D-DAY+162 2027年6月上旬 イギリスへの旅支度やR子のやきもち
* 日本時間 PM 15:00 楽園島 PM 19:00
snsvのゲーミングスマートフォン1000機をシグマに引き渡した後、p.adminはW子とのマンションに戻りイギリスへの旅支度を始めた
p.admin自身は前回、チャールズ国王陛下から「どんな服を着ても失礼に当たらない」という保証を得たが、
sadaさん息子のJayさんですらきちんとしたスーツを着ていた事もあって、せめて元首で代表者の自分も相応の格式を示せなければならなくて、最低限の格式を保つべきだと感じていました
p.adminとS子がイギリス王室への治療活動はもう公開された事実なので、前回のように「中庭すら出られない」とか、「三食の間にお腹が減っても食べ物はない」事はおそらく起きないが。p.adminは家のお菓子箱から数本の羊羹をリュックのポケットに入れ、緊急食糧を補充した
そしたらW子がリビングにやってきて、p.adminに話しかけた
W子:
「またイギリスに行くの? 上皇様の若返り治療みたいにS子に任せれば良いじゃないの?」
p.admin:
「最終的にそうするつもりだが、今回はSADA先生とその息子Jay君も一緒にいるので、イギリスの外交の担当者に引き合わせるとか、私が居た方が物事が決まりやすいかと思った…」
p.admin:
「そしてsada先生は我が子が大事というか…少し教育ママ的な面がありまして、今日の昼もJay君を国王陛下に合わせるべきなのかを言いなりになってしまった」
p.adminは、昼の時のsadaさんとS子の確執の首尾をW子に説明した
W子:
「それだったら確かにあなたが行くべきですよね、S子は容赦しない性格ですから…今回も三日くらいイギリスに泊まる?」
p.admin:
「それは極力に避けたいが、明日の朝まで絶対に戻ります…を言えるかどうかは怪しいかもしれない。治療自体は数時間で終わるのは間違いないが…」
W子:
「解った…無理しないでね」
p.admin:
「そういえば晩ご飯もまだなので…作る時間はないと思うからつくば大使館の職員にお願いして何かを注文してここに転送しましょうか?」
p.adminは今日一日中ドタバタでしたので、昼は弁当、晩ご飯は何も食べてない
その時、R子はp.adminが楽園島に戻った事を聞いて、W子とのマンションにやってきた
そして彼女の手には、湯気を立てる寸胴鍋、そして重そうなガラスの保存容器が数個
p.admin:
「R子、いつも作ってくれてありがとうな…ここまでもってくるのが大変だからここのキッチンを使えば良いよ」
R子:
「いえ、すぐに温め直せるように作ってきたんです」
W子が椅子から起き上がり、R子を手伝って料理を食卓に並べました
寸胴鍋の中には、様々な具材が入った台湾風の火鍋スープ。これはW子の大好物です
ガラス容器に入っていたのは、p.adminとW子が好きな味付けの台湾料理でした
三人で食卓を囲み、温かい食事をいただきました
p.adminはR子に心から感謝を伝えましたが、R子の表情は終始やや暗く、何かを隠しているように見えました
晩ご飯後、W子は二人の間に流れる空気を察し、静かに立ち上がりました
W子は眠そうなふりをして
W子:
「私、眠気が出てきたので先に寝るわね。二人でゆっくり話して」
W子は優しく微笑み、寝室へと戻っていきました
***
リビングで二人きりになったp.adminは、R子の隣に座りました
R子はうつむき加減でしたが、意を決したように小さな声で不満を口にしました
R子:
「昨日はS子の番なのは知っているんです……でも、二人がお台場デートでホテルに泊まったことは……ずるいと思います」
R子の言葉は、嫉妬というよりも寂しさが滲んでいました
R子は涙ぐみながら
R子:
「そして、これからイギリスに行って、きっと何日もS子と一緒だから……私はここ(楽園島)で内政の仕事と患者の世話をしないといけないのに……不公平だよ……」
ついにR子は感情を抑えきれず、涙を流しながら訴えました
p.adminはR子の顔を両手で包み、彼女を全力で宥めました
p.admin:
「ごめんな、R子。君が寂しい思いをしているのは分かっている。今回はなるべく早く戻るよ! 治療が終わったら、すぐにワープゲートで戻るよ。もし一泊することになっても、公務だけで終わらせるつもりだよ」
p.admin:
「約束する。戻ったら必ずR子との時間を作るから。また二人で東京のどこかに行きましょう。君が好きな場所を選んでくれていいよ」
p.adminがR子の機嫌を取りながら話しているうちに、時間はすでに日本時間の夕方5時を過ぎていました
午後6時が出発予定時刻なので、あまり時間がありません
やがてR子も時間のことを察し、涙を拭いました
R子:
「ごめんなさい……私ってわがままだよね。主人が大事な仕事に行くのに……」
p.adminは何も言わずに、R子を強く抱きしめました
p.admin:
「R子、愛しているよ。君は私の心と楽園島を支えてくれている大切な人だ」
二人が静かに抱き合っていると、時間は日本時間の夕方5時40分になりました
p.admin:
「もう行かないと……」
p.adminは慌てて家から飛び出し、ワープゲートに向かいました
家を出るとき、R子は笑顔で彼を見送ってくれました
R子:「旦那様、いってらっしゃいませ」
#### イギリスへ出発
* 日本時間 PM 17:50 楽園島時間 PM 21:50
p.adminが小さ目のスーツケースを引いて楽園島のワープゲートに着いた時に、既にイギリス王室医療チームの医者2名が待機していた
楽園島は既に夜10時前、周囲は街灯の光しかなくかなり暗い
p.admin:
「Doctors, sorry to keep you waiting」
(医者方、お待たせしました)
王室医療チームの医者A:
「Please don't worry about it, Chief Executive Suzaku. Let's get going」
(朱雀陛下は気にしないでください。それよりも出発しましょう)
p.adminと王室医療チームの医者2名は、とりあえずつくばの楽園島大使館にワープしてS子とSADA先生親子と合流する事にした
大使館の屋上に出現した瞬間、楽園島の夜から一転、つくばの夕暮れの空が視界に広がりました。S子とSADA先生、そしてJay君がすでに待機しています
S子は少し苛立った声でp.adminを催促した
S子:
「遅いわよ!もうすぐ出発しないと遅刻しちゃいますよ!」
p.admin:
「ごめん、色々あって遅くなった。ではこれからイギリスへ出発します、SADA先生もJay君も準備良いですか?」
sada先生、Jay君:
「はい、準備完了です」
p.adminは迷わずシステムに命令を下しました
p.admin:
「では、システム命令:ここにいる6人をイギリスのバッキンガム宮殿の中庭までワープ転送!」
* UTC AM 8:57 日本時間 PM 17:57 バッキンガム宮殿の朝
次の瞬間、一行はバッキンガム宮殿の中庭に出現しました。さっきまでつくばの夕暮れでしたが、一瞬にして鳥のさえずりすら聞こえるロンドンの朝になっていました
前回夜に出発した中庭は、昼間ではっきりと見え、赤い床だけの広い空間であることがわかりました
中庭に待機していた大典侍と二名の衛兵が、すぐにp.admin一行のもとへやってきました
大典侍:
「朱雀陛下、さや妃殿下、そして大使方、こちらからどうぞ」
* カミラ皇后と王太子夫妻との面会
一行が応接室に入ると、中ではすでにカミラ皇后陛下、王室医療チームリーダーのL博士、そして王太子殿下ご夫妻、さらにイギリス政府の外務大臣と外交官1名が待っていました
カミラ皇后陛下は優雅に微笑み、p.adminに近づき口を開いた
カミラ皇后陛下:
「朱雀陛下、妃殿下、ようこそ。陛下におかれましては、多忙な中、遠いところまでお越しいただき、心より感謝申し上げます」
p.admin:
「皇后陛下、ご挨拶申し上げます。こちらは、この度イギリス大使として赴任するSADA大使、そして息子のJayです」
SADA大使とジェイ君は、緊張しながらも流暢な英語で挨拶をしました。
SADA大使:
「Your Majesty, it is an honour to serve as the Ambassador of Paradise Island to the United Kingdom. (皇后陛下、この度、楽園島が英国大使を務めることは光栄です)」
Jay君も深々と頭を下げて、カミラ皇后陛下へ挨拶した
Jay君:
「Your Majesty.」
続いて王太子殿下ご夫妻がp.adminとS子に挨拶をされました
身分的にどちらから挨拶をすべきか迷ったp.adminでしたが、先方を気遣った王太子ご夫妻が先に話しかけてくれたのです。p.adminもSADA大使とジェイ君を紹介しました。
大典侍:
「チャールズ国王陛下は、まもなくここに到着される予定でございます」
* SADA先生の強引な願いとS子の不機嫌
全員が着席し、外務大臣がSADA大使の今後のロンドンでのサポートについて切り出しました
英外務大臣:
「SADA大使。大使とご家族のために用意したロンドン市内の住居や大使館予定地に案内する準備は整っております。すぐにでもご案内できます」
外交官としての正式な手配に対し、SADA先生は唐突な願いを言い出しました
SADA大使:
「外務大臣、ありがとうございます。ですが、Jay君はここに残って、朱雀陛下の傍で見学してほしいのです。このような貴重な機会は二度とありません」
p.adminはS子の方向を一瞥しました。彼女の顔はすでにものすごく不機嫌になっていました
S子は、SADA大使の公私混同が始まったことに苛立ちを覚えていたのです
場の空気が凍り付いたのを見て、現場に居合わせた英外交官が、絶妙なタイミングで「助け舟」を出してくれました
英外交官:
「SADA大使、大変申し訳ございません。Jay君には、住居案内と共に、本日中に言語学校や受け入れ高校の教師との打ち合わせも設定しております。ロンドンの新しい生活を円滑に始めるためにも、是非SADA大使とご一緒に来ていただきたいのですが…」
SADA先生は残念そうな顔で了承した
SADA先生:
「……承知いたしました。」
SADA先生は、息子の将来のための正式な打ち合わせという名目には逆らえず、了承しました。Jay君も残念そうな表情を浮かべましたが、母のSADA先生と一緒に、英外交官の案内の元、バッキンガム宮殿から離れていきました
#### チャールズ国王陛下の現状と治療方針
SADA大使とジェイ君が外交官と共に退室した後、程なくしてチャールズ国王陛下が病院着と思われる服で入室してきました
その顔色は前回の病弱な印象とは見違えるほど良くなっています
カミラ皇后陛下は国王陛下に寄り添い、口を開いた
カミラ皇后陛下:
「チャールズ、朱雀陛下とさや妃殿下が、貴方の治療のために駆けつけてくださいました」
チャールズ国王陛下は、以前の面会時よりも明らかに体力が増している様子で、p.adminとS子の方へ歩み寄りました
チャールズ国王陛下:
「朱雀陛下、さや妃殿下。貴方方の献身的なご尽力に、心から感謝申し上げます。体調は万全です。どうか、安心して今日の治療を進めてください」
p.admin(朱雀 椿):
「国王陛下、お目にかかれて光栄です。お体の状態が良好で、我々も安心いたしました。早速ですが、本日も引き続き若返り治療を実施させていただきます」
S子:
「国王陛下の容態はL医師からブリーフィングを受けました。今日は最高の効果が出るよう尽力いたします」
国王陛下は頷きました
チャールズ国王陛下:
「ありがとう。貴方方と貴方方の高度な技術に、全てを委ねます」
チャールズ国王陛下との挨拶を終えた時点で
チームリーダーのL医師は興奮気味で、p.adminとS子の前に国王陛下の容態についてブリーフィングを始めました
L医師(王室医療チームリーダー):
「朱雀陛下、さや妃殿下。直近の検査結果を報告します。腫瘍マーカー、リンパ節生検、PETスキャン、いずれにおいてもリンパ腫の完全寛解が認められました」
L医師:
「さらに、体力や心肺機能の回復が著しく、SpO2(血中酸素飽和度)は現在98%水準を維持しています。血管の状態をはじめ、末梢神経、筋力、そして皮膚の若返り効果も著しいことが確認されています」
これは、ポルポ・カラマリの医療技術が、人類の難病を短期間で克服したという確固たる証拠でした
S子:
「L医師、素晴らしい報告をありがとうございます。では、今日は引き続き若返り治療を行います。今後の治療方針の話し合いは、国王陛下が治療を受けている間にしましょう」
S子の提案に全員が同意し、チャールズ国王陛下はクリスタル的な外観を持つ医療ベイの中のベッドに横になりました
S子が医療ベイのホログラムディスプレイ を操作し、医療ベイのカバーを閉めて、若返り治療を開始しました
* 若返りの目標年齢に関する議論
国王陛下が治療を受けている間に、S子は今後の治療における重大な課題を切り出しました
S子:
「皇后陛下。若返り治療の目標年齢を、おいくつまでとお考えですか? これは技術的な問題ではなく、倫理的・政治的な判断が必要です」
カミラ皇后陛下は少しの間考え込みました。王族としての責任と、健康への欲求のバランスを測っています
カミラ皇后陛下:
「そうね……陛下も私も、ウィリアム(王太子)やキャサリン(皇太子妃)より若く見えると、倫理的によろしくないので……一旦は60歳を想定した方が良いかしら?」
皇后陛下の保守的な提案に対し、L医師は健康の観点から強く反論しました
L医師:
「皇后陛下! 両陛下は治療を受けているのです。医師としての観点から、せめて50歳目途までに若返り治療を受けていただければ、今後数十年にわたって健康不安から解放される可能性が高まります!」
S子はL医師の熱意を認めつつ、現実的な対応を示しました
S子:
「一度の治療で半年の若返り治療効果があります。身体の状況を見て、急がず決めてもいいかもしれません。確かに健康の観点から若い方が良いと決まっているが、王室としての体面もありますから」
L医師はカミラ皇后陛下の返事を待たず、S子の言葉に従うことを選択しました
L医師:
「さや妃殿下、承知いたしました。現状は身体年齢を気にせず、国王陛下と皇后陛下の若返り治療、そして王太子妃殿下の全身回復治療に専念していただければ幸いです」
チャールズ国王陛下の治療が半分ほど経過した時点で、カミラ皇后陛下は次に自身が治療を受ける準備のため、着替えるために退室しました
このタイミングで、S子は隣に座っているp.adminに、先ほどのSADA先生への不満を小さい声でぶつけました
S子(p.adminに小声で):
「(聞いてよ! SADAさん、せっかくの外交デビューの日に、息子を国王に合わせようとするなんて。公私混同が甚だしいわ。私が折れなければ、確実に場を乱していたわよ)」
p.admin(S子に小声で):
「(正直俺もああいう教育ママタイプの人は苦手だ。昔の彼女はそうじゃなかったが、子供を持つとイメージは結構変わったな……)」
p.adminはS子の不満を理解しつつも、冷静に対応しました
p.admin:
「(だが、ここはイギリス王室の目の前だ。私が時期を見て、Lee先生経由でSADA先生に注意させるから。今回は、私たちがすべき国王陛下の治療に専念しよう)」
カミラ皇后陛下が病院着に着替え終え、再び応接室に入室しました。
UTC 10:30。 ちょうどチャールズ国王陛下の治療が終わりました
医療ベイのカバーが開き、国王陛下が静かにベッドから立ち上がります
S子:
「国王陛下、今回の治療はこれで終わりました。ご気分はいかがでしょうか?」
チャールズ国王陛下:
「さや妃殿下、問題ありません。身体が軽くなったのを感じます。ご親切にありがとう」
チャールズ国王陛下が医療ベイから出ていたのを見て、カミラ皇后陛下は入れ替わるように医療ベイに入りました
カミラ皇后陛下:
「さや妃殿下、では私の方をよろしくお願いいたします。貴方たちの時間を無駄にしたくないので、もう始めましょう!」
S子:
「皇后陛下の気遣いに感謝いたします。では治療を始めます」
S子の操作で医療ベイのカバーが再び閉められ、カミラ皇后陛下の若返り治療が始まりました
* イギリス政府からの新たな要請
カミラ皇后陛下が治療を受ける間に、傍らで待機していた英外務大臣が慎重な口調で、いよいよ本題を切り出しました。
英外務大臣:
「朱雀陛下、さや妃殿下。大変申し上げにくいのですが、前回のバッキンガム宮殿前での約600名の患者への救済治療は、わが国国内に極めて好意的に受け止められました」
英外務大臣:
「しかしながら、その時、現場に居合わせなかった難病の重症患者のご家族からは、楽園島の治療を受けられるよう、イギリス政府の仲介を求める動きが水面下で強まっています」
イギリス政府内部で議論された結果、一つの案がまとまっていました
英外務大臣:
「政府として協議した結果、ここに設置された医療ベイを活用し、まずは小児を対象とした先天性難病患者30名程度を一度受け入れることを画策しております。この形であれば、楽園島に長期滞在の負担をかける点も最小限に抑えられると考えました」
* S子の懸念とp.adminの葛藤
この提案に対し、p.adminとS子は即座に懸念を表明しました。
p.admin(朱雀 椿):
「医療ベイを異星AI任せの全自動モードにすれば、できなくはないですが。患者への説明を行う人がいない。そして、治療を受ける人もそれを了承する必要がある。ここは我々が直接関与せざるを得ません」
S子:
「治療は我々の了承なく行われることは困ります。難病の国民を救う立場は我々も同じですが……本件の医療ベイの利用ルールについては、きちんと議論する必要がある」
小児対象の先天性難病。これは、患者自身に非がなく、社会的に最も救助すべき対象です
しかし、S子やR子の長期的な負担を避けたいp.adminは深く考え込んでしまいました
今までの善人救助は「社会的な善行を累積した人たち」をターゲットにしていましたが、今回はその枠組みに当てはまりません
p.adminは、イギリス政府がうまいこと現状の「楽園島独自のセーフティーネットの漏れ」を突いてきたと感心しました
* p.adminの決断
p.adminは長考の末、決断を下し、外務大臣に告げました。
p.admin:
「非のない子供たちを救いたい気持ちはもちろんありますが、我々の力、時間、そしてリソースは有限で、妻たちにこれ以上の負担をかけるのは無理と判断します。患者の世話やケアもかなり人的資源を使います」
p.adminは譲歩案として、考えを述べた
p.admin:
「よって、治療はAIによる全自動判断を下し、貴国の医療チームの医師が医療ベイからのホログラム表示の内容を見て、治療するかのYES/NOだけを選んで認証する方式を使うことを前提とします」
p.adminはバッキンガム宮殿に設置された医療ベイの活用を、このAI自動化を条件に認めました。ただし、重要な制限も付け加えました
p.admin:
「ただし、いかなる理由であっても若返り治療は対象外とします」
英外務大臣は、この大幅な譲歩に安堵の表情を見せ、感謝の意を述べました
この話し合いの結果、新たな取り決めも決まりました
今まで楽園島に駐在していた王室医療チームの医師2名は、今後、ポルポ・カラマリの医療知識を学ぶために短期留学することが決まりました
これにより、日本のK子様、M子様と侍医者2名と合わせて、本格的にポルポ・カラマリの医療技術を学ぶ対象は合計6人に増えることになりました
* UTC 11:30 午前中治療の終わり
UTC 11:30、カミラ皇后陛下の若返り治療も無事に終了しました。今日は簡単な昼の食事会が控えているため、皇后陛下はすぐに退室して着替えに向かいました
p.adminとS子も、食事会までの間、前回イギリス訪問時に3日間宿泊した客室に案内されました
p.adminは部屋を見回して感想を述べた
p.admin:
「またこの部屋ですか……懐かしいというか、悪夢の再来というか……。」
客室は豪華ですが、前回同様、クラシックで現代的な設備はほとんどありません
使用人を呼ぶための古いベルと通話機があるだけ。トイレもウォシュレットではありませんでした
ただ一つ、前回と違ったのは、壁に50インチの液晶テレビが設置されていたこと
それは日本の大手メーカー、竹下ブランドの製品でした
p.adminがベッドの端に腰かけると、S子は先ほどの難病治療に関する判断について、やや心配そうな表情で口を開きました
S子:
「小児対象の先天性難病治療は、私も協力すべきだと思いますが……このことが公になってしまったら、日本側にも同じ対応が求められるでしょう。その時は心配です」
p.admin:
「そこは、日本側に設置した医療ベイを活用し、K子様とM子様、そして侍医たちに任せましょう。患者は御所で治療を受ける形になるが、正直言って医療ベイのバラマキは危険なのでこれ以上設置したくないですね」
要救助の国民や子供を、王宮(御所)に入れて治療を受けさせる
それは、医療ベイの物理的な設置場所という制約が生んだ現実でした
しかし、p.adminは別の側面に気づいていました
p.admin:
「視点を変えると、それは『王室に選ばれた人だけが治療を受けられる』という構図を生み、相対的に『王室における王権の強化』にも見えるかもしれない」
p.adminは王政支持者ではありませんが、民意に流されがちな民選政府よりも、王室の方が安定した協力関係を築きやすいという考えを伝えました
S子はp.adminの思考を深く理解しているように同意した
S子:
「確かに旦那様の言う通りだね。しかし、私たち楽園島も事実上の王政なので、逆に楽園島の住民たちから『元首を含む民主的な選挙』を要求すると、貴方から見れば敵対勢力すらなりえる」
S子:
「もちろん、私も民主主義を反対する訳ではないが、同盟国の王家にほんの少し力を付けることは悪いことではないと思う。選挙に生きる政治家は、結局短期的な利益しか見えない例は沢山あるから……」
p.admin:
「解った。ここと日本の御所に設置した医療ベイは、とりあえずこのままで運用をしてみよう。まあ……結構個人的な理由でもあるが、大病院の厳重な場所に設置されるよりも、仙洞御所みたいな静謐な環境に設置される方が……自分が行くときにストレスが少ないと思う。単に私は病院が嫌いなだけかもしれないが」
S子は優しく微笑んで賛同した
S子:
「私もそう思いますよ。ただ病院側もきっと医療ベイを設置してほしいという要望がくるので、そこは私たちの立場をきちんと守りましょう!」
二人で国の根幹に関わる外交と医療の問題について意見を交換しているうちに、時間は昼に近づきました。ドアがノックされ、昼の食事会に案内される時間となりました
おまたせしました、イギリス編PART2ですが、今回は短めにするつもりです
D-DAY+XXXの基準は、イギリスに滞在される時に後退してしまう事を少し悩まされた




