ハチ精霊のひみつの塔と女王 1
「いずれにしても、今夜中に装置の設置が終わらなければ、先に進むことが出来ない以上、終わらせなくてはなりません」
「確かに、どうにもならないな」
「アルフレッド殿下、このままでは我々も帰る事ができませんし、リーナ達を帰らすにも護衛がこれでは」
真剣な話をしているのに、頭がお花畑状態のシュールさ。
ロードライ前公爵のグラン様の“粋な御計らい?”で、頭に花が咲いている状態のアルフレッド殿下、ロナルドお兄様、ハニエル様、オースティン殿下、レイモンドお兄様、そしてアッシュとリア。
アッシュの頭に咲いた芝桜のような花の上にハチ精霊様が乗っかって寝てしまっている。
チラリと元凶のグラン様を見れば、ニヤリとしてやったりの顔で紅茶を啜って寛いでいた。
「リアはそのままでも良さそうね」
「リーナ様、確かに似合っていて綺麗だと思います。でも、アッシュ様も素敵ですわ」
ブリジットは、アッシュの頭を見てクスクスと笑っている。
アッシュ自体の髪が乳白色に薄く緑グレーの陰影があるので、ハチ精霊様と花の組み合わせが可愛いと彼女の中で絶賛中なのだろう。
ラーラーラー ラララー
ラーラーラー ラララー
ラーラーラー ラララー
「3部合唱?!」
いきなり花が歌い出したので、驚いて見たらアッシュの花が歌っていた。彼は諦めた様にブリジット様を見つめて、照れたようにお礼を言っている。
微妙に甘い雰囲気で、見ている此方が気恥ずかしい感じだと思っていたら、ボン!と音を立ててアッシュ様の頭の3つ花が大きな種になった。
「ほほう、収穫とは。中々早かったのではないか?」
「父上、この花は素直さが求められるものですから、彼は護衛騎士として心から主の言葉に喜んだのでしょう」
え、いや何、その公開処刑ならぬ公開説明は。
しれっと、ポーカーフェイスで言ってのける、エマニュエル様とニッコリ笑顔のグラン様。ロードライ公爵家、怖っ!
「ロードライのグラン殿、エマニュエル殿、花が種になったのでお返しします」
アッシュの声が心なしか怒っている様に感じられるのは気のせいと思いたい。
ラララーラ、ラーラーラーラ
ラララーラ、ラーラーラーラ
「ほう、この歌声はオースティン殿下とレイモンド・パステル殿か」
「彼らの目的はハチ精霊様への魔力供給でしたから、眠りから覚めて解決されたのを今知ったようですね」
こっちは微笑ましいわね。
「兄上、我々は目的を達成したようなので戻ります。騎士団へ通達の際はハチ精霊様に伝言をお願いします」
種をロードライ公爵に渡し、元気よく部屋を飛び出そうとしていくので、私は慌てて彼らを追った。
「オースティン殿下、レイモンドお兄様、ありがとうございました。お陰でハチ精霊様を救う事ができました」
お礼を告げると、役に立てて良かったと爽やかな笑顔と言葉が返ってきた。
「あら?オースティン殿下の髪にハチ精霊様が?」
「この間、レイモンド殿が謝りに来た時に、それを見ていたハチ精霊様方が受け入れてね。リーナ様とアルフレッド殿下の為に役に立ちたいと思うハチ精霊様が彼らにくっついているんだよ」
私の隣に来たリリアンヌ様が、2人にくっついたハチ精霊様の経緯を教えてくれた。そして、ちゃんと2人にも接し方を説明したらしく、ご飯も一緒に食べているらしい。
剣技を探求していたとは言え、粗暴さもあったレイモンドお兄様が、苦手な甘い物を食卓に並べて一緒に食べる配慮をするまでになるとは思いもよらなかった。
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