複合魔法と魔力映写魔法 19
その場の全員が失念していた事で、実験に囚人が使われる事にもショックを受けたが、ハチ精霊様に何かあったらどうしよう!と、心が激しく動揺してしまった。
それは当事者のグレン様も真っ青になっていて、自身の軽率な行動がハチ精霊様の命に係る事をしてしまったのだと。
「は‥‥ハチ精霊様‥‥ご無事ですか?」
グレン様やハニエル様が呼びかけても、何も応答が無かった。
力なく床に座り込んだグレン様の頭にレニやリューがハチ精霊様を呼んでいる。
「私は‥‥何てことを!」
泣き崩れる彼の髪が、一際、暗い緑色に影を落としている。
ん?暗い緑色‥‥の‥‥髪?
「レイン、甘いお茶菓子とかお茶用意できる?」
ニッコリと微笑み返す彼も気付いた確信犯だろう。ソファーに座って寛いでいる殿下もだけど。
「紅茶とキャラメルカステーラ、マカロンのセットです。ビー玉飴もありますよ」
光が差し込んだテーブルに紅茶とお菓子のセットが並べられていく。レインはいつも何処に閉まっているのか、紅茶の茶葉とそれに合う茶菓子セットを持ち歩いている。
では、呼んできますか。
「ハチ精霊様、お茶の準備が整いましたが、ご一緒に如何でしょうか?」
ブン!ブン!ブーン!
私の髪にいるハチ精霊様が喜び、ブンブンと羽を鳴らしている。
ブン!ブブン!
「やっぱり隠れていらしたのですね。お茶菓子も出ていますよ」
グレン様の頭から、ひょっこりと顔を出した無属性のハチ精霊様が私の手の上に乗っかってきた。
「お元気そうで良かったです」
ブン!ブン!
可愛い姿なのに、こうやってグレン様達に悪戯を仕掛けているところを見ると、勝手に試したグレン様に文句が言いたかったのではないか?と思ってしまう。
「リリアンヌ様に聞いたら、ハチ精霊様は甘いものがお好きだと伺いました」
取り皿に乗っかってパクリと齧る顔が何とも微笑ましい。髪留めのハチ精霊様にも、キャラメルカステーラを小さく千切って渡すと、美味しそうに食べてくれた。
「今、ハチ精霊様が出てきませんでしたか?」
「髪留めのハチ精霊様、5体と‥‥着いて来たハチ精霊様が5体、全員いらっしゃいます!」
茫然としながらハチ精霊様が飛び立ったグレン様の頭を見ているハニエル様。少しして、頭を抱えるような仕草で深い溜息を吐いてソファーに座った。
「殿下もリーナ嬢も気付いていたなら教えて下さい。全く、お人が悪い」
溜息と共に出された言葉の意味を拾ったのか、レニとリューが力なく尻餅をついて、フェンが安堵した息を吐いた。
1人だけ取り残されていたグレン様が、お皿の上でカステラを頬張っている無属性のハチ精霊様を見つけて泣き始めてしまった。
読んで下さって、ありがとうございます。
毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。
貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。
誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。




