もう一つの転写方法 23
ペンの軸になるガラスの様な金剛水晶石が、ロードライ公爵が管轄する風のダンジョン内で豊富に採掘されるのだと。粉末にして熱処理を加えると強度と透明度が増す、面白い性質を持った石なのだとか。
これ、使えるかも知れない。
従来の水晶石や魔晶石は加工が難しく、切り出して研磨すると透明度が増すのでガラスとして使われていたけど、今回の装置の最後の素材には不向きで、保存をどうしようか考えていたからだ。
『グラン様、この金剛水晶石ってスライムゼリーのスライムと仲良し?』
「ん?仲良しとな?」
「父上、スライムゼリーの採取方法をお教えしては?」
そう言えばと、グラン様が頷いて少し笑っている。
「スライムゼリーになるスライムは、この金剛水晶石のある場所に住んでいるのだ。長年の研究によると、スライムゼリーが何らかの衝撃で結晶化した物が金剛水晶石になるようで、乱獲はしないように定めている」
何でも、結晶化した後は色が抜けて透明化してくるので、透明度の高い物を採掘しているのだとか。本来の風のダンジョンの近くにある中型のダンジョンらしいけど、突風が吹く時間帯があるので、採取時間は限れらていると教えてくれた。
グラン様のお陰で、核心が持てた私はハニエル様とグレン様を呼んだ。
『ハニエル様、グレン様、進捗は?』
進み具合を聞いたら、ほぼ完成に近い所まで出来ているみたい。それなのに、アルフレッド殿下とロナルドお兄様も皆で難しい顔をしている。
「ものの見事に抽出は出来たんだ。だけど‥‥」
「スライムゼリーの耐久性が乏しくて、30分で形状が歪みだすのです」
どうやら、無属性の重力魔法を使って悪意の魔法波形だけをダイラタンシー現象化したスライムゼリーに突っ込むことで衝撃を起こして固まらせるところまで成功したらしい。
『これ見て。スライムゼリーが何らかの衝撃で固まった金剛水晶石のペン。これね、熱を加えると硬度も透明度も増すってロードライ公爵が教えてくれたの』
「熱?!」
4人が一斉に同じ答えに辿り付いたみたい。
慌てて装置に戻って、あーでもない、こーでもないと、最後の詰めをしている。遠目から、随分楽しそうにしているのを見ていると、幸せな気分になった。
数時間後、4人の花が一斉に歌い出したので、出来上がったことが分かったけど、喜んでいる筈の本人たちが、頭のお花のせいで素直に喜べない顔になっていた。
読んで下さって、ありがとうございます。
毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。
貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。
誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。




