親友と悪意と聖属性の水魔法 4
所々に滲んだ後があるのは、セレスト様の涙なのかもしれない。
今こうして目の前に、手紙が事実だったと思えるような状況がある。
「何故、私は一緒にいなかったの‥‥」
全てが悔やまれる。
レインとアッシュ様が止めてくれたから、未だに激痛に耐えて震えている彼女を、抱きしめて苦しませることが無くて良かった。
「王太子殿下には報告しました。治癒魔法の得意な魔法士にも来て頂いたが、複数の魔法が発動した結果、治癒できなかった様です」
「なら、ブリジット様とリア様は私が治しても良いのね」
治せるかどうかは分からないけど、このままには出来ない。
「リーナ様‥‥何故、私のことを知って‥‥」
「何故って、ほとんど見えてないでしょう?
知られない様にしていても、私には判るの。それにね、今のブリジット様を手当する前に、触れられるリア様を診せて?」
リア様の手を取って、彼女の瞼を視た。どす黒い悪意が瞼を覆っている。まるで呪いだ。
「先に、アッシュ様ね」
「私の事など、先にブリジット様とリアを頼みます」
護衛の方って献身的だと思う。
でも、それではダメなの。
ブリジット様は誰かの犠牲の上に自分が助かったとしても喜ばないし、心を痛めてしまうから。
「軽いアッシュ様から悪意の余波を視させて。リア様のではどす黒い悪意で視辛いから」
納得したのか、アッシュ様はレインが用意した椅子に座ってくれた。
「教室に居た全員からは、こんな醜悪な悪意は感じられなかったわ。でもアッシュ様は直接受けた訳ではないのに感じるのよ。レイン、レニ、どう考える?」
「向けられた悪意が‥‥で、その、2人は‥‥すみません、失礼します」
言い辛そうにレニが傍に来て『悪意がブリジット様に向けられたもので、2人は彼女の護衛だったから被った』と耳打ちしてくれた。
「何その“坊主憎けりゃ袈裟まで憎い”的な考え方は?!」
「ボーズって何ですか?リーナ様、心の声がダダ洩れですよ。ここまで限定的だと研究所のあの装置にかければ証拠は残りますが、王太子殿下がそれをしないって事は、今の状況が心身に負担になっていると考えられ人命を優先されたのでしょうね」
そう、だから私が治しても良いのだと判断したのだけど、客観的にレインやレニの言葉で聞くと、判断が正しかったのだと実感しつつも、悪意への怒りが込み上がる。
「‥‥あら?」
気を取り直してアッシュ様に治癒魔法をかけたのに、通りが悪く悪意が反応している。
治癒魔法が効かない。
呪いを解くのは聖属性魔法で、今の私は持っていない事になっているし、聖属性を顕現してもどうやって治癒すれば良いか分からない。
読んで下さって、ありがとうございます。
毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。
貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。
誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。




