ハチ精霊とひみつの塔と女王 2
人は自分の過ちに気が付いて直そうと努力した時に、予想以上の成果を出す時がある。丁度、振り切った振り子が逆側に振り返すように。
そう考えて、今回の教室で起こった事件も、何気ないライバル視、思い込み、妬み、やっかみ等が穿った見方を増長させているのではないかと思った。
人の心が悪意に染まり切っていないのなら、後悔をしているようだったら、まだ救いの道はあるのかもしれない。そう考えてしまう自分の心が甘いのかもしれなけれど。
ペンに込められた悪意に影響されたとしても、今回の事件は残酷で凄惨な内容だ。聖属性魔法で封印したからこそ分かる。
ハチ精霊様に傷を負わせたあの悪意と、今回のペンが引き起こした事件に潜む悪意が、絶対に繋がっていると。
そう、今回の事件でも心が傷を追ったり悔やんだりしている人がいる。全てを露わにして、全てをあるべき姿に良い状態で戻したい。
「アルフレッド殿下、今日設置するのでしたら、食事会は後日ですよね?その後でも先でも構いませんので、ペン騒動があったクラスの再聴取をあの装置のある部屋で行って頂くことはできますか?」
「そうしたいのだが、今回の事件は六公爵家が関与していて、聴取と銘打つと警戒されて親達が娘を休ませるという日が続いているため、近衛騎士団と魔法士団で調書出来たのは事件があった当日のみという不甲斐無い結果でね」
何とも言えない気持ちになった。怪我をしたのはブリジットであり、要らぬ嫌疑をかけられたくないという親の干渉が伺える。
呼び出すにも直接的なアプローチが出来ないので、それなりの違った大義名分が必要らしい。
「違った招集をかけるから安心して良いよ、リーナ」
アルフレッド殿下は優雅にほほ笑んでいる。
「確かに出席したくなる様な名目に変えれば造作も無いですね。その辺は殿下の得意とするところなので安心して良いから、リーナはハチ精霊様に扮して絶対に出ないこと。グラン様の髪に隠れているんだよ?」
兄の心配する部分は分かっているけど、元六公爵のグラン様の髪に隠れるなんて出来るはずもない。手乗りをしていた事も、人に戻ってから考えてみると、とても恥ずかしく思えてしまう。
それにアルフレッド殿下の事を、“腹黒い人だから大丈夫”なんて耳打ちしてくる辺りが、反応に困ってしまった。
きっと聞こえているであろう、アルフレッド殿下もグラン様も、笑いを堪えながら此方を見ている。スルーしてくれていることが有難い。
何というか、頭の良い人ほど余裕があって落ち着いている。だからか、大人びて見えて格好良く3割増しに見えてくる。
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