D-DAY+65 2027年3月上旬 正当性と自己責任のジレンマ その2
* AM 9:00 つくば市中心部
p.adminのつくばの「家」の隣に、楽園島大使館が建設中で一部のプレハブオフィスは既に運用されていた
家を含め大使館の周囲に複数台の茨城県警のパトカーが駐留し周りを警戒している
p.admin一行は大使館仮設オフィスに入り、T先生とその部下たち(i.e. 晩餐会の秘書とアメリカ会議で通訳をしてた3人も)が居た
さらに、S子さんとH先生、Riu先生とLee先生もつくば北部のワープゲートを通して合流してくれた
R子のために、楽園島の幹部たちがあちこちからつくばに集まってくれた
S子によると、H先生を始め、回復したRiu先生とLee先生が本件について対応中の事
元臨時CICメンバーで、p.adminのAISTの同僚KATOさんIWAさんOZAさんも楽園島で異星ドローンを使いR子のいとこを追跡中で、居場所はほぼ分かったのこと
S子:
「Azureは昨夜は殆ど寝てなかったでしょう、ここは私達にまかせてあなたはW子さんと一緒に家に帰って仮眠を取りなさい」
p.admin:
「私がいなくて不都合な事がありますか?」
S子:
「全然ないよ、ドローンの権限も数も十分貰ったし、いざとなれば救出活動も可能ですから心配しないでください!」
「ただし当事者のR子さんは暫く借りるね、後で返すから楽しみにして頂戴」
R子:
「S子さん、家の件でお騒がせて申し訳ございません!」
S子:
「良いのよ!いずれ姉妹になるだから遠慮しないで!」
R子:
「え?」
S子:
「あはは冗談だよ、さあAzureさんW子さん、休めないと次は何が出るのがわからないでしょう?早く寝てね」
W子:
「S子ありがとう」
p.admin:
「ではT先生、S子、R子にお願いします」
p.adminと妻のW子が隣に自宅に戻り、凡そ2ヶ月ぶりの帰宅であった
家の事はW子にまかせて、p.adminは寝室に戻りぬいぐるみの傍で横になった
* PM 1:00 R子いとこ拉致事件の経緯と結果
家のスマートドアベルが鳴らされて、p.adminはその音で起き上がり、
スマホのドアカメラで見たらS子さんとR子さんでした
p.adminはドアを開けて家に入れてあげると
R子:
「お邪魔します…」
W子:
「R子はここの家が初めてだけど、次はただいまで良いのよ」
R子:
「はい」
S子:
「私もお邪魔しますね、それともただいまの方がいいかしら(笑)」
W子:
「S子、冗談はやめて」
S子:
「はいはい、では本題に戻るね、事件はほぼほぼ解決できた!」
p.admin:
「え?もうですか?」
S子:
「では説明しますね」
S子さんは簡潔にR子の「いとこ2人の誘拐事件」の経緯と結果を説明してくれた
まず、R子のいとこの二人は「拉致被害者ではなく」自分の意思でアメリカに行き、現在はテキサス州の荒野の倉庫にいるが軟禁状態になっていた
R子叔母さんの話を聞くと、凡そ一ヶ月前から「アメリカのシンクタンクを名乗った人達」が息子と娘に声をかけ、年収30万ドルでコンサルタントとして雇うと誘ってきた
最初は叔母さん不審と思ったが相手がAITまで一家を招待し、アメリカ政府との繋がりが証明された
叔母さんは「p.adminはいずれアメリカと協力関係を築く方がいい、その土台として息子と娘がやってくれる」と信じ込み、アメリカ行きを賛成した
いとこ二人はAITで素早くビザを取得しアメリカへ出発し、最初の2週間では毎日家に連絡したが、先週から「重要な仕事があるので暫く連絡を控える」と言い音信不通となった
S子さんが台湾の関係者拉致対策時、R子の親戚であるいとこ一家の状態や安全を確認済
ただ、い叔母さん一家は中正紀念堂への避難を断った為、代わりにシールド展開用のリングを渡した
リングのおかげでテキサス州に入る直前までドローンは詳細の位置を把握することができ、その後リングはアメリカ側のエージェントに没収されたらしい
ドローンの映像によると、二人とエージェントがテキサス州の荒野にある倉庫に入るまでの映像も確認された
二人は拉致された様子はなく、自分の意思で倉庫に入ったように見えた
エージェントは試しにリングのボタンを押してシールド展開の試したが、本人が操作した訳ではないのでシールドは展開されなかった
p.admin:
「あのボタンはただのビーコンでシールドを展開する力はないですからね」
ドローンが倉庫内部をスキャンした結果
倉庫内部にはエージェント監視付だがそこそこ緩く、主にカメラによってモニタリングされたようでした
凡そ2時間前、従兄がシャワーを浴びる際にS子とR子は小さいホログラムを用いてバスルームに出現し、謎の紙についていとこらの真意に聞いた
その結果、謎の紙に書いた内容について従兄は「シンクタンクのコンサルティング業務の一環」と説明した、
目的は「p.adminをアメリカと交渉できるようにを手助けする」らしい
それを聞いたR子はかなり怒って従兄を叱った
S子は「では台湾に帰りたいの?そのままアメリカで滞在したいの?」と聞いて、「従姉と相談する」と返答してくれた
凡そ10分後、従姉もバスルームに入りR子と話し合い、従姉は「騙された、台湾に帰りたい」と懇願したらしい
それを決まったら動きが早く、二人は倉庫の開けた場所に戻り異星ドローンによるシールドが展開された
二人はそのまま倉庫の入口に歩いて、倉庫のドアとシャッターはシールドと衝突してぺちゃんことなり、二人はあっという間に夜のテキサス州平野に出た
いとこらを監視するエージェント達は音を気付き外まで追いかけてきたが、いとこ二人はドローンによるワープで直ぐ台湾の中正紀念堂の高台に移動された
R子は経過を叔母さんに知らせて、叔母さんは涙しながらR子に感謝した
一応二人が密入国にならないように、H先生を通して台湾外交部に事情を説明し連絡をいれた
S子:
「そしてね、似たようなケースはR子のいとこだけじゃないと思ったT先生は幹部達の身辺調査を行うように指示した」
「調査の結果、アメリカシンクタンクを名乗って接触してきたケースは複数あったが、幸い他の人はアメリカへの出国前なので、すぐ警告して止めた」
聞かば幹部の3等親家族までは確認済、それより遠い親戚と元同僚などは把握しきれないという
一方、R子叔母さんがコンサルタントの契約書を見せてくれた、中には「コンサルティング業務の為、滞在施設を限定する場合もある」と書いてあった
アメリカエージェントの行為は、あながち「拉致」ではない解釈もできるのはかなりグレー的な所
p.admin:
「親戚の政治的な立場を利用してまたこのような事案は再発しかねない…ただそれもある意味当事者の自己責任でありすべてを面倒見る事はできない」
従兄の政治的な立場では台湾独立派で良いものの(実はp.adminも台湾独立派)
従兄は「p.adminがアメリカに盾を突くべきではない」と考えていた
台湾L元総統による緊急命令発令時、自分は被害者になる可能性があるのに、
従兄は「当時の政府の決定はやむえない、妥協すべきのはp.admin」と考えていた
叔母さん、従姉はそこまで政治的な立場は強くないですが、一家は従来ではD与党を支持してきた
p.admin:
「ただアメリカエージェントのやり方はえげつないね、FBIとCIAは不可侵協定を結んだのに」
S子:
「それてね、N君の話によると今回裏に動いているのはFBIでもCIAでもなくNSAの公算が高いらしい」
p.admin:
「次々と厄介な者が出てくるね、ネズミホテルのIT担当もそうだし、明らかに日本人なのにアメリカの為に死ねる決意って精神構造はどうなっている、まるで狂信者のようだ」
S子:
「とりあえずR子いとこの件はこれで解決したよ、今度はW子や私の周りから出てもおかしくないけど、打てる手は打ったし今は心配しても無駄ね」
R子:
「S子と皆さん、本当にありがとう」
S子:
「R子良いのよ、Azureさんどう?これで私も嫁として合格?」
p.admin:
「それとこれは別ですね、今回の件はすごく感謝しますよ」
妻のW子さんはこうした場面では無口となり話を聞く姿勢を貫く方が多いが、彼女の表情を見てどうやら安心できたようです
W子:
「R子よかったね、S子もありがとう」
事件が解決され、p.adminはR子W子と隣のプレハブ大使館に行って、T先生とN君と、H先生、Riu先生とLee先生に謝意を述べた
p.admin:
「先生方、本当にありがとうございました」
Riu先生:
「Azure君は偉くなり、こういう事はこれからも起きますよ、後できちんと対策しましょうか?」
H先生:
「R子叔母さんとの交渉でLee先生はすごく活躍できたよ、Lee先生にもありがとうを言ってあげてね」
p.admin:
「はい、Riu先生、Lee先生ありがとうございました!」
Lee先生:
「Azure君どういたしまして、R子さんもいっぱい手伝ったよ!」
因みにもともと70台のLee先生は65日間のアンチエイジング治療を受けて身体年齢が凡そ6歳程度を若返り、
二ヶ月前と比べてだいぶ顔色が良くなり、もう50代後半に見える外見となっている
* PM 3:00 マイホーム
その後、p.adminとW子R子は隣の家に戻り
R子:
「ただいま…」
W子:
「おかえりなさい」
p.admin:
「同時に帰ったのでみんなただいまですね、私も言う習慣はないけど」
「そういえばいっぱい汗をかいたけどまだ風呂に入ってないね、先に風呂に入るよR子は待っててね」
R子:
「はい、旦那様」
W子はバスタブにお湯を張り、家のバスタブはギリギリ二人が入れるタイプだけど、
p.adminは太いためいつもは妻のW子に先に入れてもらい、
暫くしたらW子が体を洗う際にp.adminが湯船に入るという暗黙のルーチンがありました
今回はp.adminが先に湯船に入り、しばらくしたら「W子もおいて」と声を掛けたら、なんとW子とR子は裸で同時に入ってきた
かなり眼福だけど、変なことをすると妻達に怒られそうだから、大人しく体と頭を洗った後p.adminはバスルームから出て行った
夕方、皆で一緒に外で晩ご飯するとp.adminが思ったが、隣の大使館を覗いたらT先生もS子もいなくて、
連絡を取ってみたらT先生の元同僚の誘いでS子N君と部下たちは寿司屋に行ったらしい
因みに行ったのは回らない寿司屋でp.adminがよく食べた100円寿司とは結構レベルが違う
残されたp.adminはW子R子を連れて、近所の洋食ファミレスに行った
p.adminとR子は包み焼きハンバーグを注文し、W子は海鮮スープスパゲティを選んだ
夕食後、近所の総合ドラッグストアで日用品を買い込み(田舎の薬屋は食品、日用品を含め基本的に何でも売ってるイメージ)
そのあと、家に戻った
p.adminは体の疲れでW子にマッサージしてもらうようにお願いすると、
W子はR子にp.adminが疲れやすい、痛みが出やすい所を教えながら妻二人がやさしくp.adminをマッサージしてあげた
夜、R子はp.adminの仕事部屋で寝ると提案したが、
W子は:「あの怖い事件も昨日にあったからR子も一緒に寝た方が良いよ」
と3人で一緒に寝る事を許した
ただ寝室のダブルベッドは三人は寝れず、W子はベッドを使い、p.adminとR子は床にマットレスを敷き同じ部屋で寝た
もちろん、p.adminはR子を軽く抱きしめるしかできなかった…(男の夢は叶うことは難しいね)と密かに思うp.adminがいた
補足:
今回はアメリカが本気でp.adminとやり合うではなく、半分「探り」的な行動です
R子のいとこ二人は一応「自分の意志」でアメリカに行き、「自分の意志」でR子を誘い出すような手紙を書いた
アメリカの誘い方は悪質ですが、ルールは破ってない、誘拐されたかと言うと解釈によってはそうではないとも抗弁できる
例えば、今度は他の幹部の親戚が自分の意志でp.adminと敵対する国に行こうとすると、p.adminもそれを止める権力は持ってない
これこそがNSAが狙った所、ただ実際に実行してみるとp.adminの警戒心と反感を買う以外は、アメリカ側は何の収穫もなかったように見える
この話はあと一話で終わります、アメリカは裏での妨害はこの程度では収まりません




