もう一つの転写方法 8
「リーナ様、また固まっていますね」
「レイン殿は王太子殿下に報告でも?」
「リーナ様は得難い方です。先ほども、魔力被弾を避ける為に、聖属性に目覚めた生徒1人を教師数人が立ち会い、結界部屋で訓練させる事を提案されていましたからね。何気に無自覚で発言されるし」
「確かに!教師が見守りながら教え導くのが、確実に無事故に繋がるし、これから先の未来の聖女候補の憂いが消える。ハニエル、これ凄い事だよな?」
「しかも『普通、経営者なら“事故無く”そう考えるのは普通じゃない?』と学長や教師達に疑問も持っていらっしゃいました」
「!‥‥そうでしたか、我々は甘んじて貴族同士の派閥争いと捉えていますが、リーナ様は流石ですね」
「そろそろ、リーナ様の意識が戻られそうですね」
レインの声が全員の注意を私に向けた。
あれこれ考えていたけど、頭の中で考えるのは限界だと、一旦区切ることにした。
「‥‥あら?レイン戻ったの?」
「夕食を調達してきました。病み上がりなのに、アッシュ達の頑張りようは凄いですね」
「レインの準備はまだかかりそう?」
「合わせますよ」
出来るレインは流石です。
私は今までの考えをハニエル様とグレン様に話してみた。先ずは、そういった物質が存在するか、魔法応用ができそうかとかいろいろある。
「必要な物として透明な水と粉ですか。しかも水を含み難い性質の粉‥‥」
「ロードライの子供が食べるデザートで、スライムゼリーがある。その粉は使えないだろうか」
スライムゼリー?
聞けば、食べられるスライムを粉にして、水に溶かして衝撃を与えると数時間固まるので、冷やして食べる子供のオヤツなのだとか。
「スライムって食べられる種類があったのね‥‥」
「ただ、透明色で、全ての色が薄い赤・緑・青・黄・茶・白なのです。しかも持っている属性の色しか食べられないので、親は混ざらない様にして食べさせています」
「属性によって、食べられる色が違う‥‥ハニエル様!」
ハニエル様も閃いたのか、水に一定の割合で6種類の粉を混ぜ合わせて飽和状態のスライム水を作り、そこにスキャンした魔力波形を投影して。そこへスライム水に波形の状態を保ったまま重力魔法で瞬間的に圧力をかければ、それぞれの魔力波形の型がとれるのではないかと結論付けた。
「おそらく、魔力波形の長さ分の水槽が必要ですね」
「ダイラタンシーという現象を起こすには水と粉が1:1の割合だけど、スライム水の割合はどうなのかしら?」
考えは伝えたので、後はハニエル様とグレン様の知恵に頼るほかない。
「正直、立体的に2つの属性が存在し、どのように関与しあっているかを探れば証拠になるのですが、お手上げ状態だったので、リーナ様の考えを聞けて助かりました」
「今日一日でハニエルも私も物凄く飛躍できましたし、楽しいと思える研究の成果を感じられるのは幸せなことで、嬉しいです」
前よりも笑顔のグレン様は、ハニエル様とあれこれ考え始めてしまった。
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