DAY 1YR+278-279 2026/12下旬 スカウト (アメリカ本会議まで10日)
つくば自宅に戻った四日目の朝、p.adminはT先生とS子と連絡し近況を共有し、アメリカ本会議が終わるまで、安全の為Wは日本に来ない方が得策とも伝えた
S子がp.adminがこの三日間で一切連絡してこない事に怒り、機嫌は悪かった
T先生はp.admin(Azure)の状況を理解している様子で何もい分かった
W子からは「傍にいてあげられなくてごめんね、私の代わりにぬいぐるみ達は傍にいるよ」と伝えられ、p.adminは泣きそうになった
また、p.admin不在の間R子が台湾の仕事から有休を取って楽園島の内政や運営に尽力してくれて
p.adminR子の働きを見て「R子は楽園島の内政総括官と任命する」と妻に伝えた
p.adminはつくば自宅のリビングで、ホログラム通信を起動した。T先生とS子の姿が、目の前に立体的に浮かび上がる。
p.admin:
「T先生、S子、おはよう。3日間連絡できなくてすまない。連日の疲労で少し休みが必要だった。アメリカとの本会議が終わるまで、W子を日本には呼ばない方がよさそうだ。何かあってからでは遅い。」
S子:
「ようやく連絡してきたわね!こっちはどれだけ心配したと思ってるの!?アメリカの連中がどんな手を使ってくるか分からないのに、一人で放っておいて!もし何かあったらどうするつもりだったの?」
S子の声には、怒りだけでなく、安堵と心配が入り混じっていた。
p.admin:
「S子、すまない。君の気持ちはよくわかる。でも、僕にも少し一人になる時間が必要だったんだ。アメリカの会議のことは、正直、僕の心を揺さぶった。でも、もう大丈夫だ。君やT先生がいれば、怖いものはない。」
T先生:
「Azure君、無理はしなくていい。君の心身の安全が最優先だ。アメリカとの交渉は、我々が全力でサポートする。W子さんの件も、私も同意見だ。安全が確保されてからにしておこう。」
p.admin:
「ありがとう、T先生。それと、S子にはお願いがある。アメリカとの本会議の準備だが、今回はより慎重に進めたい。特に、彼らの弱点を突くような交渉材料を洗い出してほしい。君の力が必要だ。」
S子は少し冷静になり、プロの顔に戻った。
S子:
「分かったわ。ただし、もう一人で突っ走るのはやめてね。連絡を怠らないこと。それが絶対条件よ。」
p.admin:
「ああ、約束する。」
***
場所:楽園島の居住区画
W子はp.adminとのホログラム通信を切った後、隣に座っていたR子に話しかけた。
W子:
「Azure、とても疲れているみたい…一人で頑張ってるって言ってて…私、何もしてあげられない…」
R子:
「W子、彼は大丈夫よ。彼の周りには私たちがいる。君がそばにいられない分、私たちが支えてあげる。それに、彼が君のことをどれだけ大切に思っているか、私にはわかるから。」
W子:
「ありがとう、R子…でも、私…」
W子の声が震え、目に涙が浮かんだ。
W子:
「R子、お願いがあるの。Azure、内政総括官にR子を任命したいって言ってて…。貴方がそばにいてあげて。私ができない分、貴方が彼を支えてあげてほしいの…」
R子:
「W子、落ち着いて。私は彼を支えるわ。もちろん、内政総括官としての責任も果たす。でも、それは君の代わりじゃない。君は彼にとって、誰にも代えられない存在なんだから。」
W子:
「…本当にそうかな。彼は強くて、誰にも頼らない。私なんか、いなくてもいいんじゃないかって…」
R子:
「そんなことない!彼は誰よりも、君を必要としている。君が彼にとっての**『心の帰る場所』**なんだ。公の場で支えるのが私やS子の役割だとしても、君は彼を人間として支える、最も重要な存在なの。だから、自分を責めないで。」
R子はW子の手を優しく握り、言葉を続けた。
R子:
「彼は君がいるから、安心して外で戦える。君が彼の隣にいれば、彼はいつでも本当の自分に戻れる。それは、私やS子にはできないこと。だから、君は君のままでいい。君が笑ってくれるだけで、彼は救われるんだから。」
W子はR子の言葉に、涙を流しながらも、少しだけ安心したような表情を見せた
***
三日間の休憩を経て、p.adminは本会議に向けて動き出すことを決意した
そのため、近いうちにやってくるアメリカの脅威に対してまずは極端な人員不足の現状を解決すべく、
これまで親友の裏切りから学び、付き合い時間の長さだけが取り柄の「親友」より
もp.adminにとって「人格的に本当に信頼できる人」のスカウトを決めた
1.AISTの研究員のKATOさん(電子工作専門)とIWAさん(建設業に関わる情報技術専門)を楽園島役職に誘う
2026年現在、KATOさんは恐らく50代後半、IWAさんは定年になってもおかしくない
この二人は定年退職間際で温厚で野心もなく、数十年研究生涯でも年収700万台の主任研究員止まり、Azureのポスドク時代の理解者であった
KATOさんは家族思いで色々価値観や生まれ育ちがp.adminと似ていて、AIST退職後もIさんと長らく私交が続いた
IWAさんは勤勉な苦労人、人好しさん、理不尽な事でも自分の責任じゃなくても逆らわずに従い耐え忍ぶタイプ
もちろんp.adminは当時もIWAさんに懇意して色々助け合い、仕事だけの関係ですがIWAさんは当時のAzureをかなり信頼してくれた
AISTは定年制があるが、一旦65歳になっても特任研究員として定年後再雇用があるので、お二人はまだつくばのAISTに在籍中のはず
p.adminはSNSを通してKATOさんのポストは見えているので、今でも元気で生きている
2.つくばの土木研究所の技師のOZAさんを誘う、同様に善良で野心のない人物像で、かつての共同研究で一緒に仕事して、信頼できる人物とp.adminが思った
OZAさんは土木研の中で長年技師として働き、かつてAISTと一緒にやる研究プロジェクトではp.adminはOZAさんが仕事に対する責任感を感心した過去があった
p.adminの無くなったお父さんも土木関係で、幼い頃によくオフィスに連れて行かれた際にその人の雰囲気を感じ取る事に長ける
OZAさんはまるでお父さんの信頼できる同僚のような雰囲気をp.adminに感じさせてた
これまでは研究プロジェクトしか接点がなかったが、p.adminはOZAさんをスカウトすることを決意した
AIST勤務当時(2017)OZAさんは既に50台後半となり、今はもう定年か定年間際になると予想
3.同様の理由でNEXCO東北支社のINOさんを誘う
同様に信頼できる人物として、NEXCO東北支社のINOさんにも声をかけた
見た目はp.adminと同年代、当時AzureがOZAさんに対する評価は「日本人らしくなく、NEXCOに居てはもったいない人物」
正義感が強く率先して動く人物で、大らかで細かい事は気にせず、迷わず、日本社会の縛りを気にせず守りもせず
いい意味でも悪い意味でも型破りの人物、一見p.adminと似たような所も多いが実はかなりタイプが違う
p.adminは日本のしきたりを「手続き的に」抵抗しても慎重さがある、万事も準備してから動く
OZAさんは考える、喋る前にまず動くタイプで、仙台のNEXCO支社では責任のある肩書はないがその勢いで組織を引っ張る存在であった
因みにINOさんをスカウトする為、p.adminがつくばから仙台(NEXCO東北支社)への移動は車+新幹線を利用した
自衛隊はヘリを提案されたがp.adminはそれを拒否した、アメリカのミサイルでも撃たれた溜まったもんじゃない
スカウトはp.adminが思ったより順調に進み、4人とも楽園島への協力を了承してくれた
以上の4人(KATOさん、IWAさん、OZAさん、NEXCO INOさんは)は家族も居るため、仕事はリモート参加か楽園島のつくば拠点で、必要時に楽園島や東京に出張してもらう形となる
誘致の結果、全員は協力を同意、無給ではまずいため幹部職(周五勤務と臨時対応あり)なら年収2000万、
アドバイザー役(週2~3臨時対応なし)なら年収1000万を約束
その結果全員の役職は下記の通りとなった
KATOさん:異星技術管理総括官(異星技術のまとめ管理と格付)
IWAさん:産業技術移転総括官(どの技術をどの国に提供するかを評価する役職)
技師OZAさん:土木技術支援総括官(第二青函トンネルの建設協力等に協力)
INOさん:鉄道、航空、港や道路建設のアドバイザー
#### 元同僚のAISTのKATOさんとIWAさんをスカウト
元同僚のAISTのKATOさんとIWAさんをスカウトする為に、p.adminはAISTつくば本部に向かった
p.adminは車で久しぶりにつくばにあるの敷地に入った。本来職員証を見せする必要があったが、警備室は何かしら知らせを受けたようでp.adminが敬礼されて顔パスで入れた
もし何か言われた場合は、素直に来客登録するか、晩餐会で貰った終身名誉研究員の招聘書を持ち出すかの二択ですが、p.adminはきっと前者を選ぶでしょう
かつてポスドクとして昼夜を問わず研究に没頭した場所だ。正門をくぐり、広大な敷地を走る。かつて毎日通った道のはずなのに、もうまるで別の場所のように感じられた。
車は総合情報棟の来客駐車スペースに止めエントランスホールに入った時に
彼の姿を一目見ようと、かつての所属部門の同僚たちが駆け寄ってくる。しかしp.adminは軽く会釈をするだけだった。
p.admin:
「ご無沙汰しております。今日は急ぎの用件で、後ほど改めてご挨拶に伺います。」
元同僚らが戸惑うのを背に、目的の階へと向かう。彼の心は、かつての知り合いたちとの再会を喜ぶ一方で、今の大事な仕事をしなければならないと覚悟していた
研究室のドアには、KATOさんとIさんの名前が記されていた。p.adminは少し緊張しながら、ドアをノックした。
ノックに応じ、ドアを開けたのはKATOさんだった。歳月は彼の顔に深い皺を刻んでいたが、その穏やかな眼差しは変わっていなかった。
KATOさん:
「おや、Azureじゃないか!どうしたんだ、こんなところで。テレビで君の活躍は拝見しているが、まさか本人が来るとは思わなかったよ」
p.admin:
「お久しぶりです、KATOさん。お元気そうで何よりです。IWAさんはご一緒ですか?」
奥から、Iさんが顔を出した。彼の表情はいつもと変わらず、少し疲れたような、しかし優しい笑顔だった
IWAさん:
「Azure君!君がp.adminだったとはな…驚いたよ。どうしたんだ、こんな急に」
p.admin:
「実は、お二人にお願いしたいことがありまして。ここでの話は少し…外でゆっくりお話しできませんか?食事でもご一緒しながら」
KATOさんとIさんは顔を見合わせ、頷いた。昼時ということもあり、3人は敷地内のカフェテリアへと向かった
サンドイッチを片手に、p.adminは単刀直入に本題を切り出した。
p.admin:
「お二人にお話したいのは、他でもない、楽園島に来ていただきたいということです」
KATOさんとIさんは、一瞬言葉を失った
KATOさん:
「…楽園島に、か。しかし、なぜ我々のような、もうすぐ定年を迎えるような人間に?」
p.admin:
「KATOさん、IWAさん。お二人には、私がポスドクだった頃から、本当に優しくしていただきました。私の理不尽な要求にも、真摯に耳を傾けてくれた。当時は仕事だけの関係でしたが、私はお二人を心から信頼しています」
p.adminの言葉は、感情を抑えつつも、真摯な響きを帯びていた
p.admin:
「今、楽園島には多くの人々がいます。そして、私には多くの責務がのしかかっている。しかし、私一人ではすべてを成し遂げることはできません。私が本当に必要なのは、技術的な能力だけでなく、人格的に信頼できる方々です。お二人には、私と共に人類の未来を築いていただきたい」
IWAさん:
「しかし、我々のような者が、君のやっているような…世界の仕組みを変えるような大仕事に、果たしてついていけるのだろうか」
p.admin:
「IWAさん、ついていけないなんてことはありません。あなた方の持つ技術と、何よりもその善良な心が必要なんです。楽園島は、決して軍事施設ではありません。そこにあるのは、人類がより良く生きるための技術と、それを支える人々です」
p.adminは、二人の家族のことも尋ね、待遇についても詳しく説明した
p.admin:
「ご家族のことも含めて、すべて私が責任を持ちます。お二人には、どうか私の右腕となり、共に歩んでいただきたい」
KATOさんとIWAさんは、p.adminの真剣な眼差しに、彼の言葉が単なる口先だけのものではないことを感じた。彼らは、互いに顔を見合わせ、静かに頷いた
KATOさん:
「…分かった。君の力になれるなら、この歳でも喜んで協力させてもらおう」
Iさん:
「君が私たちを必要としてくれるなら、この身を捧げよう。君が築こうとしている、その『楽園』を、この目で見てみたい」
#### 土木研究所の技師のOZAさんをスカウト
補足:
かつての共同研究で、p.adminとOZAさんに共に働いたのは約10回
現在のOZAさんは定年後の再雇用、非常勤職員でアルバイト扱いで年収が700万から350まで減らされたと聞く
幸い子供が独立したため、妻と二人でなんとか生活できてる
OZAさんの性格は堅実な職人性格、親切で嫌なことにされてもあまり怒らない、ただし正しい事は必ず言うタイプ
p.adminはAISTでのスカウトを終え、同じつくばにある土木研究所へと向かう。道すがら、彼はかつての共同研究を思い出していた。当時、若き研究員だった自分と、職人気質のOZAさん。顔を合わせるのは年数回あるかないかだったが、彼の仕事ぶりは深く印象に残っていた。
OZAさんは決して口数が多い方ではなかった。だが、p.adminが技術的な問題に直面するたび、黙って解決策を提示してくれた。彼の言葉は常に正確で、彼の判断に誤りはなかった。p.adminの亡き父の同僚のような、古き良き日本の職人のような雰囲気をまとっていた。
今、彼が非常勤職員として低賃金で働いていると聞き、p.adminの心に怒りがこみ上げる。才能と信頼できる人格が、日本の古い制度に埋もれてしまっている。p.adminは、彼の力を取り戻し、正当な評価を与えたいと強く願った。
土木研究所での再会
土木研究所の建物の前で、p.adminはOZAさんを待っていた。やがて、OZAさんは少し疲れたような顔で、しかし穏やかな笑みを浮かべて現れた。
OZAさん:
「Azure君、久しぶりだね。君がp.adminだったとは驚いたよ。テレビで見て、もしやと思ったんだが…本当に来るとはな。用事があるなら、私の作業場で話そうか」
p.admin:
「ありがとうございます、OZAさん。お元気そうで安心しました」
OZAさんの作業場は、使い古された道具と設計図で溢れていた。それは、彼の長年のキャリアと、仕事への深い愛着を物語っていた
p.admin:
「今日は単刀直入にお話します。OZAさんに楽園島に来ていただきたいのです。私の右腕として、土木技術支援総括官になっていただきたい」
OZAさんは、一瞬ぽかんとした顔になった。
OZAさん:
「…私のことを買ってくれるのはありがたいが、私はもう定年も過ぎた身だ。今の君の仕事は、私のような古い人間には荷が重いのではないか?」
p.admin:
「いいえ、そんなことはありません。日本の土木技術は、世界でもトップクラスだと私は確信しています。特に、長年現場で培われたOZAさんの経験と技術は、何物にも代えがたい。日本の次世代インフラを築き、南海トラフのような大規模災害から人々を救うには、OZAさんの力が必要なんです」
OZAさん:
「南海トラフ…か。それは、我々土木技術者の永遠の課題だ。…しかし、私も家族がいる。妻は普通の生活を望んでいる。君のやっていることは、あまりにも危険すぎる」
p.admin:
「お気持ちはよくわかります。しかし、お約束します。ご家族の安全は、私がすべてお守りします。仕事はリモートがメインになりますし、ご家族を危険にさらすようなことは絶対にさせません」
p.adminは、言葉を選びながら、OZAさんの目を見て語り続けた
p.admin:
「OZAさん。私は、過去の共同研究で、あなたがどれほど真摯に仕事に取り組んでいたかを知っています。あなたが理不尽な状況でも、自分の責任でなくても、正しいことを貫き通す姿を、私は尊敬していました。今の日本の制度では、あなたの才能が正しく評価されていない。それが私には耐えられないんです」
OZAさんは、p.adminの言葉に、彼の真意を悟った
OZAさん:
「君は、私の技術だけではなく、私の人柄を評価してくれたのか…」
p.admin:
「はい。私は、金や名誉のために働く人ではなく、あなたの持つ信念に敬意を表したい。その信念を、楽園島で存分に発揮してほしいのです。」
OZAさんは深く息を吐き、静かに頷いた
OZAさん:
「…わかった。君がそこまで言ってくれるなら、この老体に鞭打ってでも、君の力になろう。私は、正しいことのためなら、いつでも動く準備はできている」
スカウト回その1です
因みにこれらのキャラは全部実人物に基づいたですが、著者の私が有名にならない限り多分バレないでしょ(笑)
この作品は絶対に動画化されたり映画化されないように切実に願う(笑)




