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DAY 1YR+288(D-DAY) 2026/12下旬 アメリカ本会議当日 その1:二つの宣戦布告

#### AM 7:00


p.adminは最後の最後まで米軍の行動をシミュレーションしていた

長い一日と予想するから寝ないと持たないと思い、辛うじて5時間ほど寝れた


彼は万が一の考えて、ポルポ・カラマリ文明に連絡を入れた


p.admin:

「もし緊急事態が発生したら人命救助の観点から協力してくれ」


直ぐに、ポルポ・カラマリ文明からはテキストメッセージで返答された


ポルポ・カラマリ:

「緊急状況なら介入する」


同時刻、既に起きていたT先生とS子と通訳のT先生教え子Aとホログラム会議で打ち合わせを済ませ、今日の大まかな流れを伝え後は米軍次第で臨機応変のみ

正直交渉前の段階でほぼほぼ決裂確定なので、S子の参加意味は薄いが、こっちの意図への理解を少しでも遅れるでしたら意味あると思って参加させた


挿絵(By みてみん)


#### AM 9:00 重力ミラーで登場するp.admin


p.adminは月面基地から重力ミラーでアメリカ大使館の前に出現し、

楽園島からの3人(T先生、S子、A通訳)はホログラム経由で大使館ゲート前で合流した


ちなみにp.adminはワープで来ると日本政府側に伝えたので、

見た目で重力ミラーでは日本、アメリカ側はp.adminは生身の人間に見えて、見分けがつかないはず


日本政府側の出席者が外務省の北米局の局長、と前回も参加した海上自衛隊幹部一人の二人のみ

p.adminは今回の交渉で安全上のリスクがある事と、いざという時は日本政府側の人員にも保護すると伝えた

日本側にリスクを事前に伝えないのは、

以前のS子来日時の教訓から、「日本に伝わった情報は何らかの形で米軍側に漏れる」をp.adminは予想したから


#### AM 9:30 本会議


米軍大使館のゲートが開き、会議場である庭を一望するp.admin

庭には白いカーペットを敷かれていて、中央には20人まで座れる奥行きのある大きいな長方形のテーブルが鎮座していた


p.adminはアメリカが重力干渉装置を用意していたがを気にしていたが

一応、今朝8時時点でドローンによる重力波レーダーのスキャンでは、特に重力波干渉ができる装置は見つからなかった

元素記号115や重力操作が可能な物質も検出されなかった

アメリカは重力嵐の事を恐れて別の手を選んだ可能性はあります


米大使:

「p.admin殿、ようこそ在日アメリカ合衆国大使館へ、こちらへどうぞ」


米大使はすぐにp.adminに握手を求め、p.adminは重力ミラーのままで握手を応じた

心なしか、米大使の表情は何となく後ろめたさと感じた

元々本会議で襲撃が起きる事を織り込み済みなので、重力ミラーも今日の為に用意したからp.adminは気にしなかった

自分はまるでシナリオをすでに知っていた役者のように、この茶番劇を精一杯演じる事に専念するしかない


アメリカ側の主要参加者は外交側は駐日大使と日系参議官の二人と、前回参加した駐在武官ともう一人軍制服の30代後半に見える幹部がいた

前回参加したFBIとCIAの幹部らの姿も見えない

交渉が済んだから用無しか、すでに決裂したから今更言うこともないのどちらかとp.adminは見た

周りに海兵隊などの応援も見られなくて、表側にアメリカ側の会議参加者は4人のみとなっている


ドローンの生体スキャンで、大使館敷地内及び建物内は合わせて50人くらい居るらしいか、戦闘要員の見えないのでスルーした

大使と参議官の顔色は悪いように見えた、やはり何か知ってるのでしょうか?


p.admin:

「事前交渉の通り、シールドを展開させていただきます、よろしいですね?」


米大使:

「ええ、ただ私たちもシールド内にいることが条件です、どうぞ」


p.adminは「見た目がシールドらしいのホログラム」をドローンに命じて発動させた、

テーブルを余裕に包むくらいサイズの薄い半透明の緑の壁が出来上がり、

いかにも「シールド」的な見た目だが、実際はただのホログラムで重力シールドの効果は持っていない


p.admin:

「攻撃が来ない限り、人員の出入りと大気の流動は可能なので気にしないでください」


米大使:

「では、本日のp.admin殿と我ら合衆国との会談を始めましょうか?」


日系参議官:

「では本日の議案はこちらです(会議資料的なものを配る)」


議案:

1.p.adminが不当取得した合衆国の軍事設備の返還について

2.p.adminが不当占有したアメリカ属南太平洋のフィジーの島の返還について

3.p.adminが異星文明との交渉と行動で合衆国に莫大な損害を与え、その損害賠償の方法と内容について

4.p.adminは異星文明のテクノロジーと一切の権限を放棄し、合衆国に無条件移譲する方法について


サラッと表題を見て、p.admin「これはもう交渉決裂確定だな」と思った

日本政府側をちょっと見てみると北米局長と自衛隊幹部の顔色が厳しいように見えた


米大使:

「p.admin殿にはとても難しい決断だと思いますが、どうか世界秩序維持の責任を我々アメリカに任せていただけませんか?」

「もちろん、合意ができた場合はp.admin殿と協力者に安全とこれからの豊かな生活を我々アメリカは保障いたします」


p.admin:

「アメリカは会談する気すらないですよね、大使は会話派と思いますがとても残念です」


T先生:

「残念ながらこちらの条件は執行官殿にとって交渉不可能と捉えます、お互いに譲歩案は一度練りませんか?」


p.admin:

「ただ今の会談中でも、アメリカから我々に対して脅威的な行動を取っています、ひとまずこちらの資料も目に通してください」


T先生とS子はホログラム参加なので資料である紙を持つことができない、

重力ミラーで参加したp.adminが自分の動きを遠隔地に反映できるので、彼がA4の資料を持って配ろうとすると日系参議官は代わりに配ってくれた


なお、資料は事前にワープで転送された物、重力ミラー参加のp.adminが重力操作で手で資料を持つ演出を意図的に行われ、

これはアメリカ側はp.adminはこの場にいると確信させる為である

なぜこのような芝居が必要かというと、p.adminは「アメリカがルールを破って攻撃してきた」という強固な証拠を公にしたかったですから


p.admin:

「こちらの資料は、貴国が我ら楽園島と台湾周辺に部署した艦船の一覧です、今朝8時の最新情報ですので、これについて何か言うことはありますか?」


米武官:

「貴様!どうやってこれを!」


米軍幹部:

「おや武官殿は落ち着いてください、フィジー海域の島は我々アメリカの領土なので、その島の防衛に軍艦を出動しても何かおかしいなことでもおっしゃるですか?」

「台湾付近の米軍艦船は、アメリカが従来通り主張した自由航行権の一環です、それ以上申すことはありません」


p.admin:

「どうやら白を切るおつもりですね、では我々楽園島は議案のすべてを否決し、交渉は決裂と現時点で決定致しました」


p.admin:

「貴国から楽園島に12海里までの侵入や攻撃を確認できれば、貴国からの宣戦布告と見なす上に、我々もアメリカ全土の米軍勢力に対して宣戦布告を致します」


自衛隊幹部:

「p.admin殿!これは困ります!我々日本政府側の立場もお考えください!」


p.admin:

「考える?この議題は『楽園島は大人しく降伏しろ」としか書いてないではないしょうか?我々がこれを受け入れるとでも日本政府側はお考えですか?」


北米局局長:

「アメリカも少し交渉余地のある仲裁を我々日本に任せてください!」


北米局局長の発言が終わった次の瞬間、小さく「ヒュー」と響いた、まるで吹き矢のような音がした

月面基地にいた生身のp.adminは、腹付近に何か当たった感触がして、反射的に自分の体を見ると何もなかった

なお遠隔地の大使館の庭のp.adminでは、長さ5mmくらいの金属の針のような物はp.adminの腹寸前の空中に阻まれ、そのあとに芝生に落ちていた


p.adminはゆっくりと米国側を見ると、万年筆ぽい何かを左手で握っていた米武官が驚愕した表情でした


米武官は(CIAの報告ではシールド内で二重シールドは張れないはずでしょうか?)と思いながら

「何故…」と小さく呟いた


ほぼ同時に、米軍幹部は立ち上がりながら手を挙げ、それを見た武官は米大使と強引に連れてシールド外に退避しようとした


米大使:

「まだだ!まだ交渉の余地が!どうか我々外交官に任せてくれないか!?」


p.admin(そうきたかと思いながら):

「残念ながら最悪な状況が始まった、日本政府側の局長と自衛隊担当さんはこれからワープ転送で避難していただく!」


北米局局長:

「p.admin殿、これはどういう!?」


p.adminは北米局局長の言葉を無視するようにドローンに命令すると、自衛隊幹部が何か言おうとした瞬間で局長ともにp.adminの目の前から消えた

ただ、妙なことで東京方面の空には一筋の光の跡が見えた

次の瞬間、日本政府側の二人は内閣府の屋上で出現した


ドローンの報告(p.adminしか聞こえない):

「関東広域の上空にタングステン線の散布を検出、生体ワープに影響なしで転送した二人は既に目的地まで到着を確認、光の軌跡はワープによる圧縮された重力場でタングステン線と衝突し発光現象を生じた」


同時に、関東広域上空にタングステン線の散布より、一時携帯基地局をはじめ、様々な無線通信障害が発生した


p.admin:

「なるほど、これでワープを妨害するつもりなんですよね」


米軍幹部:

(もうデルタ-1の状況を開始するしかない、VXガスの散布を行う)


軍幹部は万年筆らしい物をp.admin側に投げ込んた後に「見た目のシールド」から走りながら離れた


「シールド」は見た目のホログラムなので、もちろん空気の流動は通常通りですのでVXガスは大使館職員と周辺住民にも害を及ぼす可能性が高い

因みに米軍は事前に会談中における複数襲撃案を用意しており、デルタはVXガスを利用したカテゴリーを示している


ドローンの報告:

「VXガス検出、浄化プロセスを起動します」

p.admin:

(俺の生身は月面基地にいるから関係ないけど、周りに無関係な人も大勢いるからやらないとまずい)


p.admin:

「ただいま、国際法違反のVXガスを我々が検出した」


米軍幹部:

(何故効かない!?)


米軍幹部は銃を取り出してp.adminを照準し射撃体制を取っていたが、シールドの存在を思い出し発砲しなかった


p.admin:

「アメリカ政府から私に対する攻撃の事実を確認しました、これにより楽園島はアメリカに対して宣戦布告を宣言いたします」


p.admin:

交戦準備があるのでこれにて失礼させていただきます。貴国の敵対行為に報復させていただきますのでご覚悟ください」


なお、周りに目を配ると日系参議官は明らかに調子が悪くうつ伏せて喘息している様子

本当に世の中を良くしたい人が死ぬのが忍びないので、「日系参議官を月面基地の医療ベイに搬送するように」とp.adminは異星ドローンにワープでの搬送を命じた


会議開始してから完全決裂までは約100秒間の出来事でした


同時に、アメリカ大使館の出来事はドローンのホログラムを通して全世界にライブ配信しました

p.adminはしばらく誰もいないアメリカ大使館の庭に立ち続けた

凡そ10分後、CNNなどの主要メディアから「アメリカトランプ大統領はp.adminや楽園島をテロリスト組織を認定し、軍事活動を開始する」と報じられた

会議中のアメリカ側による襲撃行動については、アメリカ側政府側は一切記者達の質問を回答しなくて、直ぐに表れたセキュリティガードによって質問した記者を全員連れ去られた


ドローンによるアメリカ大使館のライブ配信が阻止の手段が存在しないまま全世界に広がり

各国政府が本件について議論される最中、配信を見たアメリカ市民の一部は自国政府の行いを見て強く反発した

それに対してトランプは直ぐに連邦部隊を派遣し、多発したデモを鎮圧していく


補足:


アメリカの立場的には、p.adminが降伏すれば最善ですが、

これはほぼ不可能とアメリカ側も思っていて、次善はp.adminをこの場で仕留めることを最優先にした

だからワープを用いて逃走を防ぐべく、タングステン線によるワープ妨害策も打ち出した(効かなかったけど)

重力妨害装置の利用も検討されたが、p.adminの思う通り、もし重力嵐が起こった場合の周辺被害が大きく避難も不可能な為

日本本土では使えないとアメリカ側が判断した


日系参議官は会議開始直前でやっとアメリカ政府(主にトランプ)から指示された議案書の内容を知り、大使は事前に議案書と襲撃の可能性はを把握していた

平和な日本に駐在した米大使は立場的に会話派ですが(参議官は会話+融和派です)、職務上彼らは政府直々の命令を背くことはできなかったが


物語の設定として、アメリカ大使と武官、軍幹部は事前に襲撃を事前に知っており、日系参議官はそれを知らない(やや親日的な立場で情報漏れ予防)、

大使は自身の緊張と命の危険などからあまり交渉の場面に立たなかった、この辺は実はp.adminも同様でした

(決裂は事前に確定済なので日本政府側の人の安全確保に気を遣う)

よって、襲撃が始まり実質の被害者は日系参議官一人になってしまった


補足その2:


N氏、アメリカ合衆国外務省参議官、40歳、祖父と祖母は日本人、父は日系一世で母は米在住ハーフ日系人、N君は日本的な外見なのに若くて出世した、日系家庭で育った為英語も日本語も精通、日本外務省の中ではN氏はわりと有名でアメリカ側と日本側の外交案件の摺合せ役を何度も担当したらしい


彼の祖父はかつてWW2中“敵性外国人”として強制収容された日系人であり、解放されたは米軍の先遣隊に参加させ自分の忠誠心を証明させた

N氏はこのような家庭背景で育ち日本とアメリカに対して相当なコンプレックスを持ち、それでもDCの良い文科の学部を卒業し、アメリカ外務省に入省した

アメリカ人として誇りを持ちながら、日系人の長所を使って米国に貢献すると、N君は常に考えていた


#### 幕間劇:N氏の独白


ここはどこだ…見慣れない部屋だ。消毒液の匂いがする。ここは…病院か?

いや、違う。何か狭い透明な箱のような物の中にいるらしい

窓の外に見えるのは…地球だ


p.admin…あの男が、俺をここに連れてきたのか

俺は…確か、本会議の最中だった

大使は顔色が悪かった。武官は落ち着きがなかった。あの軍幹部…あいつだけが、最初から俺たちを人間扱いしていなかった

彼らは知っていたんだ。今日の交渉は茶番に過ぎず、俺たち外交官は、ただの舞台装置にすぎないと


俺は…彼らを信じていた。いや、信じようとしていたんだ

アメリカは、自由と民主主義の国だ。この国は、どんな手段を使ってでも、この世界の秩序を守ろうとしている

たとえ、それが非道な手段であっても、それはすべて大義のためだと…そう自分に言い聞かせてきた

祖父が強制収容所に入れられ、それでも祖国のために命を懸けたのは、アメリカという国を信じていたからだ

日系人として、アメリカに貢献することで、祖父の無念を晴らそうと、ずっとそう思って生きてきた


なのに…


俺は、あの軍幹部が俺に何を仕掛けたのか、正確には分からない。だが、俺が倒れた時、誰も助けようとしなかった

大使でさえ、俺を置き去りにして逃げようとした

いや、違う。彼らはただ、俺を…最初から、そこにはいないものとして扱っていただけだ


交渉の前に、p.adminがシールドを張ると言った時、大使は何も言わずに受け入れた

あれは、p.adminが張ったシールドを、彼らが攻撃のチャンスとして利用するつもりだったからだ

彼らは、p.adminを罠にかけるためなら、たとえ同胞の俺が巻き込まれても構わないと思っていたんだ

いや、もしかしたら、俺も最初から『排除すべき対象』に含まれていたのかもしれない

日本とアメリカの間を取り持とうとした俺の行動は、彼らにとってはただ邪魔なだけだったのだ


俺は…一体、何のためにこの国に尽くしてきたんだ

日系人の血を誇りに思い、アメリカという国に貢献することが、俺の人生だった

だが、そのアメリカは、平気で俺を裏切った

俺は、この国にとって、ただの『消耗品』でしかなかったのだ

…俺の祖父が、命をかけて守ろうとした国は、こんなにも醜い国だったのか


p.admin…あの男は、俺を助けた

敵対する国の人間である俺を、命がけで助けた

そして、アメリカは…俺の祖国は…俺を殺そうとした

皮肉なものだ。誰が正義で、誰が悪なのか…もはや、俺には分からない

ただ、俺のこれまでの人生が、すべて嘘だったような気がして、心が凍り付くようだ

いよいよ開幕です、D-DAYは本日中に後2話投稿しますのでご期待ください

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