もう一つの転写方法 20
ラララーラ、ラーラーラーラ
ラララーラ、ラーラーラーラ
「今度は何だ‥‥何故オースティンとレイモンドの花が歌っている?!」
「殿下、あれは嬉しい時や楽しい時に心が躍るのを、花が表現しているだけです」
「何、この状況で表情を変える事無く、“笑顔の種”を歌わせて種を収穫できたら公人として一人前になるでしょうな」
困惑する殿下とお兄様に、粛々と状況説明するロードライ公爵と元公爵。
中々にシュールね。
『グラン様もエマニュエル様もやったの?頭にお花』
グラン様の肩に止まって聞いたら、優しい笑顔で頷いてくれた。
無表情のエマニュエル様の頭に花が咲いて歌っているのを想像してしまい、クスクス笑っていたら小さな壺に入ったハチミツをくれた。
「人が此処までハチ精霊様に庇護されるとは、我々でも無い状況です。父上は初めからご存じだったのですか?私の手の痣が治った時も、殿下からグレンの連絡を受けた時も驚かれていなかった」
そうだったのかとエマニュエル様の話を聞きながらハチミツを食べていると、兄の声が聞こえてきた。
「アルフレッド殿下、2人は我々の姿に笑いを堪えているだけでしょうね。全くもって遺憾ですが、既に指示は出してあるので、あの件は王太子の近衛騎士が対応して問題なくデータが取れるでしょうが‥‥」
「レイン、料理人にどのくらいで出来るかの確認を。それと、夕食の準備も」
「畏まりました」
ロナルドお兄様は不本意だと眉間に皺を寄せているけど、しっかりケリー・サンディスタの魔力波形を採取できるように、近衛騎士の各隊の隊長と話を合わせて、騎士団の隊長達に話を付けているようだった。
後は、渡したレシピで料理人さんが腕を揮って試食品の試作が出来上がるのを待つだけだ。そう思っていたら、違ったみたい。レインに確認を頼んでいるから、進捗は分かるけど‥‥。
ハニエル様から、制作していた2台目の魔力波形を読み取る装置の説明が始まった。
内容は今までの魔力波形を読み取る装置と2台目に考えている装置の違い。
2台目の提案として重力魔法が必要な事。そして、ロードライ公爵が居るこの状況で、グレンから聞いた属性の違うスライムを使ってダイラタンシー現象を起こし、魔力波形を形にする方法を細かく伝えている。
「この状態で研究室から出るのは不可能。なので、アルフレッド王太子殿下、ロードライ公爵、ご協力願いませんか」
「そのダイラタンシーなる、水と粉が1:1の割合で起こる現象を、フルーツスライムの特性を使って代用して属性波形を手に入れようというのか。スライム水の割合は小麦などの粉と同じで良いと思うが」
何処から出したのか、掌ほどの大きさの球体を机の上にゴロゴロと出し始めた。
薄い赤・緑・青・黄・茶・白の宝石の様な輝きを持つ丸い球体を見て、グレン様がお礼を言っている。
読んで下さって、ありがとうございます。
毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。
貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。
誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。




