もう一つの転写方法 7
「エドワード殿下の仰っていた1つの問題が解消された‥‥そう考えて良いと思うけど、ハニエル様はどう思います?」
そう聞いておいて、私自身は腑に落ちていない。
「素直に喜びたいところですが、これで確定になった事が2つ。この魔力波形は似ていながら魔力値が弱い者を指しています。そして、ハチ精霊様とグレンの耳に残った悪意は同じ波形でした」
「犯人は同一人物で、私が目を付けて警戒していた人物だったのか‥‥」
悔しそうに言ったグレン様だったけど、ハニエル様は首を横に振った。物的証拠は2つの魔力が混在しているという事実を知らしめただけだと。
確かに、平面の紙に写し出された魔力波形はその時の状態を平面的に表しているだけ。証拠として欲しいのは、どちらの魔力波形が雷と風属性を使った波形かというもの。
「ハニエル様、波形を立体的にする意味合いはあるのですか?」
「説明をしていませんでしたね。これから授業で知る事ですが、例えば木属性の物に、水属性を加えると相性が良ければ、混在する状態で網目になるのです。複合魔法は合わさる性質がありますから、似た属性を使用すれば魔力同士が網目になるか、通常と違う形をとると考えられます」
「相反する属性同士だと、実験では打ち消し合ってしまった。複合出来ない魔法と考えられる」
複合魔法について説明を受けたのに、何かが引っかかっている。
でも、今は状況を確認したい訳だから、複合魔法を見た目分かりやすく証拠になるような形で抽出できるやり方を模索しないといけない。
「立体的で2つの混在する波形の詳細を抽出できるようなもの‥‥」
確か、印刷技術には熱以外で水圧転写技術がある。
絵柄を印刷した特殊なフィルムなんかを水圧によって凸凹した物にでも柄を転写する技術で、後から表面をコーティングして剥がれない様にして定着する方法があった。それを応用できないだろうか?
もっと考えれば、ダイラタンシーという現象を使いたい。水に片栗粉やコンスターチのような粉を1:1で溶かし合わせると、素早く力を加えると固まる性質がある。 ゆっくり触ると、ドロドロとした液体になる。
この性質に近い物があれば、読み取った物を3Dプリンターのような模型形式で象り、保存魔法で残せるのではないだろうか?
そう、魔力波形と言わせしめる、1人の波形だけを読み取る。
それができれば、波形が示す魔力の持ち主を炙り出せる。魔力波形は1人として同じ者は居ない。たとえ同族であっても家族であっても、この国では属性が被らないように婚姻をしてきたからこそ、それは如実に出ると。




