親友と悪意と聖属性の水魔法 10
「魔力被弾を受けて目覚めた時、私は聖属性に目覚めました。でも、通常の聖属性の目覚め方とは違う物だったの。魔力量も変わってしまって‥‥上手く説明ができないわね。見てもらった方が早いかも」
近くのチェストの上に置いていた魔力測定装置をレインが運んできてくれた。
「今までは、思いついた隠ぺい魔法で隠していたの」
隠ぺいを解除して装置に触れる。
「リーナ様、これは?!」
「全属性ですって?!アッシュ、こんなことって‥‥凄いわ!」
「お兄様、この判定版の色‥‥光っているのでしょうか?」
「リーナ嬢、この魔力値の結果は一体?」
それぞれの4人の反応に、私自身もそうなるよねと納得してしまった。
「私が聖属性に目覚めた事を隠していた理由の1つが、この異常な判定板の光っている状態と魔力値の結果なの。多分、全属性に聖属性が入っている感じっぽい‥‥かも」
「全属性に聖属性が?ちょっと、レニ、意味わかる?」
「では、この8が横になった文字は?」
そうなのよね。8が横ってメビウスの輪じゃないのだから‥‥!
確かメビウスの輪って、ずっと無限に続く輪の‥‥。
「測定不可な魔力量ということでしょうか?もしくは、無限なんて‥‥お兄様?」
ああやっぱり、無限ですよね。レニ凄い。
「もうこれ、聖!」
「それは言わないで!覚悟も何も無いし、今の自分に何が起こったか分かっていないのに!」
慌てて隣に座っているレインの口を塞いでしまった。
「今わかっているのは、ブリジット様を治した魔法は聖属性の水魔法で、意識の中で魔法式が繋がって魔法陣が出来て、行使される‥‥みたいな?」
「だから、魔法陣から綺麗な光のリボンの様なものが、ブリジット様の傷の周りをクルクルと回っていたのですね」
「たぶんだけど、そのリボンが治癒魔法の魔法式だと思うの」
リア様に答えると、アッシュ様が深く頷いている。
「リーナ様、リリアンヌ様のハチ精霊様の傷を、今の能力で治そうとされています?」
「まぁ、それは必要だと思うし?」
「そこ、どうして疑問形かなぁ。それやったら、即日の元に認定ですよ。今回の悪意の抽出の件だって、ギリギリあの2人は問わないでいてくれていますが」
そうだよね。多分、ハニエル様もグレン様も強力過ぎる治癒魔法について聞かないでいてくれる。
今回、大きな動きをして目立ってしまったら、聖女候補の認定は受けてしまうと思う。それでも、秘密を貫き通したい理由はあるのよ。
「私、犯人を捜したいの」
「どちらのです?」
うわ、こういう時のレインって意地悪だわ。
「どちらも。そして、全てを解決してから王太子殿下に報告したいの。
ほら、能力はちょっとだけしか判明していない訳だし、ある程度分かるまで認定は目立つから、そっちの報告は事後で良いかなぁって思っているのだけど‥‥」
レインが盛大な溜息を吐いて、アッシュ様が頭を抱えている。レニとリア様は楽しそうにこの状況を見守っている感じ?
「ダメ‥‥かしら?」
「ダメも何も、そう決めていますよね?」
「決めているというか。ほら!あまり目立ってしまうと、犯人に察知されちゃうし‥‥ね?」
眉間に皺が寄っているレインとアッシュ様。
「結果から言えば、ブリジット様に関する今回の件で、リーナ様が関与されることは王太子殿下も予測されている。そして、彼女の怪我を治されることも。行動を共にされる事もなのだが‥‥」
「付け足すなら、それによって、第4王子殿下が取り組んでいる事にブリジット様が介入してしまう事すら、予測していらっしゃいますよ」
2人の話しぶりだと、アルフレッド王太子殿下は私の思考や行動を読み切っている気がする。
「なら、許可済と考えて良いのかしら」
そう答えてから、レインの地雷を踏んでしまった事に気付いた時には遅かった。
「ダメです。これはあくまで、王太子殿下の予測で、実際リーナ様がどうなっているのか存じ上げないことなのです。明日にでも殿下に能力の事をご報告ください」
きっぱりと言われてしまい、しょげていたらアッシュ様が助け舟を出してくれた。
「殿下が全てを把握なさっていれば、認定を遅らせてくれるかもしれない。そう心配なさるな」
「なら、明日はブリジットと一緒に王太子殿下に報告に行くわ」
「ぜひ、そうしてください」
言った直後に、怖い笑顔を浮かべた2人に言われてしまった。




