複合魔法と魔力映写魔法 21
「これは一体どういうことでしょうね」
難しい顔でハニエル様が、マオリ・リカ・カオリ・カベルネ・メルロから出た悪意の魔力波動を転写した映像を見て眉をしかめた。グレン様のデータとも比較している。
私もそのデータを見て不思議と違和感を覚えた。
データその物は普通だと思えるけど、転写された物の形が短剣のデータの波形とは似つかない物になっている。物が違うのだから当たり前かも知れないけれど、データ自体がまるで複数重なっている様な奥行きがある気がする。
「リーナ嬢、何か違和感でも?」
「ええ。まるでデータが重なり合っている様な‥‥あ!」
私は以前、エドワード殿下が話していた言葉を思い出した。
確か、『悪意の魔力が無意識の魔力を盾にして認識阻害をしている。』そんな事を聞いて私は『言葉通り受け取れば、犯人は犯行時に誰かの魔力を纏っていたことになる』と答えを出したのだ。
でも、これは推論でしかない。
「もし出来るならば、疑わしい者の持ち物を読み取らせたいです」
「成程。憶測より実証ですね」
「3人の持ち物ねぇ。お兄様に協力してもらって、学院か寮の執務室に呼び出してもらおうか?」
話に飛び入り参加してきた殿下が提案してきた。
「ほら、王太子に合う時はゲートを通るから、通常のゲートにこのゲートをくっつけて置いておけば、分からないで通ると思うよ」
後は呼び出す言い訳だね、なんて言っている。
「ハニエル、今はスティーブン・ライリールとエルヴィス・サンディスタが近衛騎士に移動して、ケリー・サンディスタは騎士団所属のままだった筈だ」
呼び出すなら近衛騎士の2人とケリーは別にした方が良いとグレン様が提案している。確かに、所属の違う者同士を呼び出してしまうのは不自然だし、犯人には気付かれてしまう危険があるものね。
「ケリーを呼び出すのは、難しそうだね。管轄がオースティンお兄様だから」
「取り敢えず、近衛騎士の2人の情報を先に手に入れてみませんか?」
先ほどからグレン様が乗り気というか、検証を急いでいる気がする。
「グレン、焦っても仕方がありません。他の分かっている物で試してから、王太子殿下に助力を願い出ましょう」
数点しか見ていない今では、このデータの有用性を示せない。ハニエルさんが指摘したように、何か他のもので確証を得た方が良さそうね。
後日、犯人が分かっている案件で、武器と犯人の悪意の照合をすることになった。
そして私も授業への復帰をしながら、午後の授業が終わってから集まることになった。
読んで下さって、ありがとうございます。
毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。
貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。
誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。




