1YR+282 2026/12下旬 R子とW子、それぞれの思い (アメリカ本会議まで6日)
S子が台湾T銀行の仕事を留職停薪にして楽園島の経済産業総括官を専念する事を聞いて、R子が少し対抗心を燃やした
R子は自分の仕事(一般企業の総合IT職)をやめて楽園島の仕事に専念とW子に伝えた
* 楽園島、居住区画の一室
R子は、W子に電話をかけるふりをして、ホログラム通信を起動した。彼女の表情は、いつもの穏やかさとは少し違い、強い決意を秘めていた
R子:
「W子、今いいかな? Azureと話した後に、S子さんから連絡があって。彼女、銀行の仕事を辞めて楽園島に専念するって言ってたわね」
W子:
「うん、そうみたい。やっぱり大変なんだろうね。でも、これで彼(Azure)も安心できるんじゃないかな…」
W子の声には、どこか寂しさが滲んでいた。S子がp.admin(Azure)の傍にいる時間が増えることへの、複雑な感情が感じられた。R子はその気持ちを察しつつも、自分の思いを口にした
R子:
「私もね、今の会社に退職願いを出すことにしたの。これまでボランティアとしてできる限りやってきたけど、もう中途半端な気持ちではいられない」
W子は驚いて、ホログラムの向こうで目を丸くした
W子:
「えっ…R子も? 大丈夫なの? 会社辞めて…」
R子:
「大丈夫よ。むしろ、これで彼(Azure)の力になれる。内政の仕事は、思っている以上にやるべきことがたくさんあるの。資材の仕入れから、帰国希望者のサポート、島内の行政ルール作り…ボランティアの人たちも頑張ってくれてるけど、私が専念しないと、いつか破綻してしまう」
R子の言葉には、単なる対抗心だけでなく、楽園島とp.adminの未来に対する強い責任感が宿っていた。彼女は、p.adminが安心して外で活動できるよう、内側の基盤を固めることが、自分の役割だと確信していた
R子:
「それに、S子さんは『経済産業総括官』として、p.adminの外側の仕事を支えるんでしょう? だったら、私は『内政総括官』として、彼の内側の仕事を支えたいの。Azure(p.admin)が安心して帰ってこられる『家』を守るのが、私の役目だと思ってる」
W子はR子の言葉に、自分の役割を重ね合わせた
p.adminの『心の帰る場所』である自分と、彼の『仕事の帰る場所』を築こうとするR子
二人は違う形で、p.adminを支えようとしていた
W子:
「R子…分かったわ…無理はしないでね。彼(Azure)のことは、私とR子で…一緒に支えていこうね」
W子の言葉に、R子は安堵の表情を見せ、ホログラム越しに微笑んだ。彼女の心にあった対抗心は、同じ目標に向かう仲間としての共闘心へと昇華された
補足:
1.R子は今の楽園島の内政担当の責任者、彼女の下に数十名のボランティア達が動いていた
2.内政の仕事は多岐にわたる、資材や食料品に買付や仕入れ、帰国希望者の送還や母国から面会希望者の扱い等々、さらに楽園島内部の行政や生活ルールも彼女が責任者
もちろん、善良で年配のボランティアの補佐があるからこそ、R子は今の仕事を続けることができた
### 交渉する前に崩壊の道に進んだ本会議
異星文明との情報確認後P.adminは考えた
「もし米軍の最優先目的は私と楽園等の排除なら、飛行機は攻撃直前で把握できないが船は今でも確認できるはず」
p.adminは楽園島幹部以外にも一時的に異星ドローンのシールド発動権を譲ったが、
彼の人間不信が理由で、例えば駐アメリカ日本大使には大使館を中心からシールドの展開権限を一時委譲したが、
それはp.adminがあらかじめ異星ドローンに命令して「大使の発言をスイッチとして扱う」だけで大使は本当の意味でドローンに命令権はない
また、ドローン群が高空または宇宙空間で観察衛星としても利用できるが、
楽園島ではCICみたいな情報収集と戦闘部署は持てないから、p.adminは意識的に情報収集しないとドローンからの情報は来ない
これはp.adminにとっての一大の弱点であり、ドローンによる軍事利用はp.admin一人だけ委譲する異星文明への配慮でもある
米軍による楽園島へ反重力砲弾発射事件後、楽園島シールド感知できる程度の攻撃は異星ドローンによってp.adminや代理者に知らせるが
事前にドローンを命令して、定期的に世界の軍事艦船の動向スキャンし、常にホログラム画面に表示させてp.admin以外の人に見せる自体も可能だが
現在ではこのような監視体制は楽園島は持っていない
p.adminが異星ドローン偵察を命じた結果、
楽園島に向かう軍艦は見られないが、過去のデータと照らし合わせて大型タンカー船は複数方向から楽園島に近づいていることがわかった
ただ距離的にまだ1000km以上であるが本会議まで7日を考えると十分楽園島まで到達できる距離共言える
また、航路的に米軍第七艦隊の空母二隻の一隻はフィリピン方向から台湾海峡に接近中、もう一隻はグアム方向から台湾花蓮に向かうと推定
p.admin:
「やはり米軍は動いている、米軍は楽園島は攻略不可の場合を備え、まさかプランBでは台湾自体を第二の人質にするつもりですよね…」
米軍第七艦隊はこれまで何回も台湾海峡を通過したことがあったが、
それは当時独裁体制だった中国から「台湾侵略するな」を警告する意図があった
皮肉な事で、新しい中国は民主化が進みp.admin勢に認識された今、
台湾も新中国も米軍にとっては「敵」に見なされた
台湾はアメリカ間は「台湾関係法」で結ばれておりアメリカから明らかな攻撃はしないけど、
空母艦隊での駐留で強引に「台米安保」を結びp.admin勢から切り離す動きはあると見た
#### エネルギー反射パネル
異星文明の宇宙船母艦から、エネルギー吸収(反射)パネルを入れたコンテナーが約1万個が届けられると知らせられた
一つのコンテナにエネルギー反射パネル10枚が収納され、サイズは良く見かける大型トラックが引く輸送コンテナとほぼ同等
1万個は楽園島の住居区画を圧迫しかねないので、コンテナ収納の為に事前に12個の海上プラットフォームを建設した
楽園島の建設時と同様な要領で、ダンパー付きの直径5Mの金属の柱4本が、深さ100Mの海底ブレイドの更に50M下に刺さり
その上に、金属に建造された海上プラットフォームや管制室、機材室など建設された、小型の反水素リアクターは海水淡水装置も装備された
万が一時には避難所か収容所としても使える
海上プラットフォームの建設資材(組込みパーツ)はポルポ・カラマリ文明が「エネルギー反射パネル」の提供を同意した時点で既に宇宙空間での製造が始められた
コンテナが届く当日の朝、異星ドローン1000機程が動き出し、楽園島付近に転送された「パーツ」を次々と組み上げ、数時間もしない内に12個の海上プラットフォームが完成された
海上プラットフォームは100M x 100Mサイズで、中央に3階建ての建物がある
海上プラットフォームの建設やコンテナ1万個の受け入れを見届ける為、p.adminはワープで楽園島に一時帰還した
日本政府から、事前告知なしでワープでの国外移動は遠慮して欲しいと言われたが
「エネルギー反射パネル」の受け入れや設置は楽園島防衛の要ですので日本政府に知らせる訳にも行かない
p.adminは責任者として、敢えて日本政府の要請を無視した形になった
エネルギー吸収(反射)パネルが入ったコンテナがいきなり出来たばかりの海上プラットフォームの空きスペースに並ばれて、一つのプラットフォームに当たり12M x 2.5M x.5Mサイズのコンテナが800個強並べれた
また、本番利用の時
コンテナからエネルギー吸収(反射)パネルはp.adminもしくは権限を得る人の命令によって自律空中展開するので
人力設置は不要とも異星タブレット経由で伝えられた
コンテナの設置を見届けた後、p.adminはW子とR子を会いに楽園島本島に行って、W子と一緒に夕ご飯を食べた後に、
楽園島の防衛策とT先生とS子と相談しなければならないと思い、p.adminはまたワープで日本に戻った
#### 再会、そして束の間の安らぎ
p.adminは、ワープ転送で楽園島の本島へと戻った
建設中の海上プラットフォームの喧騒とは打って変わり、居住区画は穏やかな夕暮れに包まれていた
彼はW子とが待つ部屋へと向かった。
部屋のドアを開けると、W子がソファに座って本を読んでおり、意外な所R子は隣でタブレットを操作していた
二人は、p.adminの姿をホログラムで見ていたはずだが、実際に彼が目の前に現れたことに、安堵と喜びの入り混じった表情を見せた
聞かばp.adminが居ない間は、R子はよくW子に尋ねてくるらしい
W子:
「あなた…!本当に帰ってきたのね…良かった…」
W子は本を放り出し、p.adminに駆け寄ってそっと抱きしめた。彼女の温かい体温が、p.adminの心に染み渡る
p.admin:
「ただいま、W子…君に心配をかけたみたいでごめん。でも、大丈夫だよ。もう、一人じゃないから」
R子:
「おかえりなさい、Azureはちゃんと休めてる? 今日の海上プラットフォームの建設、すごかったわね。あっという間にできちゃった」
R子は、p.adminを心配しつつも、すぐに仕事の話に切り替えた
p.admin:
「ああ。ポルポ・カラマリの技術には、いつも驚かされるよ。これで、楽園島の防衛は万全だ。…そういえば、S子から聞いたよ。君も会社を辞めて、楽園島の仕事に専念してくれると」
p.adminはR子に向き直り、感謝の気持ちを伝えた
R子:
「ええ。S子さんには負けてられないし。それに、p.adminが安心して外で戦えるように、この島を『家』として守るのは私の役目だと思ったから」
R子の言葉に、p.adminは深く頷いた
p.admin:
「ありがとう、R子…僕には、君の力が必要だ!W子にも伝えたが君に内政総括官を任せたい!君がいてくれるから、僕は安心して自分の仕事に集中できる」
W子:
「私も、R子には本当に感謝してるの。私があなたにしてあげられないことを、R子が全部やってくれてるから…」
W子の言葉に、R子は少し照れたように笑った
R子:
「私は、ただ自分がやるべきことをやっているだけよ。Azure、今日はせっかくだから美味しいものをたくさん作った、みんなで食べましょう。W子も私も、あなたと一緒に夕ご飯を食べるのを楽しみにしていたんだから」
R子はそう言って、キッチンへと向かった。p.adminはW子と顔を見合わせ、二人で優しく微笑んだ。この束の間の安らぎが、明日からの厳しい戦いに向かう、p.adminの原動力となるだろう
補足:
R子がp.adminの楽園島の家に居た事が彼に少し衝撃を与えた
ごく普通の事ですが、彼の心の中では「もしR子も自分の妻ならこれは日常風景になるだろう」と密かに期待していた
なお、R子はW子の心情を察して主動にW子に尋ねたと、後日p.adminに知らせれた




