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地球の管理者:異星文明に選ばれた元研究者  作者: azureimf
恒星間航行級フリゲート艦「ネイビーゲーザー」 準司令 篇
57/121

D-DAY+45 2027/2上旬「ネイビーゲーザー」の士官・指揮官教育

#### 『ポルカラ星語カリキュラム』


「ネイビーゲーザー」訪問後の一ヶ月、p.adminと妻のW子とS子は毎晩12時に輸送機に乗って「ネイビーゲーザー」で教育を受けることになった

p.adminは「なぜドローンのワープで移動しないか」についてシグマに問いかけると


シグマ:

「指揮官の移動は輸送機を使うのがフォーマルルール、輸送機の安全性とシールドはドローンより高いと、ネイビーゲーザーのドックに接続しやすいにも理由である」


「ネイビーゲーザー」に到着したらまず50分のスリープ(体感時間は約8時間)を経て、目覚めたら8時間の教育を受ける

教育の最初の2時間はポルカラ星の共通言語カリキュラムを学ぶ、昼食休憩?を挟んで4時間の士官教育を受ける、これまでのカリキュラムは3人で一緒に受ける

最後の2時間の指揮官教育はp.adminだけが受けて、妻W子とS子は医療室で異星医療について勉強するようです


R子は楽園島の代理責任者として島で待機し、ホログラムで最初の2時間のポルカラ星語カリキュラムを参加した

なお、R子も前のp.adminの「お給料」の時に、p.adminの説得で30歳まで若返るアンチエイジング治療を受けることを決意したから

楽園島の医療ベイで週一で治療を受けることになった

これでp.adminと同世代の幹部は、全員30歳まで若返りする治療を受ける事になる


一ヶ月の期間でポルポカラ星語の上達は不可能に近いが、p.adminの母語は繁体字中国語で、中学生時代から独学で日本語を学び、

更に小学生の頃から実家のお手伝いさんのフィリピン人の女性がかつて中学校の先生でしたから英語をたくさん教えられた

p.adminは日本語力はネイティブに近い、英語力も幼い頃の訓練や博士課程や研究員としての経験から何とかビジネスレベルになっている


ポルカラ星語は人類の主流言語とかなり異なり、言語から海洋生物的な思考がうかがえる

たとえば自分(I)と表す言語は群れ(We)の下位修飾表現となり、すべての原始表現は「群れ」単位で出発する言葉が多い

また群れの動きを表現または命令する言語は最初の言葉にあり、群れを成す「魚の進化形」を思わせる


ポルポカラ星語を上達したいp.adminらは与えられた翻訳マシンを極力、使わないようにした

代わりにシグマは「アシストコンピューター」を渡してくれた

その機能の一つ

・脳波を分析しリアルに言葉候補と関連のポルポカラ星語を提示、また聞いた言語を分解し単語の翻訳を表示

によって上達スピードが体感的にも早くなった


「アシストコンピューター」の機能はやろうと思えば人類のテクノロジーもできそうだが

p.adminは興味本位でシグマに聞いてみた


p.admin:

「このアシストコンピューターは便利ですね、ポルカラ星のパソコンやAIモデルは人類のニュートラルネットワークや現行の2nm(2027年時点)プロセスと比べてどうなるでしょうか」


シグマ:

「ロジック回路の製造プロセスに関しては人類の方が微細化が進んでいると認識、回路構造と材料こそ違うがポルポカラ星のコンピューター製造は人類視点で概ね5nmプロセスを使っています」


p.admin:

「え?でも量子通信やRSA256の暗号を一瞬で解除するなど、ポルポカラ星がずっと先進だと思いました」


シグマ:

「我々ポルポ・カラマリ人は素粒子物理学や材料学、バイオテクノロジーでは人類より数百年レベル進んでいるが、人類のテクノロジーの中ではコンピューターだけが突出していると我々が考えた」


p.admin:

「人類のコンピューターの爆発的な進歩は皮肉にもゲームのグラフィック処理でNVIDIAとATI(後のAMD)のバトルが始まったらしい」


シグマ:

「我々もその歴史を知り、人類は娯楽のためにそこまでリソースを使った事は我々にも驚いた、ゲームやグラフィックに限って言えば人類はポルポカラ星より先進です」


#### 『士官教育と指揮官教育』


しばしの人類のゲームハード談義の後に、p.adminは士官基礎カリキュラムを終え、主に指揮官教育を受けるようになった

指揮官教育では時々艦長代理のオメガ殿も指導を行い、ポルポ・カラマリ人の戦術思考や艦隊運用を学びました

また、準司令となり、「仲間」として見なされたp.adminには、現状の艦隊規模の詳細も教えられた


ただ、彼らポルポ・カラマリ人は凡そ195年後別の任務で太陽系から離れるらしいが、

p.admin自身はずっと地球でポルポ・カラマリ人の代理で大丈夫と言われた


p.adminは一瞬、(アンチエイジングでたとえ200年生きるとしても年取ってずっと指揮官を務めるわけにはいかない)と思った

それを察したシグマはこう話した


シグマ:

「指揮官殿は定期的にアンチエイジング治療を受ければ、論理的に永遠に生きられる」

「我々も組織の命令が変わらない限り指揮官殿と共にいるのでご安心ください」


p.admin:

「え?故郷とか家族とかは大丈夫でしょうか?」


シグマ:

「もちろんシフトと休暇はいただきますよ、ポルカラ星から地球まではワープ9で10日間のはお忘れになったか?」


p.admin:

「そうか、それを聞いて安心しました」


因みにアルファ提督の艦隊では乗員総勢2万人で、約30隻の大型宇宙船が存在する

大型宇宙船は大抵ワープ7で航行することができ、母艦の「ポルポ・カラマリ・スター・クルーザー ホームシップ」は3km超えの巨体でありながらワープ8で航行可能

中型艦である「ネイビーゲーザー」は艦首に付けたリング状の「アドバンスドワープコア」を併用すれば、高速艦並のワープ9まで航行可能


母艦の他に、艦隊中に長さ2km級の主力艦が2隻、「ネイビーゲーザー」の同型艦のフリゲート艦は3隻、他には駆逐艦、高速偵察艦、重武装輸送艦などもあります

p.adminは司令官であるがアルファ提督から直接命令を受けるかというとそうでもないらしい

提督殿の要請がれば艦長代理オメガと副艦長のシグマは「協力した方が良い」と建言された

その辺は艦長代理のオメガとシグマは私よりずっと詳しいので、もし何かがあれば一言知らせるだけであとは任せると指示した


#### 『艦隊に水産物提供』


p.admin:

「人類としてポルポ・カラマリ人に対してこの質問は失礼であれば指摘してくれ、君らの先祖は地球の海洋生物をたとえると近似種は存在しているでしょうか?」


シグマ:

「いいえ、司令官殿、その質問は失礼ではありません」

「直接な先祖種はありませんか、Octopoda目(i.e. タコ)と遺伝子レベルで83%程度で合致していると調査の結果と分かった、Decembrachiata目とは約70%、asotus種と約21%程で遺伝子が一致」


p.admin:

「(やはりタコなんだ…)人類、特にアジア圏ではタコを食べる食文化が存在していて、ポルポ・カラマリ人的には不快を感じたり、もしくはタコを解放したい思惑がありますでしょうか?」


シグマ:

「司令官殿、少なくとも自分は不快と感じません、タコ種やイカ種は食糧として見なしませんか地球人の食文化には尊重します」


p.admin:

「もし人類のマッドサイエンティストが人類の遺伝子をタコに混入してタコの強引な進化を引きおこすなら、ポルポ・カラマリ人はそれを阻止しますか?」


シグマ:

「アルファ提督殿はおそらく阻止するでしょう…」


p.admin:

「なるほど、因みにポルポ・カラマリの主食はなんでしょう?甲殻類か貝類とか?」


シグマ:

「それは我々にとっては大変なご馳走になりますね、我々は宇宙航行中、主に艦内培養の海藻類から栄養を摂ります、甲殻類や魚を用いた保存食もありますが、特別な日やご褒美の時に与えられます」


p.admin:

「もっと早く察すべきでしょうね、楽園島周辺に君らのドローンによって採取した海産物は、定期的にポルポカラマリ艦隊に提供致しましょうか?」


シグマ:

「司令官殿、この提案は大変感謝致します…大変魅力な提案ですが、しかし艦隊全体に20000人が居るので、楽園島の運営に影響するかを心配です」


p.admin:

「元々海産物は楽園島の初期的な運営財源にすぎないので、今は地球の日本政府に色々仕事の請負もしているし、アルファ提督から借りた物質分解装置もあるから、水産物は輸出しなくて全部内需に回しても構わないよ」

「ただ量が量なので、輸送方法については任せます」


シグマ:

「司令官殿、輸送については我々に任せましょう、海上プラットフォームに水揚げした海産物を積んで頂ければこのシグマは責任を持って艦隊全体に配ります」


現状、水産物の売り上げは海洋リソースを考えて年間3万トンと設定し、その中の1万5000トンを水産物卸会社に売却、1万トンを日本側の物資と交換

残り5000トンを各地のシェルターに配るという構成となっているが

水産物をポルポカラマリ艦隊に提供する話をS子に伝えると

S子がざっくり計算した結果漁の範囲をやや拡大して水揚げ量を年間4万トンに設定した、


1.漁の範囲をやや拡大して水揚げ量を年間4万トンに設定

2.欧米協力者の水産物卸会社に売却分を1万トンまで減らし、日本との取引は1万トン維持だが今後の方針を漁業協同組合と打診

3.シェルターに配る分は需要自体は少ないから代わりにお金を配ることとなった


これで余った2万トンは楽園島の内部消費以外は全部ポルポカラマリ艦隊に提供すると合意した

平均ポルポカラマリ乗組員一人で一日2KGの海産物が与えられる計算である

もちろんお金は取るはずもなく、異星ドローンも楽園島の建設も物質分解装置も元々は彼らポルポカラマリ人の提供ですからね


#### 医療知識カリキュラム


W子とS子は士官教育の後、医療知識カリキュラムを受けます

士官教育は正直息苦しい上に異星文明との違いもあって、医療知識カの方がメインでも良いとp.adminは思った

初日ではp.adminも一緒に医療教育を受けることになった


ポルカラ星の医療技術では人類より遥かに進歩して、アンチエイジングやDNA修復による若返り治療、ガンの根本治療、および臓器の再生やクローンも可能です

ただ、遺伝子への改造はある種の抵抗感があり、余程の難病じゃない限り遺伝子改造による治療は行わないようです

アンチエイジングや若返り治療では、遺伝子テロメアを修復や細胞の再生を助けるアミノ酸をコードする命令等、遺伝子改造なしで高レベルな再生医療技術をもっている


p.adminの疑問は

「ポルポ・カラマリ人は何故そこまで人類(ヒューマン)の身体構造を理解しているか?」と医療室スタッフに聞くと


医療室スタッフによると

「ポルカラ星と交流のある他の異星文明では、地球人類と遺伝子構造が似ていた種族もありまして、特にアンドロメダ星では人類と遺伝子レベルで99.98%程度類似している」

と回答された


人類と身体構造の主な違いとして、アンドロメダ星人はテレパシー能力と平均知能は人類より高く、平均寿命も人類視点で約1000年と教えられた

アンドロメダ星は地球文明より数千年単位進歩して、医療技術に関して彼らがもポルポカラ星に共有した経緯があった。ただ、アンドロメダ星は地球の存在を認知しているが自らが接触する事はなかった


S子:

「まるで人類の上位種、エルフみたいな存在ですね」


W子:

「実際に会うことないでしょうから、物語として認識するしかないね」


p.admin:

「士官教育も含めここまで教えられると、もう俺らの立場は人類側ではなくなった気がする…」


次の日から、医療知識カリキュラムが大事と思ったW子は、R子を説得してホログラムで異星医療教育カリキュラムを受けることになった

ただR子はコールドスリープ装置を使わないので、睡眠時間は夜4時間と昼4時間に分けるように頑張って調整するらしい


#### 『先生達の若返り治療』


異星文明による若返り治療は、週1回医療ベイで非侵襲的治療を受け、週あたりに約半年間の生体年齢が若くするらしい

グラデーション的な変化で直ぐに別人になるわけではなく、それでも数ヶ月でもなると見た目から違いが出る


当初、年取って末期がんのRiu先生も治療が終わり、一ヶ月後元気な姿を見せました (30日=約2年分の若返り効果)

70台のLee先生も気色がよく、るp.adminとH先生、Riu先生は1年後の様子を密かに期待している

T先生も若返り効果でしょうか見た目は日々元気になりつつあると周りの人が思った


Lee先生とRiu先生はH先生や他の幹部らに実務を教えられながら、楽園島でやりたい分野の仕事を模索するようです

Riu先生は宇宙旅行したいと申し出があったので、後日p.admin共に「ネイビーゲーザー」への訪問した


#### 『アメリカの情勢』


楽園島での戦闘が敗退後、アメリカ側が156人の戦死者を出した上に1000人以上の捕虜を楽園島に拘束された(一方、楽園島の死傷者が0人)、

その後日本政府の仲介で一部のNASA亡命者を除き1000人程度が日本に移送した後に、アメリカ政府は厳重に保護される中でアメリカ本土へ帰還させました

もちろん、全員に厳しい箝口令を敷いた


それでもアメリカが1000人を長く拘束する事もできず、やがて各自の家に戻った後に、少しずつアメリカが敗戦した噂が広がっていた

軍事ブロガー達はEUの民間人工衛星等を利用して楽園島の周辺情勢を分析し、不自然な大型タンカー船の消失でアメリカが敗戦した予測記事を出していた

トランス政権は即座にブロガー達に司法調査を命じたがEUの軍事ブロガーもアメリカのブロガーと同調し、

さらに任務中であるはずの原潜の乗員が米本土で複数確認された証言等から、阻止不可能まで敗戦説が広まった


決めつけは、月面・天体観察など日常的に行う複数の天文愛好サークルが、

月から100kmに離れた月軌道上に500M超えの大型宇宙船を撮影成功したことが世の中に知らされた

アメリカ政府は当初「AI Fakeだ」と声明を出したものの、

楽園島と友好的なEU諸国では「月軌道上の人口構造物は確認」を認め、アメリカ政府自身が嘘を付いた事が明白になった

p.admin自身は「ネイビーゲーザー」の存在は肯定も否認もしないスタンスを保った


世論では、武装を持つ500M級の巨大宇宙船はもしp.adminの管理下であればアメリカ軍はとても抗えないと見て、

金の値段が高騰しアメリカ国債や米ドルが暴落した

カルフォルニアにあるベンチャー企業や大手テック会社も次々とカナダまたはEUへの移転を検討していると報じされた


もちろんトラブル本人が激怒し、周りの補佐官や国防長官が宥めるに手一杯のようでした

現状では楽園島に刺激してはいけないとトランプの周りの人が宥め、チャンスを見て異星文明との接触を図ると打算していた

ネイビーゲーザーの話はp.adminが実運用まで暫く休憩します

次は、R子が報われる日が来るかもしれない

ただ、彼らポルポ・カラマリ人も本当は地球のカニやエビを食べたくて仕方ないのに

現地協力者であるp.adminが自ら「提供」を言うまで、彼らは何も要求してこなかった

この辺からにも彼らポルポカラマリ人がルールに厳しい事をうかがえる

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