もう一つの転写方法 9
「私できましたわ、リーナ様!」
「ブリジット?」
息を弾ませて結界部屋から出てきたブリジットは、嬉しそうに報告してきた。後ろから着いて来ているアッシュとリアを見れば満足そうな笑顔だ。
「聖属性の魔法の使い方を習得されたので、暴発は無いと思われますぞ」
「とても早い修得でした。この方法は有効だと思います」
「そちらの問題対処は成功ですね。ブリジット嬢、おめでとうございます。先ずは、夕食を食べましょうか。その後、今日の出来具合と、今後の課題についてお話します」
あまりにもハニエル様が授業をする先生の様だったので、私とブリジットはクスクスと笑ってしまった。
そして、その日の夕食はとても楽しく和やかな雰囲気で食べる事が出来た。ブリジットも今まで通りの食事に戻れた感じで、私は戻った日常に感謝した。
「あれで属性が違えば良い感じなんですけどね」
レインが目線で教えてくれた先を辿れば、アッシュがブリジットのパンやメインのお肉を細かく切り分けている。それはもう、リアがお手上げ状態なほどに。
「提案なのですが、魔法学院の単位の取得規定をご存じですか?」
夕食を食べ終わって、レインの淹れてくれる紅茶を飲んでいる時にハニエル様から問われた内容だ。
「特定の授業へ定められた時間出席することでしたわよね?」
「ブリジット嬢、それだと君ら2人は来年も1年生になってしまう可能性があります。ハニエルの言いたいのは、殿下たちのような特別待遇制を使った取得規定だと思いますよ」
グレン様が提示した特別待遇制とは、授業を出なくても試験で結果を残し、国に貢献する研究や調査などをした者に対してとられる待遇制度。
「それと、ブリジット嬢には事件に遭遇しているため、学院以外での研修で単位を取れるようにする事も可能です。先ほど、私が教員のような口調をした時に震えていましたから、教室が無理なら他の可能性を用意した方が気持ち的に楽でしょう」
流石、ハニエル様は先の先まで考えて答えを選ばせてくれる。
「考案者の助手という形で、この研究所で単位は取れると思います。もちろん、教員の方にこの部屋で専門授業をしてもらう必要性も出てきますが」
「問題はここの研究内容と事情を理解した上で守秘義務を全うできる教員の選出だと考えてる?」
私達の授業の遅れを考慮してくれたハニエル様は、レインの問いに頷いて答えている。
「極めて稀で特殊な状況ですので、守秘義務以上に護衛にも転じてもらわなくてはならない状況にも対応して頂ける方が好ましいですね」
そうなのよね、今の状況は本当にイレギュラー。
殿下の提案通り、造血豆の件でブリジットを助手に2人で単位をとっても、他の専門科目で補習をしなければならない。この研究所は守秘義務が絶対だもの。
読んで下さって、ありがとうございます。
毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。
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誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。




