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#2 Aランクのミサキさん

俺の判定結果は、最低のEランク。

このクラスでEランクなのは、なんと俺だけ。

まさに"落ちこぼれ"だった。


(昨日の時点で少し予想してたけど、いざこうなるときついな…)


絶望していた俺に追い打ちをかけるように、先生は俺にとって最悪な一言を告げた。


「お前らが任務に向かうにあたって、必ず二人一組で行動してもらう。そのため、今から同じランク同士で相棒(バディ)を組め。一限は相棒決めの授業だ。」


(いや先生、Eランクなの、このクラスで俺だけなんですよ…)


そして相棒決めの際に、案の定俺は孤立した。

そりゃそうだよな。同じランク同士で組むものだし、もし組むとしてもEランクの雑魚と組みたい奴なんているはずがないし。


(これ、俺相棒組めるのかな〜泣)


20分ほど経って、他のみんなはほとんど組み終わったようだった。俺が椅子に座ってじっとしていると、


「あの、ちょっといいですか?」


1人の女子が話しかけてきた。

確か名前は、"天王寺ミサキ"だったか。


「えっと、何?」


「もう相棒組みました?」


「まだだけど…」


(なんだよ、バカにしてんのか?)


「よかった!なら私と組みませんか?」


「えっ!?いいのか?俺Eランクだけど、」


「はい、大丈夫です。私もクラスに同じランクの人いなくて、」


Eランクの他に、このクラスで1人のランクと言ったら、Aランク。四天王のSランクの一つ下。

つまりこの人は、このクラスで一番四天王に近いということ。


「Aランクだったら、もっと高いランクのやつと組めるんじゃない?」


「私は私自身が強くなれたら誰と組んでも変わらないので。AとEでプラマイゼロですし、私なら色々教えられますよ。」


(それはめちゃくちゃありがたい!!)


「それなら、よろしく。」


「はい!私は天王寺ミサキです。あなたは?」


「山口颯月だ。」


こうして俺は相棒を組むことができ、無事に最初の難関を突破した。



その日の放課後、俺は美咲に魔法を教わることにした。美咲が言うには、ほぼ全ての生徒が入学前に魔法を一つ身につけてくるらしい。何もしなかった俺がEランクなのは当然のことなんだとか。


(姉さんはそんなこと、一言も言ってなかったんだけどなぁ。)


美咲は何やら張り切った様子で、


「さあ、明日から早速任務が始まりますよ。少しでも強くなっておきましょ!」


「おう!」


この世界では悪魔による事件は絶えない。

だから俺たちは授業の一環として、悪魔を退治する任務を与えられる。入学してすぐに命懸けの戦いに巻き込まれるなんて、正直イカれてるけど、これも魔導士になるためだ。そして俺は夕方までみっちりと、美咲に魔法を教えてもらうのだった。


ーーーーーーーーー


私、山口睦美は、西行寺天音と話していた。


「あなたの弟、入学してきたみたいじゃない。少し話題になってるわよ。四天王の弟だって。」


「それは颯月には関係ないよ。これからどうなるかは颯月の努力次第、」


「せっかく入学してきたのに、あなたは彼の夢を否定するの?」


「うん。颯月には悪魔と関わらないで、幸せにいきてほしいの。だから颯月が戦わなくてもいいように、私が悪魔を滅ぼす。」


「優しいのね。」


「それを颯月が望んでるかはわからないけどね…」


私と天音はそんな他愛のない会話をした。

それから数分ほどしてから、私は自分の部屋に帰るのだった。


ーーーーーーーー


次の日、俺たちは朝から、任務の概要を説明されていた。先生は俺とミサキに言った。


「隣町の廃墟ビルに、悪魔の目撃情報が出た。

今回の任務はその悪魔を狩り、悪魔による被害を未然に防ぐことだ。」


「それは、俺たち二人で行くんですか?」


「ああ、この程度の任務に何組も出せるほど、人員には余裕がないんだ。心配かもしれないが、天王寺はAランクだ。実力的には問題はない。」


(それはそうかもしれないけど、俺が弱いことには変わらないんですけど…)


「大丈夫ですよ。私が守ります。」


美咲は自信満々にそう言った。

本当に頼もしい。

そして俺たちは、初めての任務に向かうのだった。




学園から歩いて30分ほど、俺たちはその廃墟ビルに到着した。悪魔がいるいないの前に、廃墟自体が不気味だよ。マジで早く帰りたい。


「なあ、ミサキは怖くないのか?」


俺がミサキに尋ねると、


「まったく怖くないって言ったら嘘になりますけど、

強さには少し自信があるので。安心してください。私が絶対に守りますから。」


女の子にここまで言わせて、俺は自分が情けなかった。そんな時、それは現れた。悪魔だ。

俺が身構えると、ミサキはすでに剣を抜いていて、


「颯月、下がってください。」


片手を俺の前に広げて、俺を守るようにして立っていた。そしてミサキは魔法を発動した。ミサキの得意な魔法は、"炎魔法"。攻撃力と応用力を兼ね備えた、強力な魔法だ。


ミサキは剣に炎を纏い、その悪魔に接近する。

そして炎の剣技で、悪魔の首が落とされ、悪魔は一瞬で倒された。


「すげえな。これがAランクの実力か。」


「あなたなら、このくらいはできるようになりますよ。お姉さんと同じ様に。」


「そうだと、いいんだけどな。」


姉さんは魔法の才能があった。でも俺は今魔法を使えない。最弱で落ちこぼれのEランクの俺と、四天王にしてSランクの姉さん。いつかは姉さんみたいになれるかな。


「さっ、悪魔は倒したし、もう任務は終わりだろ?

早く帰って報告しようぜ。」


俺が安心してミサキにそう言ったら、ミサキは唐突に焦った顔を見せた。


「ちょっと、待ってください…」


「なんだ、なんかあったのか?」


「ここには大量の悪魔がいます。

もう、数え切れないくらいに。」


「なんだって!?」


「颯月はもう逃げてください。この数から守り切れるかわからないので…!」


ミサキは走って行ってしまった。

俺はミサキの助けになりたいとは思ったけれど、今の俺が行っても足手纏いにしかならなそうだから、さっさと外に出ようと思ったのだが、俺の前に、一体の悪魔が現れた。


「はは、勘弁してくれよ…」


その悪魔はすでに俺に狙いを定めている。

俺の初めての、悪魔との戦いが始まる…



読んでいただきありがとうございます!

次回はついに戦闘開始です!

毎週月曜日と木曜日に投稿できたらなと思ってます。

次回もお楽しみください。

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