もう一つの転写方法 1
「さて、ブリジット嬢が造血豆のスープを食べられる猛者だと確認したところで、一区切りついたね」
あれからお茶のお菓子に、造血豆のスープを出してきたエドワード殿下の護衛、近衛騎士のフェンと魔法士のリュー。
「何も一区切りついてないですよ」
「だが、ブリジット様には良い滋養になった」
一人不貞腐れたように言うレインは、本当にあの豆が嫌いなのだろう。アッシュの言うように滋養には良い食べ物かもしれない。
「叫ぶ豆を笑顔で食べるご令嬢達に感服しましたが、リーナ様、以前の研究結果を話しても?」
「ええ」
「ここで作った装置を王太子殿下の学院執務室の控室に設置し、違う日にスティーブン・ライリールとエルヴィス・サンディスタに通らせました。これがその二人の資料です」
成程、執務室の控え室なら近衛騎士の控室としても使われるし、そこに結界装置に似た物があっても怪しまれない。
「隣の部屋にデータが出されるようにしたので、距離的な部分で大変でしたがハニエルが転移陣の描かれた床に魔法陣を入れ込んだので、問題なく彼らのデータを採取できました」
嬉しそうに話すグレン様はハニエル様と喜び合っている。
「疑われない場所に設置できたのですね!」
「後は騎士団のケリー・サンディスタを呼び出すだけなのに、王太子殿下の執務室に呼ぶ事案が中々ね」
ソファーにクッションを抱えて寄りかかっているエドワード殿下が、忌々《いまいま》しそうに呟いた。確かに、所属が違う者を呼びだす口実は、疑われない様に考えないと。
「そう言えば、造血豆の粉の成分調査は、ハニエル様の所に?」
「そうでしたね。出来てはいますが、何か関係‥‥その手がありましたか!」
机に積み上がった書類の中から私に2束ほど手渡された。
「結果的には効果は同じだったと、言っても良いかもしれない」
「実は、ハニエルと考えて、粉にする時に皮有と皮無しで調べてみたら成分に違いが出た」
嬉しそうに答えてくれるグレン様は、2つの束の1つを指して皮有の方が、栄養価が高いと報告してくれた。
前世でも皮と実の間に栄養が多くあるものが多かった。その点を今の魔法に頼ったこの世界で見つけてくれたのは朗報だと思う。
「皮の方が、栄養価が高い‥‥では、他の食べ物もそうなのでしょうか?」
「え?皮の有る物には、もしかしたら皮の近くに栄養がある物があるのかしらと思いまして」
「そうですね、後輩達に割り振って調べてもらうのも良いかも知れません。特に騎士には栄養が不可欠ですから!」
そんな他愛もない話をしながら、ふと思いついた。
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