D-DAY+131 2027年5月上旬 祭りの後
国交締結式典当日の晩餐会でp.adminは目の前の要人と挨拶だけで手一杯となり、正直隣のW子R子に気を配る以外の余裕はありませんでした
次の日、9時過ぎにp.adminが起きて「また悪夢の朝10時チェックアウト?」と心配したが
N君がを気を利いてくれて帝国ホテル最上級フロアでの滞在は三日間を取ったらしい
普通なら一晩130万円かかるらしいが日本外務省は「国事支出」として予算で支払った
式典の次の日からつくばの家に帰るつもりでしたが
家にはp.adminとW子R子3人なら十分だが、S子も入れると余裕がなくなると思いp.adminは帝国ホテルでの滞在を受け入れた
* AM 9:30
帝国ホテルVIPフロアのリビングには、豪華なルームサービスの朝食が並べられていた。p.adminはフレンチトーストを頬張り、T先生、H先生、N君と共に、和やかながらも緊迫した打ち合わせを始めていた
p.admin: 「うまい。やはり一流ホテルのフレンチトーストは違うな。…しかし、N君、朝からありがとう。三日間の滞在延長は本当に助かった!また悪夢の朝10時チェックアウトか?って心配してたんだ」
N君: 「いえ、執行官殿の健康管理も職務の内です。特にW子様とR子様がゆっくり休まれることが、次の外交への最良の準備となります。予算は日本外務省の『国事支出』として承認されましたので、ご心配なく」
H先生: 「それにしても、朱雀君。昨晩の晩餐会は…凄まじかったね。各国の王族が、まるで我々を品定めするような視線でね。おかげで私は口を開く暇もなかったよ」
p.admin: 「はは。正直、私もW子R子に気を配る以外の余裕はなかったですよ。…で、次はウクライナ国交締結、でしたか?」
N君:
「執行官殿、二週間後はウクライナとの国交締結を控えておりますが、ご家族の休憩時間を考えて今週中は極力スケジュールを置いてません」
p.admin:
「それは助かります、こういう晩餐会の連続だと流石に俺もダメになったしまう」
N君:
「他にイギリス、フランス、ドイツ、ポーランドからも国交締結の要請が来たけど、問題は発生しまして…簡単に言えば外交筋の人材は足りません」
p.admin:
「そうよね、今はT先生とH先生が外交を担当してもらって、T先生は日本の仕事で手一杯だからH先生は無任所大使ですべての国をカバーしきれない」
H先生:
「私もこれを懸念していました。大使の適任者、早めに手を打つべきです」
T先生:
「Azure君、博士審査の時の副査だったOka先生を呼んではいかがでしょうか?」
p.adminはフォークを止めた
Oka先生は、p.adminの博士課程の研究分野の大先輩で、研究で色々教えてもらったり指導もしてもらった
p.admin:
「Oka先生か。懐かしいですね。先生には本当に色々お世話になった」
T先生:
「ただOka先生をいきなりウクライナ送りはひどいので、大使館にワープゲートを設置して、つくばに日帰りできるようにすれば大丈夫かと思います」
p.admin:
「ですよね、T大学の先生達は基本的につくば住み、単身赴任はかつて私が一番嫌いな制度なので、この辺は最大限の配慮を行いましょう!」
外交官の人選が固まり、話題はウクライナ外交で必要となる「形式」へと移った
#### ティアラとダンス:形式という名の戦い
N君:
「では、ウクライナ大使はOka先生を内定するとして、ウクライナは東ヨーロッパとは言え、式典には洋服ドレスが必要と思われまして。そして…晩餐会ではティアラも必要かと」
p.admin:
「またドレスか…俺はもう結婚式の白いスーツで良いや、W子R子S子はどうしますか?」
S子:
「この前着物に世話になったデザイナーさんにまたお願いしたいけど、W子R子は良い?」
W子:
「知り合いのデザイナーさんなら同じ話は何度もしなくて済むから助かります…」
R子:
「私も良いと思います」
p.admin:
「N君、ウクライナの国交締結式典後の晩餐会はまさか踊りませんよね?」
N君:
「ウクライナは旧ソ連の慣習がまだ強く、晩餐会にダンスの習慣はありません。しかし、イギリスとフランスの晩餐会では、ダンスが必須の社交となります。その時は覚悟してください」
p.admin:
「デブのおっさんにダンスを求めてもな…」
N君:
「それをご心配されるのであれば、ウクライナ国交締結の後から、ダンスの先生を呼んで集中的にレッスンを始めるよう調整しております」
N君の冷徹な現実主義に、p.adminは反論できなかった。そして、ティアラの話になった
N君:
「あと、W子様とR子様のティアラも用意しないといけなくて、経験がある日本の宮内庁に打診いたしましょうか?」
p.admin:
「ティアラなんて…浅草橋でそれっぽい安物を買えばいいんじゃないですか?普段は使い道はないし」
N君:
「W子様とR子様のティアラも、国の格式と関わるため、宮内庁御用達の宝飾品メーカーに正式に依頼しないといけません。浅草橋の安物では…世界中で笑い者になってしまいますので」
p.adminは諦めて頷いた
p.admin:
「分かりました。本物を手配してください。私が着る訳でもないので、W子とR子がよければ」
その言葉を聞いたS子が、間髪入れずに部屋に入ってきた。彼女はもう既に朝食を済ませ、戦闘態勢だった
S子:
「ずるい!私もティアラが欲しい!」
N君:
「S子様、ティアラは王族としての象徴です。誠に恐縮ですが、S子様は執行官殿との結婚式まで我慢していただきたい」
S子:
「そうなの?じゃあ、先にデザインして作っておいて。Azureと結婚したら着るわ。どうせすぐに結婚するんだから、無駄にはならないでしょ?」
N君:
「それは…構いませんが。W子様とR子様も、これでよろしいでしょうか?」
W子は静かに朝食の海鮮なべ焼きうどんを食べ終え、ティッシュで口元を拭ってから答えた
W子:
「まとめて作る方が、その…楽ですから。一緒に作りましょう」
S子:
「W子ありがとう!」
S子は満面の笑みを浮かべたが、R子は少し難しい顔をしていた
彼女の内心には、S子の野心と、ティアラの持つ形式の重さ、小さな影を落としていた
ティアラという「王族の象徴」が、S子とp.adminの将来の結婚を不可避なものとして決定づけていくことへの無言の抵抗と不安でした
p.admin: 「(宮内庁御用達のティアラか…。あの手の職人は仕事が早いといいが。それにしても、修羅場にならないように祈るしかないな)」
後でN君に知らされたが、宮内庁御用達の宝飾品メーカーのティアラ制作の見積もりは一人当たりで2500万~4000万程度を知り少しショックを受けた
平日なので、休憩時間を利用して少し書いた
短めですが物語の話は少しずつ進みます
活動報告にも色々書いてありますのでよかったら見に行ってください




