ハチ精霊様と聖属性化した治癒魔法 1
コホン‥‥
小さく咳払いして、オースティン殿下とレイモンドお兄様の座っている場所までいくと、2人は視線を合わせて照れくさそうにしている。
「今まで私の代わりにハチ精霊様に魔力供給して下さってありがとうございます」
「良いのだ、我々は出来る事をしたまでだから。それより、リーナ嬢、今までの無礼を許してくれ。兄上の心に決めた女性が貴女だったとは知らず、とても酷い事を要求してしまった」
浅慮だったと素直に謝って来るオースティン殿下は、さすが、アンジェリーナ様が好きになった方だと思った。根が正直で心が綺麗なのだと、今なら分かる。
「お辛かったでしょう、今代わります」
ハチ精霊様のマオリ・リカ・カオリ・カベルネ・メルロが私に委ねられると、2人は力尽きた様にソファーに崩れ込んだ。2人に軽く治癒魔法をかけると、スヤスヤと寝息を立てて寝てしまった。
それほど、魔力操作は難しく、身体的に疲れる作業だったのだと思えた。
髪留めのお家に入ってくれたハチ精霊様を、そのままロードライ公爵のエマニュエル様と元当主のグラン様の元まで運んで、目の前にあるテーブルの上に置いた。
ひょっこりとマオリ・リカ・カオリ・カベルネ・メルロが出てきて、私の前に並んでいる。
「やっと、ハチ精霊様を治せます。本当に長い間、待たせてごめんなさい」
多くの視線の有る中で、私は自分の魔法属性を開放した。
ふと、ちょっとした違いを感じる。今まで以上に聖属性の力を感じ取れるからだ。目の前に座るグラン・ロードライ元公爵の魔力を感じて、ハチ精霊様化した時にその大きな魔力に守られていたからだと理解できた。
「感謝します。どうか、精霊の王よ、ハチ精霊様の傷ついた羽を治すための助力を‥‥」
発動していく聖属性の木魔法と雷属性と土属性に水魔法。
辺りに結界の様に張り巡らされていく聖属性木魔法が、黄金の蔦のような魔法陣の結界を張っていく。
「雷属性と土属性の聖属性魔法よ、ハチ精霊様の羽に入った悪意の雷魔法を退けよ」
光に包み込まれたハチ精霊様の身体に2つの魔法陣が重なるように現れ、ハチ精霊様の羽に魔力を注いでいく。
パチパチと火花と閃光のような小さな稲光が魔法陣によって吸い取られて行き、次の治癒魔法を行使できる状態になった。
ホッとしつつも、聖属性水魔法の魔法陣を再び出して治癒魔法をかけた。光の粒子が欠損した羽の魔力回路を復元していき、無機質だった羽に再び生命を再生させていく。
パタパタ、ブルブルと羽を動かし始めるマオリ・リカ・カオリ・カベルネ・メルロのハチ精霊様が、治癒魔法の光が治まったと同時に飛び立った。
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