もう一つの転写方法 21
「グラン元当主、これは?」
「アルフレッド殿下は、覚えておりませんか?昔、食されたでしょう。これがスライムゼリーの材料。水に戻せば程よい味のゼリーになるが、属性と同じ色を食べねば大変なことになる」
『これこのままゼリーにして食べたいね~』
無情にも触ろうとした私の眼の前から、スライムゼリーの材料は実験トレイの中に収納されてしまった。
「父上、この状況を鑑みても、各公爵家が受け持つダンジョンがどうなっているか。王家と共に確認しなくてはなりません」
「ロードライ公爵、そのためにもリーナが提案した魔力波形を目視できる装置を完成させ、犯人を浮き彫りにしないといけない。物的証拠が無ければ公で罪を問うことが出来ないのだから」
「エマニュエル、もどかしい気持ちも分かるが、今までそれと戦ってきた自分の息子を信じようではないか」
如何に王家でも、国の柱である六公爵を疑わしいだけで調べることはできない。物的証拠に証人など、考えられる全ての状況証拠を揃えなければ、逃げ切られてしまう。
ハニエル様とグレン様が今までの組み立て方を相談している。
そこにロードライ公爵たちに王太子として意見を返したアルフレッド殿下が、ロナルドお兄様を連れてハニエル様と話し始めた。
無属性を扱える殿下の参戦は、ハニエル様たちに大きな変化をもたらしてくれるのではないかと思えた。現に、なるほどとか、おお!とか感嘆する声が聞こえていたから。
『グラン様、犯人は同族者の道具を使ってカモフラージュして、とても卑怯なヤツなの~!』
私はグラン様とエマニュエル様に、犯人は騎士団の事件を利用して精霊様の怒りを私に治癒させたことを話した。
「小賢しい真似をする‥‥サンディスタ公爵家は分家が多く、近年では魔力値の低下が著しくなったと聞いて心配していたのだが、よもや精霊様を傷つける輩がいるとは」
「他家のことだ、問題はもっと前からあるのだろう。それよりも、それの傷を癒してしまうリーナ嬢に驚くが、やはりパステル家の血か」
エマニュエル様が怒って、グラン様は褒めてくれた。
不思議とグラン様は温かいオーラが漂っている気がする。手にスリスリと頬っぺたをくっつけていると、頭を優しく撫でられた。
『それとね、私の親友が学校で酷い目にあったの!』
私を襲ったペンの事も話してみた。
どうしてそんな恐ろしい道具を作る人物がいるのか、ロードライ公爵なら何か情報を持っていないか知りたかったから。
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