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D-DAY+158 2027年6月初 イギリス大使の人選とK子様の決意

p.adminとS子が楽園島に戻った次の日の朝、R子とS子の多くの職員は早起きして収容患者や家族の対応に回った


* 応援部隊の到着(AM 8:00)


楽園島の朝8時。S子の操作により、バッキンガム宮殿で待機していたイギリスからの応援チームが医療室前にワープ転送されました


到着したのは、王室医療チームの医師2名、王宮の連絡係り1名、そして患者の世話係り5名の合計8名

世話係り5名には、看護師資格を持つ女性2名と、航空会社の客室乗務員(CA)女性3名が含まれていました


p.admin(朱雀 椿):

「遠いところ、そして急な要請にも関わらずお越しいただき、心より感謝申し上げます。さあ、こちらへ。R子、状況の説明をお願いします」


p.adminは一瞬、「なぜCAが?」と思いましたが、R子と他の職員がすぐに現場の状況と患者のニーズを共有し始めました


応援人員のワープに続き、バッキンガム宮殿の責任者が調達した今日一日分の朝食、昼食、夕食が転送されてきました


先に到着していた王宮の連絡係りが、p.adminに耳打ちするように説明しました


王宮連絡係り:

「朱雀陛下。食事は、イギリスの最大手航空会社が機内食工場で製造したパックをそのまま使用いたします。品質と衛生基準は最高レベルです」

(Chief Executive. The meals utilize packs produced by a major British airline's in-flight catering facility. The quality and hygiene standards are top-notch.)


それに加え、朝食として、バッキンガム宮殿の料理人総出で作られたスコッチブロス(伝統的な肉と野菜のスープ)が10個の大きな筒状の鍋に乗せられ、焼きたてのパンと共に転送されてきました


1000人分の大量の食事は、朝食パックは既に温め済みで、昼と夜の分は冷凍状態でした。また、航空会社から温めに必要な業務用のスチームオーブン10台も貸し出されました

R子は早速CAチームに指示を出す


R子リコ:

「皆様、ありがとうございます!そちらのラックに、温めた機内食とスープ、パンを載せて、2階の病室から順番に配膳をお願いします。」


CAチームリーダー:

「承知いたしました!配膳はお任せください。我々はこの仕事に慣れておりますので」


CA3名は、熟練の動きで機内食やスープとパンをトレーに乗せ、沢山の食事を詰め込んだラックを押しながら、医療室の2階患者や家族に配膳を始めました

マンションに滞在中の患者や家族には、楽園島の職員が配膳を担当しました


* 現場の満足と負担軽減


機内食ではあるものの、伝統的なスコッチブロスや慣れ親しんだイギリスの食事が提供されたことで、患者や家族は昨日の不満を解消し、満足した様子でした


p.admin(内心):(なるほど。CAの派遣は、配膳作業のプロとしての役割か。単なる世話係り以上の、現場の効率化という実利を兼ねている。流石はイギリス王室、抜かりがない)


朝の食事が終わった午前9時。昨日一時帰国を申し入れていた10数人がワープでバッキンガム宮殿に転送されることになりました

そのうち数人は、イギリス側の迅速な対応(食事改善など)を見て、帰国を取りやめました。


最終的に10人の患者がワープでバッキンガム宮殿に返送されました

R子の説明によると、彼らは治療が週1回の予定であり、自力で生活できるなら一時帰国は問題ないとされていました


この時点で、楽園島の状況は劇的に改善しました


王室医療チームの医師2名と看護師2名が病室を見回り、簡単な健康確認や問診を行うことで、患者の不安を解消。R子やS子への負担が大きく減りました

CA3名が配膳と温め調理を担当することで、楽園島職員が患者の世話に集中できるようになりました。


この日、S子は午後から上皇様、上皇后様の若返り治療のため東京に行く予定であり、K子様と侍医殿も一緒に日本に戻ることになっていました

そのため、イギリス側の迅速な応援は、人員不足に悩む楽園島にとって、この上なく都合が良いものでした


#### PM 10:00 イギリス大使の人選


朝食時間代が終わり、R子はイギリスからの応援部隊の住居調整を済ませた後に

p.adminは妻たちや幹部たちを招集し、イギリス大使の人選について話し合った

ディスカッションに参加したのは妻のW子、R子とS子、そしてT先生、H先生、Lee先生、Riu先生、そして参事官のN君

ウクライナでは楽園島と10時間の時差があるが、Oka先生と実習中のM子もホログラムで参加してくれた


p.admin:

「やや急がれた形になるが、これからイギリスとの協力関係は発展するだろう。現状はS子がカバーしているがS子も色々忙しいので長くも持たない、早めに決めておいた方が良いと思う」


p.admin:

「ご存じの通りフランス大使になるM子殿は今Oka大使の所で実習しているが、イギリス大使は未だに決めていない」


楽園島幹部の中に、一番古参で貫禄があるT先生(日本楽園島大使)が口を開いた


T先生:

「執行官殿……おっと、今は陛下とお呼びすべきか。陛下は何か心当たりの人選がございますでしょうか?」


p.admin:

「そうですね……今の幹部の中ではLee先生が一番適任かもしれないが、Lee先生はR子がいない時に内政部門の面倒を見てくれるので……本人の意向も聞かないと」


Lee先生:

「Azure君(p.admin)の言う通り、R子さんがいない時には内政部門の調整をやっています。そして私とH先生は、できれば人命救助に繋がる仕事を従事したいので……イギリス大使に抵抗感はないが、できればこのまま楽園島でサポート役を徹する方を望みます」


p.admin:

「解った、本人の意向は最優先するので、Lee先生も説明してくれてありがとう」


* Sada先生の推薦とp.adminの葛藤


Lee先生:

「代わり何ですが、同じくAzure君の高専時代の先生のSadaさんはどうですか」


Sada先生、p.adminの高専時代で電子回路設計を教える若い女性教師(当時)

学生たちと年齢はそう違わない為に、学生の会話に参加したり一緒に笑ったり、Lee先生と違いタイプだが学生達に好かれた

Sada先生個性が明るくて行動力もある、若い世代の価値観や流行も理解しており、学生にも優しかった

特筆すべき事は…胸が大きい

確かに、p.adminが当時アルバイトで専攻のホームページを作っている時に、Sada先生のプロフィールにはイギリスのなんちゃら大学院から修了した事を見た記憶があった

Sada先生は今でも、p.admin母校の高専で先生として在職しているらしい


p.admin:

「しかし、色々あったとは言え…当時は台湾への対応が成り行きの所があって、当時Sada先生に声を掛けなかったのに今更は…その…失礼ではないかな?」


p.adminの懸念に対し、当時高専で専攻長を務めたH先生が優しく補足しました


H先生:

「それはAzure君の考え過ぎですよ。楽園島の状況は、先生たちが一番理解しているよ。私も時々昔の先生たちと連絡を取れている」



H先生:

「先生たちは、それぞれの仕事はあるが、いつかAzure君の仕事に手伝うことを望んでいますよ。むしろ、声をかけてもらえるのを待っているような状態だ」


H先生によると、他の先生たちもp.adminの人間不信や多忙を理解し、自ら申し出ることを避けていたようでした


p.adminは納得し、Sada先生への打診を決定しました


p.admin:

「解った。ではイギリス大使の件はH先生やLee先生にお願いして、Sada先生に聞いてみる。皆もこれで良いか?」


S子は自身のイギリス外交経験からp.adminの決定に賛同してくれた


S子さや:

「私は良いよ。イギリスはマナーや慣習、そして伝統を重視している国なので、若い人よりも人生経験が長い人が適任だと思いますから……」


Sada先生は現在50代後半であり、その経験はイギリスの外交官と対等に渡り合う上で有利と見られました

他の幹部からの反対意見はなかったことから、Sada先生の意向次第で、イギリス大使の最優先候補に決まりました


#### Sada先生の決意


台湾時間午前7時、高専の教師であるSada先生が学校へ出勤する前の時間帯。H先生がまず電話でSada先生に連絡を取りました


H先生:

「Sadaさん、ごめんなさい、こんな早朝に。Hです。セキュリティの関係ですぐにホログラム通信に切り替えたいのですが、よろしいでしょうか?」


Sada先生は少し驚きながらも冷静に答えた


Sada先生:

「H先生ですか。ええ、大丈夫ですよ。今、自宅ですが……何か緊急の用件でしょうか?」


Sada先生が許可すると、通信はホログラムに切り替わり、H先生と隣に立つLee先生の姿が現れました

若返り治療を受けているLee先生の若々しい姿に、Sada先生は一瞬言葉を失います


Sada先生:

「え……Leeさん?あなた……一瞬、知らない人かと……!」


Lee先生:

「Sadaさん、お久しぶりです。驚かせてごめんなさい。元気そうでよかった」


* イギリス大使への打診とSada先生の同意


H先生はすぐに本題を切り出しました


H先生:

「ごめんなさい、本題に入ります。Azure君、p.adminからお願いがあって、今、急ぎでイギリス大使を探している。Sadaさんに是非、そのポストについていただきたいんだ」


Sada先生は息を呑んでH先生に質問した


Sada先生:

「イギリス大使……ですか?急に、なぜ私に?」


H先生:

「Sadaさんは、高専でAzure君の先生だっただけでなく、イギリスの大学院で学んだ経験がある。今、楽園島とイギリス王室との関係は極めて重要な局面にある。適任者はSadaさんしかいないと、幹部会で決まったんだ」


Lee先生:

「ただ、ごめんなさいね、Sadaさん。T先生からも言われたことだけれど、イギリスとの国交はまだすべて立ち上げ段階よ。先輩大使もいないし、私たちも手探り。Azure君…つまり朱雀陛下(p.admin)の妻のS子さんやT先生、Oka大使がアドバイスはできるけれど……」


H先生:

「そうだ。正直に言うと、イギリス側との交渉は、Sadaさんが模索しながら切り開いていくしかない。それでも、受けてもらえないだろうか」


Sada先生は一瞬考え込んだ後、決意を固めたように顔を上げました


Sada先生:

「……自分でよければ、やらせてください。」


Sada先生:

「実は、高校一年生の息子がいるんです。彼に外の広い世界を見せてあげたい、それが理由の一つです。この機会は、息子にとってかけがえのない経験になるでしょうから」


* 完全移住の決断


H先生はSada先生の決断に感謝し、具体的な条件交渉に入りました


H先生:

「ありがとうございます!では条件について。Oka大使やM子大使と同じように、ワープゲートを使った週末帰宅を提案しますが、いかがですか?」


Sada先生:

「いえ。中途半端にはしたくない。やるならしっかりと根を張りたいので、イギリスへの完全移住を決心します。息子を連れて行きます」


H先生:

「わかりました。息子さんのことは?」


Sada先生:

「息子には、まず現地の言語学校で英語力を磨かせたい。そして、半年から1年遅れて現地の高校に編入させることを目指します」


H先生:

「イギリス政府の計らいで、言語学校と息子の受け入れ先の高校は心配ないでしょう。私たちは全力でサポートします」


* 台湾政府からの接触懸念


大まかな事が決めた後

Sada先生は表情を引き締め、真剣にH先生に話した


Sada先生: 「H先生。実は、今まで何度も台湾政府から接触がありました。『楽園島から何かしらの役職をもらえたのではないか?』とか、『台湾政府と協力してほしい』といった内容です。正直、少し困っていました」


H先生はLee先生と顔を見合わせ、納得したように


H先生:

「なるほど。それが事情だったら、イギリスへの移住を賛成する。台湾政府の関与から距離を置くためにも、遠く離れる方が良い」


H先生:

「それに、来年の台湾は政権交代の時期だ。次期政権(2028/5~)になれば、ワープゲートを通して台湾への帰省も期待できるようになるはず。安心してイギリスへ行ってください」


こうして、Sada先生はイギリス大使への赴任を同意し、翌日にはp.adminとの直接の面談と、イギリス政府への打診が行われることとなりました


#### K子様の要望


* D-DAY+158 楽園島 PM 14:00 日本 AM 10:00


p.admin、S子、K子様、そして侍医殿は楽園島からつくば大使館のワープゲートに到着し、公務車に乗って赤坂の仙洞御所へ向かいました

車内では、p.adminがK子様と侍医殿の尽力に感謝を伝えたいと考えている一方、K子様から率直な願いが飛び出しました


K子様:

「朱雀陛下、今回のイギリスでの治療、大変勉強になりました……あの、もし、今後私が手伝えることがございましたら、ぜひ……お誘いいただければ幸いです」


K子様は続けます


K子様:

「そして……陛下にお願いですが……わたくし、ポルポ・カラマリの医療技術をもっと勉強したく、さや姉様のように人を救うために活躍したいと存じます」


現在でもS子が定期的に、M子様やK子様、そして侍医2名にポルポ・カラマリ異星医療のカリキュラムを教えていますが

K子様が望んでいるのが、S子が教える基礎的な知識ではなく、医療室スタッフが受ける本格的なカリキュラムであり、医療ベイの操作権限まで視野に入れていることを察し、p.adminは返答を躊躇しました


しかし、直接にネイビーゲーザーで異星教育を受けるのは、最低限「楽園島の幹部」であることが必要と、p.adminの自分の中で線引きしていた

一方、楽園島では医療ベイを手動操作できる人間は極端に少ないのも実情、日本だけでももしK子様が代わりに医療ベイの治療を手伝えるなら、確かにS子の負担が減ります


S子はp.adminの意図を汲み取り、K子様に確認する


S子さや:

「K子様が欲しいのは、完全に医療ベイの操作や治療の原理をマスターしたい、そして独自で医療ベイを利用して人を治療を行う権限……ですよね?」


K子様:

「はい、さや姉様、その通りです。過ぎた願いと思いますが……朱雀陛下もさや姉様もリコ姉様も忙しいから、わたくしがもし役に立つことがございましたら……」


S子:

「そうなると、やはりネイビーゲーザーに行って、ポルポ・カラマリ人の医療室スタッフから学ぶ方が確実ですね。私が教えるのは受け売りの基礎的な知識だけよ……しかし、そうなると……」


S子はp.adminの方を見て、「あなたが線引きを決めているのだから、判断して」という眼差しを送りました


* 倫理と責任の重圧


p.adminは、K子様の純粋な善意を認めつつも、その先に待ち受ける「責任」の重圧について警告しました


p.admin(朱雀 椿):

「K子様、今まで我々がやってきた経験から忠告すると、救う人を『選べる』と『決められる』ことは、イコール責任という重圧を忘れてはいけない。現にイギリスの600人の患者を救うことで、表にはまだ出てなかったけど、不公平だとか、なぜ自分は救われないのかと憤慨している人は、必ずいますから」


p.admin:

「それは、人間性ですが、生き延びたい人たちが津波のように殺到してくると、K子様はどう対応しますか?」


K子様は言葉に詰まり、しばらくしてから口を開いた


K子様:

「それは……朱雀陛下にお願いするしかありません……」


p.admin:

「K子様、実は私も似たような立場ですよ。もし手持ちの1000台の医療ベイが足りない時に、ポルポ・カラマリ人の偉いさん(i.e. アルファ提督)にお願いするしかない。私が行使している技術や力は根本的に借り物に過ぎないので、私は何も偉いことはありません」


K子様:

「朱雀陛下、そんなことは決してございません。陛下が世界をよくする決意は、わたくしは信じております」


S子は、K子様の決意が本物であること、そして皇室メンバーが医療技術を習得することの外交的メリットを考慮し、p.adminを後押ししました


S子:

「K子様を本格的なポルポ・カラマリ医療カリキュラムを受けさせるのは悪い案ではないと思うわ。もちろん、M子様と侍医殿たちも一緒じゃないと、旦那様の意図が疑われますけどね」


S子:

「K子様は完全なるポルポ・カラマリ医療教育を受けて、その上で、K子様はどうしたいのかをよく考えてから自ら決めるのはいいんじゃないかな」


K子様は喜びを抑えきれずに反応した


K子様:

「はい、さや姉様、是非そうさせてください。朱雀陛下もよろしいですか?」


p.admin(朱雀 椿):

「私は反対しませんが、正式なカリキュラムになると、週五日毎日数時間程度で受けないといけない。現在『ネイビーゲーザー』は楽園島に停泊中なのでワープゲートを利用すれば楽ですが。もし月軌道に戻ると、毎日うちの輸送機に乗って宇宙に出ないといけないですよ……ちなみに私は半年くらいで勘弁してもらいました」


S子はp.adminに小言を言い、K子様をフォロー


S子:

「旦那様、K子様を驚かさないでよ。K子様、旦那様の部下のポルポ・カラマリ人、『シグマ』という人との相談で、医療カリキュラムは楽園島の医療室でも受けられますよ。ただ、現在はイギリスの患者さんがいっぱいいるので、彼らの治療が終わったら一緒にカリキュラムを受けましょうか」


K子様:

「はい、さや姉様、朱雀陛下、ぜひわたくしとM子姉様と侍医たちと一緒にカリキュラムを受けさせていただきたい」


p.adminとS子、K子様が話し合っている間に、公務車は仙洞御所に到着しました


#### AM 11:00 仙洞御所での激論とK子様の決意


(p.adminとS子、K子様、侍医殿を乗せた公務車は赤坂の仙洞御所に到着した。厳かな雰囲気の中、宮内庁大夫が一行を出迎える)


p.adminとS子は、上皇様、上皇后様との面会室へ

そこには、若返り治療を受ける上皇様夫妻に加え、K子様、M子様、そしてご両親であるH親王殿下ご夫妻も同席していました

p.adminは上皇様、上皇后様に向けて深く一礼して、発言した


p.admin(朱雀 椿):

「上皇様、上皇后様。この度は、K子様、そして侍医殿がイギリスでの人命救助活動に多大なるご尽力を賜りましたこと、深く感謝申し上げます」


p.adminは、K子様と侍医殿の献身的な働きを、H親王殿下にも改めて報告しました


* K子様の衝撃的な宣言


感謝の言葉が交わされる中、K子様が静かに、しかし決然と発言しました


K子様:

「お父様、お母様。そしてM子姉様。この場でご報告があります。わたくし、さや姉様(S子)にご相談し、朱雀陛下からも許可をいただきました。M子姉様と一緒に楽園島でポルポ・カラマリの医療技術を本格的に学びたいと存じます」


M子様:

「えっ、K子?ちょっと待って、私、聞いてないわよ!?」


M子様は、S子の治療中では異星医療の基礎知識を学ぶつもりでしたが、本格的な医療カリキュラム参加という話は初耳であり、驚きを隠せません

H親王殿下は、娘の突然の宣言に顔が強張りました


* H親王殿下の葛藤と問いかけ


H親王殿下は、異星医療技術の習得が国益に繋がることは理解しつつも、皇室メンバーが直接、人命に関わる実務(医療行為)に従事することへの懸念を表明しました


H親王殿下:

「K子がその技術を学ぶことは、日本の未来のために良いことだろう。だが、皇室の者が、人々の生殺与奪に直結する医療行為を実務として行う……それは、象徴としての立場から逸脱しないか?」


そして、H親王殿下は意を決し、p.adminに最も核心的な問いを投げかけました


H親王殿下:

「朱雀陛下。単刀直入にお伺いする。貴殿は、娘のK子を、妻として娶る意思はあるのか?」


その一言に、その場にいた全員(H親王妃、M子様、宮内庁大夫、侍医殿)が驚き、静寂に包まれました


p.admin(朱雀 椿):

「親王殿下。大変申し訳ございません。わたくしには、妻たちとの間で交わした約束がありますので、K子様を妻として迎えることはできません」


p.adminは続けて


p.admin:

「しかし、K子様がご自分のなさりたいことについては、できるだけ応援してあげたいと考えています。それは、純粋な善意と強い意志があるからです」


* 「象徴」への挑戦


p.adminの返答を受け、K子様は自身の決意を明確にしました


K子様:

「お父様。わたくしは、もう象徴としての仕事はしたくありません。総裁なんて、名ばかりの飾りです。イギリスでの短い経験でも、地道に人々に貢献できる仕事を、自分はやりたいのです」


K子様の言葉に、H親王殿下は苦悩し、日本の皇室の立場について慎重に提起しました


H親王殿下:

「日本の皇室は、皇室であるかぎり、憲法の定める象徴でなければならない。イギリス王室は近代で立場の変化があったが、我々とは違う。もっとはっきり言えば、我々は敗戦国だ」


H親王殿下が感情的な言葉を口にした瞬間、S子が鋭い皮肉を返しました


S子さや:

「我々楽園島にとって、アメリカもロシアも敗戦国だけどね」


その皮肉は日本の皇室の持つ歴史的・政治的な重荷を痛烈に指摘し、場を凍りつかせました

しかし、K子様はその言葉に背中を押されるように、最終的な意思を表明しました


K子様:

「わたくしは、社会に貢献できるなら、皇室を離脱しても構いません」


* 宮内庁とH親王妃の支持


一連の論争を聞いていた宮内庁大夫が、ここで口を開き、K子様を後押ししました


宮内庁大夫: 「親王殿下。日本政府としては、M子様とK子様が楽園島でポルポ・カラマリの異星技術を学ぶことに、反対する理由はありません。これは、将来的な日本の医療、ひいては外交上の大きな資産となり得ます」


宮内庁大夫のGOサインが出たことで、H親王妃も娘の決意を受け入れました


H親王妃:

「K子、あなたのその決意、お母さんは支持します。M子、あなたも妹に付き添ってあげなさい」


M子は驚きと責任を感じながら、返答した


M子様:

「……はい。わかりました」


こうしてH親王殿下も、最終的に二人の娘の楽園島での技術習得に同意したのでした


その後、K子様は気を取り直し、いつものように上皇様と上皇后様の若返り治療を行いました

S子は、治療の合間にH親王夫妻に向けてポルポ・カラマリの基礎を分かりやすく説明しました


H親王妃はS子の仕事ぶりをみて感嘆の意を込めて


H親王妃:

「さや妃殿下。あなたのその専門的な知識とプロフェッショナルな姿勢には、本当に感銘を受けます」


日本時間午後2時(楽園島午後6時)。上皇様と上皇后様の若返り治療が終わり、p.adminとS子はK子様ら皇室メンバーと別れを告げ、再び公務車に乗りつくばへと戻っていきました

後書き:

補足ですが、物語中M子とM子様が混在してややこしいので、以降は表記方法を変更いたします

M子(Mei子) = (W子の親友、台湾人、楽園島フランス大使) 今後はMei子と表記

M子様 = (日本の皇室、内親王、K子の実姉、上皇様の孫)


再度補足しますが、この物語はフィクションで、現実の人物と国家との関連性はありません

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