もう一つの転写方法 19
「だからだったのですね。
リーナ嬢がペンを箱に封印した際に、装置が出来上がるまで封印して、むやみに触ることの無いようにと教えてくださったのです」
「悪意は空間感染し感情を黒く染めるからと、仰ってました。
私には黒い風が吹き荒れているように見えましたが、グレン様やレイン様、レニ様の周囲には寄り付いていませんでした。でもリーナ様には、黒い風が攻撃しているような感じで、正直、何を見せられていたのか理解が追いつかなかったのです」
ハニエル様が装置を眺めながら、悪意の扱いが迂闊だったと反省していると、ブリジットが悲しい顔をして自分が見ていた状況を話した。
「悪意という負の感情は感染する。トラウマや心に眠る辛い思い出を増幅して諍いを誘うと。扱う時には、感染しない対策が必要だと言われたのに‥‥」
項垂れているグレン様にグラン様が対策ならあると、人数分の銀の腕輪と種をテーブルの上に並べた。
何これ?
「リーナ嬢は聖属性魔法を使えますな。腕輪に加護を与えられますかな?」
『グラン様分かるの?多分、できると思うよー』
あらら?何で口調がこんなラフな感じになっているの?自分で答えておきながら、いつもと違う会話に思考がおかしくなりそうだ。
困惑していたら、意識をしっかり保たないと戻った時にハチ精霊様の口調になってしまうだろう、なんてグラン様が脅かすので心底焦ってしまった。
促されて銀の腕輪に加護を付与していくと、自分の手から金粉の風が出て腕輪に浸透していくのが見えた。
「後は、今回浸食された者と感情を露わにされたアルフレッド殿下とロナルド殿も飲まれよ。何、悪意に浸食されているかを可視できる物だ」
グラン様から言われて、ハニエル様やアッシュ、リア、アルフレッド殿下、ロナルドお兄様と魔力供給しているオースティン殿下とレイモンドお兄様が種を口にした。
そして、全員が銀の腕輪を付けていると、グレン様とリリアンヌ様が何とも言えない顔をしていた。
『グレン様とリリアンヌ様が凄い顔してる~‥‥してます』
ああ、語尾まで意識を保つのは難しいわ‥‥。
「な‥‥何なのですか、これは!」
ハニエル様の物凄い驚愕の顔が、アルフレッド殿下とロナルドお兄様を見ている。その視線が他にも注がれて、自分たちの頭が凄いことになっている事に気が付いた。
可愛い花が一本咲いているオースティン殿下とレイモンドお兄様。二輪草のように二つ咲いているハニエル様。髪の毛に枝垂桜の様に咲いているアルフレッド殿下とロナルドお兄様。
アッシュは芝桜のような花が3株ほどある感じだ。リアは、大きなアネモネの様な花が髪飾りの様に付いている。
「ロードライ公爵‥‥説明、願えるだろうな‥‥」
「その花は心の花、父が設定したので魔力波形を無事計測できれば、種になる。悪意が関与すれば心は荒むので、元気がなくなり可視で分かる様になっている」
「兄上、我々は関係無さそうですが、隅の方で魔力供給していますね」
オースティン殿下はレイモンドお兄様と半ば諦めた感じで、元の場所に戻って魔力供給し始めた。
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