親友と悪意と聖属性の水魔法 9
「リーナ様、ブリジット様はもうお眠りに?」
「ええ。水属性のハチ精霊様がピッタリとくっついていらっしゃるから大丈夫みたい」
あれから、決めた時間までに、全員入浴を済ませてから私の部屋に集まることになった。男性陣はリリアンヌ様の隣の部屋で、入浴を済ませて身支度を整えると言っていた。
皆が身支度を整えて集まり、夕食を食べた後にお茶をしながらハチ精霊様の事を話していたら、うつらうつらし始めたブリジット。心身への疲労がかなりあって、ベッドへ案内したら直ぐに寝てしまった。
私の髪からブリジット様にくっつくハチ精霊様の姿を見て、小さなナイトに一礼して寝室から出てきたところの質問だった。
「今まで痛くて眠れていなかったのでしょうね。今はぐっすり眠っています」
私がそう答えると、アッシュ様とリア様が安堵したように息を深く吐いた。
「ずっと苦しんでいらっしゃったから」
「食べ物も3日ぶりだから、ご令嬢にはギリギリだったのだ。日に何度か診察は受けていたが」
あの状態では、診察といっても問診と状況把握で薬湯を飲ませるのに精一杯だったらしい。
夕食時にレインが用意したのは、澄んだスープと野菜や雑穀を煮込んだスープだった。お茶もミルクティーの様な何かを混ぜたトロトロのお茶だったし。
「レイン殿が用意してくれた食事は、身体に無理のない栄養価の高い物だったので助かった」
「リーナ様やレイン様、レニ様は足りたのでしょうか?」
確かに、夜中にお腹が鳴ってしまうかもと思っていたら、レインがバスケットを持ってきた。机の上に普通のサンドイッチからクラブサンドまで、様々な種類の甘味パンがお皿に並べられた。
「きっと足りないだろうと思って、揃えておきました。お好きな物をどうぞ」
卒なく給仕をこなし、何をお召し上がりになりますか?なんて私に聞いてきている所が凄すぎる。
「ありがとう、レイン。そのサンドイッチとこれをお願い」
私の分を取ってもらうと、各自が好きな物を取って食べ始めた。
「リーナ様、髪からハチ精霊様が出ていらっしゃいます。あちらには私が行きますね」
ブリジット様に付き添っているハチ精霊様に、レニが星の飴を渡しに行ってくれた。
「えっ?あ、ごめんなさい私ったら‥‥ハチ精霊様こちらにどうぞ」
髪留めをテーブルの上に置いて、星の飴を手渡していく。髪に隠れていたハチ精霊様が甘味パンの方へ飛んで行ってしまった。
「ハチ精霊様、甘いパンの方が良いのかしら?」
お砂糖が沢山かかったパンを千切って食べている姿は可愛らしいけど、それを驚いてみているアッシュ様とリア様の動きが止まっている。
レインがハチ精霊様の件を、差しさわり無い程度に説明しながら、髪留めのハチ精霊様にも甘味パンを渡してくれた。
「精霊契約しないで助力を受けるとは、物凄いことなのだが」
「よくあのリリアンヌ様がお許しになりましたね」
リア様はロードライ家に縁のある者らしく、リリアンヌ様が今の状態を許した事に驚いていた。
「今後なのだけど、私がブリジット様の傍に居た方が4人の護衛になるし、対応が早くできるとおもうのだけど駄目かしら?」
4人に聞いてみたら、分かりましたとすんなり承諾された。
「では、王太子殿下に報告ですね。今後、ブリジット嬢にも研究所への入室許可が必要になりますし」
「兄様に報告は任せますので、私は2人に経緯を説明しておきます」
ああ!本当に仕事のできる2人って凄いと思う。レインのオカン的な部分がクローズアップされて忘れがちだけれど、どれだけ助けられていることか!
「なら皆様には、私の今の分かっている能力を伝えておきます。本当は最初に伝えるのは王太子殿下が良いのかも知れないけれど」
その場がシーンとなった。
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