻の前ではただの叱られる夫だった


S子もW子が自分に援護してくれる態度を見て、静かに安堵していた

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