親友と悪意と聖属性の水魔法 5
ブン・ブン・ブーン!
頭の真上に乗っかったハチ精霊様が手の上に降り立った。水色の羽をしているので、水属性の力を宿している事が分かる。
「ハチ精霊様?」
手の上に乗ってくれたので、顏の前まで上げて精霊様が何を言っているのか、目を凝らした時にオデコにコツンと体当たり?してきた。
途端に、脳裏に浮かぶ魔法陣の細かな魔法式。
そして、聖属性魔法をハチ精霊様が行使している途中で癒しの聖属性水魔法を行使するように伝わってくる。
ここはハチ精霊様の言う通りにしてみるしかないと思い、小さく頷いた。
「リーナ様?!」
光り輝く聖属性魔法がハチ精霊様から放たれ、その光に混じるように私は聖属性を開放して、聖属性水魔法での治癒魔法を行使した。
手ほどきされる感じで、使い方が手に取るように理解できる。
アッシュ様の身体から黒い何かが抜けて、息を深く吸える様になったのか落ち着いた表情になった。
次はリア様に同じく聖属性水魔法をやってみるように促された。
ハチ精霊様、かなりスパルタですね。
髪に戻ってしまったハチ精霊様を見て、レインとレニが呆気に取られている。
「2人とも、ここから先は自分で王太子殿下に報告したいの。だから、しばらく秘密にしていてくれると助かるかも」
一応、お願いしてみたけど報告は彼らの気持ちと判断に任せている。
聖属性を開放し、聖属性水魔法で先ほど同じように、リア様の瞼についた悪意を取り除いて眼球の治癒をする。通常の治癒魔法とは比べものにならないくらいの高度な治癒術。
「あぁ‥‥視界が!痛みも消えて‥‥」
目の焦点が合ってきたのか、リア様の目が私をハッキリと捉えているのが分かる。もう大丈夫ね。
「今のは、聖属性魔法と治癒魔法なのか?」
アッシュ様が呟いた言葉に、彼の肩をポンポンと叩いて沈黙と秘密を守るように諭すレインの姿があった。
「ハチ精霊様から教わったのですか?」
髪から顔を出しているハチ精霊様を見て、レニが嬉しそうに微笑んでいる。
「ええ、さっき教わったの。ありがとうございます、ハチ精霊様」
「複合魔法に似た、新しい治癒魔法に見えました。精霊様は聖属性をお持ちなので、黒いモヤを取り除く魔法を行使されたと感じました」
レニの見解はとても的を射ている。黒いモヤを祓ったのは聖属性だ。私怨といった人間の悪感情を、どう扱うか知らなかった私に示してくれた。




