もう一つの転写方法 3
エドワード殿下は部屋から出て行ってしまわれたが、会話の中であやふやな部分と指摘された部分が気になってハニエル様を見ると、計測した魔力の波形を見せてくれた。
「これは‥‥」
眉を顰めるレインとアッシュ。
「表面上だけ見れば、ハチ精霊様の羽に残った魔力はエルヴィス・サンディスタのもの。でも、気になるもう一つの弱い波形が被さっているのです」
魔力の波形は似ているけど、少し違う感じがした。
「以前から気になっていた二種類の魔力の存在ですね」
「数日間、エドワード殿下と考えたのですが、この二種類の魔力波形を一つずつ検証してから、二種類同時に検証するやり方を出さなくては証拠にならないと」
「グレン、最初から考え直しましょう」
ここまでやって最初から見直すのは難しいことだと思う。何か良い方法、せめて、1つずつ見る方法があれば、1つは解決する。
確か、何かあったはず。
最初から1つに絞ろうとするから、ごちゃごちゃになるのだから。差し引けるように‥‥ああ!犬猫の体重測定!
「見て来たものの中に、興味深い物がありました」
「文明の進んだ世界の、ですか?」
頷いてから、私は説明をし始めた。
「では、目当ての猫を抱いたまま測定した体重から、自分だけの体重を引くと猫の体重になると」
「確かにそうだけど。この場合の猫は分からない魔力波形で。そして、エルヴィス・サンディスタの魔力波形を引く‥‥どうやって?ハニエル、それは難しくないか?」
そう、確かに難しい。でも、領域指定を駆使すれば可能になるはず。
「ハニエル様、グレン様、装置の領域指定に、エルヴィス・サンディスタ様の魔力波形を取り除いた、他の魔力波形だけを抽出する指定をできますか?」
「その手が!」
やる事の1つの手立てを見つけた二人は早かった。研究室にも同じ物を作っているので、部屋の片隅に新たに設置し直した測定装置の改善をし始めている。
「凄い方々なのですね、リーナ様」
「そうね。提示した言葉を何十倍にして実現してしまう方々だわ」
レインが入れてくれた紅茶とお菓子を摘まみながら、自分たちはセレスト・アーシャル伯爵令嬢がレニに託した授業ノートを書き写していく。
「私たち単位は大丈夫なのでしょうか‥‥」
「学期末のテストで平均を上回れば大丈夫よ。トーチネス先生も学長もそう言って下さったから」
「良かった‥‥でも、実技は特訓しないと‥‥」
そう、その件もあったのだと、自分達のやる事が増えている事態に気が遠くなった。
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