もう一つの転写方法 2
「造血豆を粉にした成分が変わらないという事でしたら、レシピを書きますので騎士の方の口に合うか検証されては如何でしょう?遠征などで食べやすい物に加工が望ましいと思いますが」
「成程、それは妙案ですね。それならば、王太子殿下が騎士団の何人かを呼んでもおかしく無い状況でしょうし、ケリー・サンディスタが来るまで検証を続ければ良いのですから」
「そのレシピは直ぐ作れる?」
エドワード殿下が興味深そうに聞いている。
「作れますが、検証は何も教えないで、食べさせてみると良いかも知れません。折角の検証ですもの、そちらの実験もしっかり取りたいデータですわ」
「しっかりしているね。僕はそういうの、好きだよ」
造血豆の粉で作る、お菓子パンや食パンのレシピを書いて行く。日持ちするものとして、乾パンなんかもダンジョンへの行軍などに適したものかもしれない。水分量は職人さんに任せて、合わせていく物を書き足していく。
途中、ブリジットがビスコッティやパスタ、パウンドケーキなどの案も出してきたので、考え付く限りのレシピを書いてみた。
「確か、属性によっても食べる好みが若干違うと聞きましたが?」
「ああ、それは有るって言われている。ロードライの木属性を主属性に持っていると野菜や雑穀が主食になりやすいから」
「そうなると、主食のパンを小麦と造血豆の粉で作って、間に挟む物を好みの物として食べてもらうのは如何でしょう?王太子殿下の執務室の隣にビュッフェスタイルで試してもらうのです」
「何だか、我々も食べたい気分になる。リーナ嬢はとても策士だな」
殿下の護衛魔法士のリューに褒められて、頬が熱くなった。
「早速、調理場で検討して、騎士たちの反応を見てみよう。どっちも興味深い内容だからね。兄上も喜ぶと思うよ」
「エドワード殿下、お願いがあるのですが」
「もしかして、ブリジット嬢のここへ出入りする理由の件?」
「ええ」
「さっきやっていたよね。君の助手で良いよ」
凄い洞察力は王太子殿下と一緒なのね。レシピを書いている時の僅かなやり取りを聞いていて、ブリジットが私の手助けになっていると判断されての言葉なのだと。
そして、助手という肩書は、私と共に居ることを普段から可能にしてしまう。
スッと立ち上がり、そのまま部屋を出て行こうとする殿下を、ハニエル様が慌てて呼び止めた。
「もう一つの報告はよろしいのでしょうか?」
「まだあやふやな部分があるよね。それじゃ逃げられちゃうよ?」
可愛らしく柔らかに言っていても、殿下の言葉の含みは、まだ他の方法を考える余地があるのだと言いたげだ。
読んで下さって、ありがとうございます。
毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。
貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。
誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。




